決闘
どうも、風邪で死んでた作者です。遅くなってすみません。どうぞ見てってください。
「ちょっと待ってください!」
「ん?どうした?」
慌てて駆け寄ってくる少女。
「その人は多分、本当に私に自信を持たせようとしてあんなふうに言っていたんだと思います!」
「本当か?ただ褒められたから庇おうとしてそう言ってるんじゃないのか?」
ごもっともだ。ただそれでも俺が言うよりは効果が出ているようで、若干口調が弱くなっている。
「本当です、なんとなく分かるんです!だからちゃんと話してみてください!」
「そ、そうか…」
謎の『いい人補正』でもかかっているのか凄い勢いで言う彼女に、思わず引いてしまっている。
「……で…だ。お前は本当に口説いてた訳じゃないんだな?」
「あ、はい…そうです…」
完全に勢いが止まったその男性は、最後の確認として微妙に疲れた表情で聞いてくる。
…やっとブレーキかけられた……。
さっきのあのナンパ騒動は、そんな感じで落ち着いた。ちなみに召喚されてからの俺も、ようやく落ち着いた。
なんだかんだでテンション上がってたんだよなー、うん。
そんな風に顧みることが出来るようになっただけ、落ち着いたと思う事にした。
「ところで、お前誰だ?」
なんかさらに疲れた気がした。
「僕は柊斗、多分冒険者です」
「多分、ねぇ…まあいい。急な質問だが、お前は実力に自信あるか?」
出身地とかは聞かないのか?あ、冒険者には余計な詮索をしないって暗黙の了解でもあるのか。
それよりどういうことだろう。この質問をされた意味が分からない。
「あぁ、すまない。理由は後で分かる、とりあえず答えてくれ」
うーん、まあいいか。実力がバレてもそこまで怖くはないし。
ただこの世界の基準、という物が分からないので、どう答えていいか分からないな。
あ、そうか、この人のステータス見てみれば参考になるかな?
ーアニダ
レベル25 HP 12000/12000 MP 70/70 経験値 326/2600
攻撃(物理) 8200 防御(物理) 7700 攻撃(魔術) 1500 防御(魔術) 1000 会心 2140 筋力 2800 敏捷 1890
剣術 30.38 武器防御 3.56 魔力操作 2.31 生活用魔術 2.54
ー
ほーん。レベル高いだけあって結構高いな。それでも俺とそこまで差がないのは俺(というか転生者)がチートなだけか。まあ『そこそこ』って言っておけばいいか。
「うーん、そうですね…自信はそこそこって感じですかね」
「そこそこ、ねぇ…まあ、大丈夫か」
便利だよね、『そこそこ』。やっぱり日本人って物をはっきり言えないから言葉を濁す為の語彙力はまあまああるんだよな。良いのか悪いのかはさておき。
「大丈夫、とは?」
「まあ着いてくるんだ。じきに分かる」
「わかりました」
別にエスパーとかで『分かった』訳じゃないよ?『了承した』だけだからね?
「おう、じゃあ行くか。あ、それと俺はアニダだ、よろしく」
「私はリンです!呼び捨ててください!」
だそうだ。それとリンちゃ…リンは最後の方空気だったから忘れてたよ。
しばらく村の中を歩いてきた。あくまで『村』だからそれなりの広さがあり、家も近すぎない距離感で建てられていた。
「さあ、ここだ」
そう言って男性、改めアニダさんが示すのは一件の家。しかしここまでで見たそれよりも多少大きく作られていた。
「戻りました」
「うむ、お帰り」
どうやらここはリンの家らしい。彼女の声に対して嗄れた低めの声で返事が来る。
「ちょっと待っててくださいね」
そう言って奥に入っていく。
少しして、小さな話し声が聞こえてくる。
「おじい…長老、冒険者の方が来られています」
「そうか、冒険者か…分かった、そこで待たせておるのか?」
「はい、そうです」
「そうか、すぐ行こう」
そうして、足音と共にリンが戻ってくる。
「お主がそうか?」
隣に長老らしいお爺さんを連れて。
「そう、とは?」
聞こえてはいたが敢えて確認する。
「リンが連れてきた冒険者、だ」
「ああ、そういう事ですか。そうですね、僕がその冒険者です」
「名は何と言う」
「柊斗です」
聞かれた事にしか答えず、追加で何かを言う事も無いコミュ障流会話スタイル。
「そうか、ではこれからアニダと決闘をしてもらえるか?」
「決闘ですか?」
「ああ、事情は後で説明する。実力を確認させて欲しいのだ」
「そう、ですね…」
実力をバラしてもいいかとは思ったが、手の内を見せるのは抵抗がある。けど、隠してても進まないか。
「いいですよ。やりましょう」
「そうか、ではこれから10分後に開始する。場所はそこで良いだろう。各自準備をしてくれ」
「分かりました」「分かった」
俺は渡された木剣を置いて、軽く準備運動をこなしていく。
「なんでこんなに急な頼みを受けてくださったんですか?」
「まあ、冒険者なんだし決闘ぐらい普通にするんじゃないか?」
「そうなんですかね。でもとにかく怪我には気を付けてくださいね」
リンの心配そうな声に返事をしつつ、準備をしていく。
あと少しで決闘が開始される。そんな状況に俺は緊張しつつも興奮していた。
「さあ、それではこれより決闘を始める。両者構えよ」
木剣を両手で正中に構える。
「始め!」
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やっと通信量が復活するぅー