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チートな『俺』は異世界にその名を轟かす  作者: 唯
第一章 死亡。そして、はじめてのいせかい。
15/28

この世界で生きること。

ちょっと遅れた!すいません!

少しばかり長めに書かせてもらいました。

 まずは、スキルの確認。


 ―《危険感知》

自分より強く、且つ自分やパーティメンバーにとって危険であればある程大きな音が脳に響く。―

 あー。さっきからビービービービーうるさいと思ったらこれか。それだけ危険って事だな。パーティメンバーについては、まあいいや。


 ―《全属性魔術適正》

現在確認されている火、水、風、聖、魔、土、氷、雷属性の全ての魔術の適正を得ることが出来る。―

 そうそうこれこれ...?こんなに少なかったっけ、いや風属性と火属性は使えるな。ただこれだけじゃ足りない。作るか!存在しない(ない)なら作ればいいじゃないってやつだな。


 「爆発(エクスプロージョン)の時の感じからして、大切なのはイメージだと思うんだよな。勢いは火と風属性で補うとして、何を作るか」

 イメージとしては感触を残さずにある程度の高さまで跳び上がり、そこから急降下して皮膚に攻撃するって感じ。

 先程までの戦闘時の手応えからして、生半可な攻撃じゃこの優位も余力も無駄に失う事になるし、今出来るだけの事をして向わないと。

 イメージから考えると、重力関連のスキルになるかな。飛び上がる時には重力を切る事によってかなり高度が出せるはずだし、落ちる時には逆に重力を強くかければ落下速度も上げられる...と思う。

 ただまあ目に見えるものでは無いし難しいだろうがやってみよう。


 数分後。まだ狼は暴れてる。

 「流石にそろそろ決めないとまずいか」

 この数分で大分掴めてきたし、やってみてもいいだろう。ただしチャンスは一度、逃したらまた考えなきゃだけど。


 神経があまり通っていなさそうな岩に登り、脚に力を込める。それと同時に地面、いやこの星からの重力を断ち切り跳び上がるイメージを固め、魔力を練る。そして十分だと感じたその瞬間、

 「重力操作(グラビティ)!!」

 思いっ切り蹴りだし、真上に跳び上がる。

 数秒と経たないうちに1000m程の高さにまで達しようとしていた。慌てて『グラビティ』を切る。さらに、魔力を回復する。

 「こうして見てみると岩は背中のほぼ真ん中に線を引いたように左右にあるんだな」

 これは使えるかも。それとさらに、

 「ん?向こうになんか家みたいなのがあるな...っと」

 少し遠くも見ていると偶然見つけた。まあそれはいいとして。


 そろそろ上昇が止まる。それを感じると背中にある2本の剣を引き抜く。そして上昇から下降に変わるその一瞬、再び『グラビティ』―いや、違う『ゼログラビティ』で重力を切る。

 同時に、脳内で『カチッ』という音がした気がした。それはどこかにあった強敵やこの世界に対する恐怖という感情が無意識にかけていたリミッターを外した音に聞こえた。

 思考がよりクリアになり、身体の調子も良く感じる。

 下降に備えて体を回し、頭を下に向ける。下降時の勢いをブーストするため、(ブーツ)の裏少し離れた位置に魔法陣を展開。爆発(エクスプロージョン)(小)の起動準備だ。そして風属性魔術『ウインド』を使い、小規模ではあるが下降気流を生み出す。


 ちなみに呼吸する度にMPを回復出来るので、余程でなければ尽きる事は無い。


 右の剣には火属性、左は風属性を纏わせ、体内である術を練る。足りない魔力を適宜回復しつつ補いながら、ある程度まで練ったところで再度回復する。さあ行こう。

と思ったが無重力状態だった事で少し移動していたようだから位置を調整して、靴裏の爆発(エクスプロージョン)を起動する。爆発の瞬間、『グラビティ』によって重力を戻す――――だけでは終わらない。さらに『グラビティ』いや『テラグラビティ』によってむしろ逆に可能な限りまで重力を強くかける。

