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エッセイなど

バッドエンドを回避せよ!~私の物語のつくり方~

作者: 天界音楽

~注意~


 このエッセイは、実在の人物、物語作品とは一切関係ありません。

 皆さん、こんにちは。鬱展開もバッドエンドも嫌いじゃない天界音楽です。今回は私の物語のつくり方について、つらつらと語っていきたいと思います。


 私の物語は、先が読めないと言っていただいたことがあります。つくり手としては嬉しい言葉ですよね。「五里霧中」「一寸先は闇」みたいな。


 あえて「情報を伏せておく」こと、あえて「間違った情報を真実だと誤認させておく」ことが、霧を呼んでいるのでしょうね。私はさらにそこに落とし穴をたくさん仕掛けておきます。ノベルゲームで言われる「バッドエンド・ルート」というやつですね。(完全な余談ですが作者は『かまいたちの夜』が大好きで、皆殺しの惨劇エンドにうち震えました)






 ゲームにおけるバッドエンドの魅力というものは、それが持つパラレルワールド性に尽きると私は思います。つまり、ハッピーエンドを正史とするなら、バッドエンドはIFの世界、本来はあり得なかった物語なのです。


 ハッピーエンドが好きなプレイヤーたちは、主人公たちが幸せな終わりを迎えられると知っているからこそ、バッドエンドの存在も許せるのです。そして、逆もまたしかり。


 そもそも、エンディングに良いも悪いもないと思うのですが、それを言い出すとどうにもならなくなるので、割愛しましょう。






 さて。私の物語のつくり方ですが、すごろくみたいにして作っております。そうですね、どう説明したものでしょうか。


 すごろくの盤がありますよね。これを「物語の世界」だと思ってください。あなたはプレイヤー、主人公の駒を進めていくひとです。この遊びでは、なにも盤のマス目(イベント)が全て埋まっていなくても良いのです。主人公の顔も、のっぺらぼうで構いません。詳細なキャラづけは後です。


 ただし、ルールだけは大体のものを決めておきましょう。例えば、そう。


 『魔術と呼ばれるものがあって、それを使える人間は稀』

 『王制だけど、諸侯の力が王と対等』

 『貴族じゃなければ家畜同然の扱いをされる』


 大まかなルールがあれば、主人公の動き方にも制限がかかりますから、作り手が最初につまずきがちな「ご自由にって言われても困る」現象が少しは改善されるでしょう。少なくとも「これだけはしちゃダメ」が分かりますから。


 次に、遊ぶためにはイベントを用意します。「ラストのハイライト」ですね。もし、物語途中のハイライトが用意できれば、それもまた。遊びには終わりがくるものですから、何をおいてもまずは、エンディングに至るための「ラスト」を決めます。


 友人に「途中やラストは書けるんだけど、冒頭が書けなくって」と言われたことがあります。うん。冒頭なんて、書き始めたところがまさに冒頭ですよ。ごはん食べてるとか、寝てるとか、戦ってるとか死んだとか。


 唐突だって構わないのです。唐突な方が頭に残りますもの(ただし、戦記ものは最初でガッツリ説明して欲しいから、戦闘シーンから入ったとしても国の成り立ち、歴史、統治者の功罪はほしい)。


 ラストと冒頭が決まれば、お人形(しゅじんこう)ちゃんとすごろくを始めましょう。ラストが決まっているので、主人公の目的は決まっていますね。今回は『魔王退治』ということにしましょう。ならば後は、名前と性別、年齢を決めたら出発です。よろしくね、リリアンヌ(女・11)ちゃん!





 すごろくを始めるのです。リリアンヌちゃんは、力も知恵もお金も仲間もいません。どうやって目的地まで行くのかな? 


 ここで私は、まずバッドエンドから考えていくのですよ(本題)。いたいけな少女が、何の後ろ楯もなく過酷な世の中に放り出されたら、食い物にされてしまうに決まっていますね。リリアンヌに迫る悪漢! ここで蹂躙されてしまうのがまず第一のバッドエンドです。


 ここでヒーローが颯爽と登場したら、とても自然に仲間を出すことができますよね。読者もひと安心です。ヒーローはリリアンヌちゃんに事情をたずねるでしょう。この、「何があったんだい?」という問いかけは大変重要です。


 なぜなら、それがあることで以下の利点を得ることができるからです。


①目的に対する主人公のスタンス(肯定的、積極的、否定的、消極的など)を読者に説明できます。


②目的に対する周囲の反応を、ヒーローを通して描写します。


③ヒーローが協力するかしないかで、主人公が目的をはたせるのか、はたまた「別の目的を持つ」のか。読者がどんな風にこの物語を読んでいったら良いのかを推し量る目安になります。


 こうやって「アクション(行動)」に対して「リアクション(反応)」をとってやることで実にスムーズにすごろくが進んでいきます。どんな「リアクション」を取るか、その積み重ねでキャラクターも目鼻がついて生き生きとしていますしね。





 物語というものは、山あり、谷あり。山をつくろうと思っても、どうしたら良いかわからない、そんなとき。まずは一番最悪な事態を想像してみましょう。


 『主人公が癒えない傷を負った?』

 『家族を殺された?』

 『恋人を寝取られた?』


 何でも構いません。ただし、勘違いしてはいけないのは、家族も友人も恋人も、主人公のアクセサリではない、ということです。安易に「殺すためだけのキャラ」をつくるのはオススメしません。逆に、展開に困ってテコ入れのためにキャラを殺すなんて言語道断です。


 キャラクターには、愛を注がねば。ちょっとした脇役、例えば宿の女将さんや、道端に落ちている浮浪者のお爺ちゃんにも。彼らには彼らなりの人生が、ストーリーがあるのですから!






 さぁ、「最悪な事態」は想像できましたか? それがあなたの主人公の「バッドエンド」です。まずはその落とし穴に向かって一直線な描写をしましょう。読者はハラハラします。そこを軽やかに回避して見せれば、盛り上がること間違いなし!!


 ね? 山をつくるには谷を、つまり落とし穴を掘りましょう。常にバッドエンドのことを考えてください。バッドエンドはあなたの強い味方です。最後にもうひとつ、有益なアドバイスを。『谷をつくりたいときは、頑張って山をつくりましょうね』


 あなたの執筆を応援していますよ!!

 つっこみどころはたくさんあると思います。よろしければ感想に残してくださいませね。

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― 新着の感想 ―
[一言] かまいたちは、その場にいるキャラが全部シルエットなのがいいですよね。 のっぺらぼうだから、逆にストーリーに入り込めるっていうか。 懐かしい。 バッドエンドから考えるっていうのは、イベントだ…
[良い点] バッドエンドから想定する書き方というのにとても共感しました。同志よ…。(握手) あと語り口が好みです。 undertaleのGルートとかお好きそうですね。 [一言] 私も必ず、可愛い主人公…
[良い点] なるほど、バッドエンドから考えるのね! 私は基本的に行き当たりばったりな人間なので、だからキャラがごちゃごちゃするのか! 貴重なご教示、ありがとうございます!
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