協力交渉
大分空いてしまってすいません!
色々他にしたいことする事があったりで、まして説明回だという事もあって筆が進まなくて…。後書きで色々書きます。
とりあえずどうぞ。
「話は済んだか?」
一通りの説明が終わると、その瞬間を待っていたようにーーいや、事実待っていたのだろうーー長老が話しかけてくる。
「はい、まあ説明して貰ってただけですけどね」
「そうか。では少し、着いてきてもらおうか。話がある」
話ーーあぁ、決闘の意味か。まあ何となく想像は出来るけど。
「分かりました」
そう言って再び家に入っていく。
「ああ、2人は席を外して貰えるか、大事な話なのだ」
「分かった」「分かりました」
アニダさんとリンが出ていき、残ったのは俺と長老の二人。俺は長老の反対側に立つ。
「座ってくれ。どうせ長話になる」
「あ、失礼します」
ついそう言ってしまう。
「よし。まず、この場で話した事は互いに口外禁止で良いか?」
「はい。大丈夫です、というかむしろありがたいです」
「分かった。では一つ質問だ。……お主、この世界の人間では無いな?」
バレてたみたいだ。
とはいえバレた所で別段問題ないように思うし、何より外には漏らさない事になってるし、正直に答えてもいいか。…一応、聞いてみよう。
「そうですけど、何故そうだと?」
「まず、装備が違う。長剣(直剣)の二本持ちなど普通はせぬし、それ以外のその外套やブーツなども、一目で中々の物だと見て取れる」
あぁ〜、確かにそうか。まあそもそもこんな真っ黒なやつ普通じゃないよな。…あ、某作品をディスってる訳じゃないよ?寧ろ超リスペクトだよ?
「そして、態度も違う。冒険者になるともう少しくだけた風な、極端に言えば失礼な態度を取るようになる。が、お主は若干柔らかい口調ではあるが、それでも礼儀を忘れていないように丁寧で、それが寧ろ距離を感じさせる。他人行儀とでも言おうか」
「なるほど」
まあ、日本人だからなぁ。そこが長所でもあり、短所でもあるんだけど。
そこは直らないかな〜。
「そして、それだけの装備を備えるならベテラン程度の実力があるはずだが、足運びや先程の決闘を見ていても経験が足りない様に感じるし、お主は若すぎる」
そうか、まあそうだよな。それは仕方ない。うん、経験が無い段階でチートを振るっていいものかと思わなくもないけど、そもそも使わなきゃ初日で死んでた訳だし。
「最後に、お主は先程アニダに『冒険者か?』と聞かれた時、『多分』と答えた。冒険者なら誰もが自信を持って肯定するのに、お主は言葉を濁した。それは、何をもって『冒険者であるか』とするか、線引きを知らないからそう答えたのでは無いか?」
…すげー、全部見抜かれてるー(棒)。
まあ、そこまで言われたら素直に認める以外無いわ…ん?なんかおかしかったような……まあいいか。
「凄いですね。いや、流石と言うべきでしょうか、その通りです。僕はこの世界の人間ではありません。この世界とは文字通り『次元』が違う世界に生まれ、そして事故で死に、そしてこの世界に転生……召喚ですかね?どっちでもいいか。まあ、そういう事です。この装備とか色々な能力はその際に貰ったものです」
「なるほど。して、『貰った』とは?」
そこ来たか。いや、普通聞くか。
「僕は向こうで死んだ後しばらくして気付くと、そこにはまあ、神がいました。そしてその神からこの世界を救って欲しい、的な事を言われ、これらの装備やらスキルやらを与えられてこの世界に飛ばされたんです」
「なるほど。その力を使ってここまで来た訳か。という事は、その経験に見合わない力量もその恩恵なのだな?」
力量……レベルとか熟練度とかかな?