 「うおっ」

 途端に物凄い力によって地面に向かって弾き出される。そこに爆発の威力、下降気流の影響も受けて、とてつもないスピードで落下して行く。

瞬く間に三分の一程落下すると、両手の剣を最上段に構え、

 「はあっ!」

 一閃。それぞれの剣から火と、風の魔力が刃となって飛んで行く。そして、両手の剣を下に突き出し、剣先から両脚の爪先までを一本の線にして落ちる。そして敢えてここで『テラグラビティ』を切る。僅かに緩んだ加速、微かに生まれた余裕でもってMPを回復する。そして再び剣に魔術式を通す。今度は右に『テラグラビティ』、左に『ゼログラビティ』だ。限界までMPを絞って術を練ったため、再び回復。すると、もう岩狼の背中は目と鼻の先だ。流石に気づいた狼も反撃しようとこちらを向きかけているが、

 「遅いっ!!」

 その攻撃が届く前に、先の一撃によって背中に露出している核に、剣が突き刺さる。現段階でかなりの格上という事もあってかこれだけの一撃でも砕く事は出来ず、中心程までで止まった。

 「それでも...これだけ行けば十分だ!」

 先程から練っていた術式を起す。そこにこれまでのオーバー回復によって300近くまで増えているMPの全てをつぎ込み、強化していく。

 「ぐうっっ」

 流石にこれだけ魔術を連続で行使して(つかって)いたし、MPも何度も削ったせいで、脳が、身体が危険信号を出しているようだ。このままだと、失敗して、負ける、そして、死ぬ。




――――――死ぬ......?

死んだら、どうなるんだ?また転生させられるのか?いやそんな訳は無い。一度転生出来ただけでも物凄い偶然、奇跡のようなものなのに、『次』なんてもうあるわけないだろ?

 そう思った時、誰かの、いや自分の声が聞こえた。


 じゃあ、どうするんだ?諦めるのか?涼の事も、諦めて死ぬのか?

 それは諦めている(やつ)の声。


 諦めたくないよ。だって、あいつは―――


 だとしても、勝てるのか?意識も朦朧としだしたこちらと違い、アイツは核を抉られたぐらいで、まだ余力もある。ここで倒しきらないと、お前は死ぬぞ?

 それは間違い無く死に向かっている俺を諭す声。


 じゃあここで決める。もうそれしか無いんだろ。ならやるしか...。


 今のお前にそれが出来るのか?『死ぬ』覚悟も、刺し違えても敵を『殺す』覚悟も無いお前に。

 それは安易な覚悟で行動した俺を諭す声。


 無理、なのか...?俺には過ぎた望みだったのか?


 なあ、もういいんじゃないか?過ぎた力を貰って舞い上がったお前は結局他の奴らと同じで、ただはしゃいでいただけのガキだ。無駄に死んだ先で得た無駄な力でも、これだけ楽しめたんだ。ならもう満足して休んでもいいんじゃないか?それじゃあ駄目なのか?

 それは俺の甘さを諭し、諦めさせる様な声。その誘いは優しい。


 休む、か......。もう仕方ないのかもな。やっぱり俺はちっぽけな子供、だからもう逆らわずに死んで―――――――――









――――死んでたまるか。―こんな所で《・・・・・》諦めていい訳があるか。絶対に諦めない、生きる事も、涼の事も...。


 だとして勝てるのか?お前にあれを倒せるのか?最後のこの術を完成させられるのか?


 勝つ。やれる。やる。やってみせる。だからもうお前は黙ってろ。





......まあいい。今のお前には覚悟はあるようだし、やって見ればいいさ。例えどうなろうと。


 ああ、やってやる。勝ってみせる!

「うおおおっっっ!!!!」


 そして、扉は開かれる。

今回もありがとうございました。

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