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1時間目 夏休みの登校日

 山の中にあるのどかな村に、今日もショートヘアの黒髪をなびかせた男の子が元気な歓声を上げて登校しています。


 その男の子は野山和登のやまかずとという名前で、山繁北小学校に通う小学6年生です。小麦色の肌をあらわにしながら、タンクトップに半ズボン姿という元気な男の子にぴったりの姿で歩いています。


 この小学校は村の中でも山奥にあり、全校児童は30人足らずです。それでも、ここにいる児童は低学年も高学年も関係ありません。時にはケンカすることがあっても、しばらくすると仲直りするのが当たり前となっています。


 和登がいる6年生のクラスは、わずか5人です。小学校に入学してから、5人はずっと同じクラスです。


「みんな! おっはよう!」

「おっ、和登は相変わらず元気いっぱいだな。夏休みの登校日だからって、学校に虫取り網を持ってこなくてもいいのに」


 和登に声を掛けたのは、福間純平ふくまじゅんぺいという男の子です。和登と純平の2人は、何から何まで対照的です。


 和登は頭があまり良くないけど、山や森をかけまわったりするのが大好きです。これに対して、純平は私立中学への進学を目指して勉強にいそしむ優等生です。机の上には、夏休みの宿題とともに各教科の中学受験用問題集が平積みになっています。


 そこへ、クラスにいる2人の女の子である西森由紀奈にしもりゆきな花川菜月はながわなつきが和登と純平のところへきました。


「もう、2人ともこんなことで張り合わないの!」

「はいはい、言われなくても分かりますよ!」

「和登くん、はいは1回!」


 素直に応じる純平に対して、和登は女の子が指摘しても投げやりな態度を取ることもしばしばあります。


「元気なのはいいけど、もうちょっと素直になってくれないと!」


 由紀奈は、言うことを聞かない和登の態度にため息をついています。


 そのとき、1人の男の子があわてた様子でクラスの中へ入ってきました。その手には、何枚かの紙らしきものを持っています。


「陽くん、そんなにあわててどうしたの?」

「ちょっと、これを見て! ぼくのげた箱の中にこんなのが入っていたんだ」


 葉野陽はのきよしは、自分の机の上にその紙を並べました。このうち、2枚は意味不明の英文字であり、残りはいくつかの地名や場所が書かれたものです。


 1枚目は『extra』という英文字が1つあるだけだが、2枚目には『友井』『高見』『相口』『安柄』『双川』と村の地名が5か所も記されています。


 同じように、3枚目には『xyz』と意味不明の英単語しかないけど、4枚目には『幼稚園』『神社』『公民館』『集会所』と4つの場所が書かれています。


 陽の周りにみんなが集まると、純平は最初の文面を興味深そうに見ています。


「最初の『extra』って、特別とか、臨時とかいろんな意味があるからな。本来なら、形容詞単独で使うわけじゃないけどね」


 純平が自分の知識をひけらかしていることに、和登も対抗意識を燃やしています。


「英語の意味なんか分からなくたって平気さ! だって、1枚目とか3枚目とか単なる暗号なんだし」

「まあ、和登はテストの点も悪いからそんなことが言えるだろうけど」

「何だと! ガチガチのマジメ人間のくせに!」


 和登と純平の張り合いに、由紀奈は2人に強い言葉でこう言い切りました。


「ちょっと、2人ともやめなさいよ! 5人しかいないクラスなのに、みっともない!」


 由紀奈の言葉に、クラスの中が静まり返りました。気まずい雰囲気になった2人は、それぞれの机に戻りました。


「陽くん、ごめんね。どうしても黙っていられなかったから……」

「そんなに気にしなくても……。そろそろチャイムが鳴るだろうから、また後でみんないっしょに考えてみようか」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 名前が適当じゃないところ。 [気になる点] 言い張りました。や、○○です。が説明文みたいで読みにくい。 [一言] 頑張ってください。
2021/06/27 18:32 私も小説家志望
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