「恐らくそうです。あとは装備による強化も大きいですね、これらのおかげで一割か二割ぐらいは強化されているはずです」
「ほう。やはりそうなのだな。…まあよい、この話はここまでじゃ。本題に入ろう。ああ、今の話は口外しない事を誓おう」
「ありがとうございます」
「ではまず一つ、質問じゃ。この村に入って、気づいた事はあるか?」
気づいた事ねぇ、まあ一つしかないけど。どうせなら全部言おうか。
「そうですね、まあ『静かすぎる』事ですよね。普通に考えて、これだけの規模の村ならもっと活気があっていい筈です。子供達が遊んでいる元気な声、女性が集まって世間話や噂話をしている声、畑作業をしている人達、狩りや鍛錬に励む人達の声が聞こえるものだと思います。だがそれらが一切無かった。それどころか殆ど人が外に出ていませんでした。そう、まるで何かを恐れているように。そして恐れるとすれば魔物・魔族か人間の冒険者辺りでしょう。ですが、人間なら、僕を見かけた時点で友好的な態度を取るのはおかしい…というか恐れた様子を見せるはずです。それに、魔族や人間に支配されているなら何かしらを納めなければいけないはず。なら外で作業をしている人がいないのはおかしい。という事は相手は魔物ですかね?それこそ、アニダさんや他の人達が集まっても未だに倒せていないような」
「ほう。そこまで見抜いたのか。だが、本当だとしてお主は何を言いたい?」
「そうですね、まあ僕は冒険者ですし、ここは一つ取引をしましょう」
「取引、とは?」
「はい。僕はこの世界に来てまだ間もないのでこの世界の事をあまり知りません。なので僕がその討伐を手伝う代わりに、この世界の事を教えて貰うというのはどうでしょうか?」
これが狙い…というか、俺の単なる要望だ。正直見返りなんかなくても手伝うつもりではあったけどさ。
「…それだけでよいのか?」
怪訝そうな表情で、そう聞いてくる。
そうだよな。対価が大したものでも無かったから気づかないかと思ったけど。
俺が差し出すと言ったものは自分の力、そして『命』。それに対して見返りは知識…正直『無くてもいいもの』だ。はっきり言って釣り合わない。まあ、その敵をサクッと倒せたなら兎も角それなりの苦戦が見込まれ、最悪は命を落とす可能性だってある。
それに対しての見返りとしては確かにあまりにも軽い。だから、こうして疑われている。
「一応聞きますが、何故です?」
「『命』の対価が『知識』では安すぎる、分かっておるだろう」
「まあ、そうですよね。なら、知識に加えて村にいる間の寝床を一部屋、それだけ貸してもらう。というのは?」
正直に言って、本当にこの2つだけあれば十分だ。食糧はここまで来る間に余計に捕った物を所謂アイテムボックスに突っ込んであるし、汚れや汗等は『洗浄』で流せる。水に関しても、『ウォーター』で出せばいいし。だけど。
「それでもまだ足りぬよ。他には何かないのか?」
「そうですか…それなら、1日2食、朝と夜に頂けるとありがたいです」
これもまた、わざわざ貰う必要の無い物だけど、まあ仕方ないからそういった。昼はアイボに入ってるので適当に済ませる。
「………お主は欲が無いのか?それとも、恩を売っているとでも言うつもりか?」
まあ、流石に疑われるよなぁ。だけど別に何かが欲しいという訳でも無いし。あとは失礼だけど、何か欲しい物があったとしてこの村にあるかと言われれば……ねぇ。
「どちらでもないですよ。実際欲しい物なんてないですし、強いて言えば、という物も先程言いましたし。恩を売るつもりもありません」
「しかし、なあ…」
「というかそもそも冒険者をやる以上、命の価値は低くなります。冒険者であれば、本当にふとした事で命を落とすでしょう。勿論こちら側もそれを理解してやっています。であれば、その時点で命の対価は払われているも同然なんです」
「では、討伐が成功した際の報酬は…」
「それもいりません…というか、協力の報酬に含まれる、という事で。第一、これはこの村の人達とその敵の戦いなんです。そこに僕という部外者が加わるだけでも失礼なのに、僕の手柄みたいに倒した報酬を貰うなんて、『おいしいとこどり』はしたくないです。ただ手伝うという事で、その為に体調を崩さないという名目で先程お願いもしましたし、あれで十分ですよ」
安心させる為、そして信じてもらう為に少し微笑んで、ただし目だけは真剣に言う。長老は疑いながらも、その言葉の真偽を確かめようとこちらを見つめる。
「そうか………?嘘では無かろうな」
「嘘は言いませんよ、ただ思った事を言っているだけです」
その瞳を真っ直ぐ受け止め、本気であるという意思を乗せて見つめ返す。
「そうか、本気なのだな…ならばよい。頼むぞ、柊斗」
そしてたっぷり一分程も経って漸く視線が切られ、発せられた言葉に今一度確かに頷き返す。
「では、報酬についてはまた後で用意するとして、この村と『奴』との因縁について、話すとしようか」
字数が多かったような気がしたので区切りました。
段落あけ、行空けなどは試行も兼ねて。
次回は多少動きがあります。ハーレムタグは付ける予定は無い。という予告
ーーー
ここで幾つか言い訳を。
前々から言ってますが作者は学生、まして進路に関わる時期(正直危機感はあるけど動かない)でする事があるのです。(´・ω・`)
そして無駄に多く取ってしまい、読み切れていない小説。
最後に、最近、以前やっていたゲームにもまた手を出し始めてしまったのです。
それらの理由もあって、更新が遅れてしまいました。
…………言い訳ですすいません(´・ω・`)
と、ともかく、また週一更新を出来るように努力します!
…え、作品を良くする方に努力しろって。
すいまっせんしたぁあ!
これからもよろしくお願いします!