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様々なドラゴン~万龍の世界で龍を食う~  作者: 住之江京


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33/36

33皿目【サンドイッチドラゴン】

 ううん。朝食の【もぐらドラゴン】が戻ってきそうです。

 予算の都合でドラゴン狩りについていくことはできなくなった私ですが、グラムさん宅への居候は普通に続けてますので、基本的には朝夕のご飯はグラムさんがお仕事で狩ってきたドラゴンか、たまにメランコちゃんがお土産に狩ってくるドラゴンということになります。お昼は購買でフルーツサンドとか買うんですけどね。ほら、エルフって基本草食ですし。

 早朝からお仕事に出掛けたグラムさんを見送り、のんびり朝ごはんの【もぐらドラゴン】の蒸し焼きを食べてから学校へ向かった私は、いつも通り学園生活を満喫するつもりだったんですけれど。


 こう、ですね。


「姓もないような蛮族が、この伝統あるリゲル学院に通っているなんてね」

 知らない人間の人に、フン、と鼻で笑われましたが、何なんでしょう、この状況は。

 姓はないけど氏はあるんですが、エルフの氏なんか人間社会で名乗ったら殺されますよねえ。結構人間慣れしてきたつもりの私ですけど、やっぱり人間に悪意向けられると怖くて吐きそうになります。うええ。

「大丈夫? ゲッカちゃん」

 私は隣で背中をさすってくれる友人にすがりつきました。

「アビー、アビー。何なのこの人。うおえええ……」

 人の顔を見る、という行為と、嘔吐を催す、という反応を続けて示すのは、とても失礼なことだとは思いますが、まあ仕方ないです。たぶん先方すごい怒ってると思うので、視線はアビーに合わせて動かしません。怖いので。

「あれはサンドイッチ伯爵家の次男か三男の人だよー。なんとか=サンドイッチさん。確か二年生」

 アビーから得た曖昧な知識は、徐々に私の中に染み込んでゆきます。

「サンドイッチ……えっ! あのサンドイッチ伯爵!?」

 跳ね起きました。

「ほう。下賤な蛮族にも我が…」

「サンドイッチ伯爵っていうと、あれですよね! あの【サンドイッチドラゴン】を発見した!」

 ほ、本物の伯爵家ですよ!! おおおお、ちょっと感動です!!

 【サンドイッチドラゴン】は【食パンドラゴン】の変異種で雄しかおらず、雌の【食パンドラゴン】を集めてハーレムを作る習性があります。通常の【食パンドラゴン】は茶色と白の地味な色なんですけど、【サンドイッチドラゴン】はピンクや緑、黄色と言った派手な色のまだら模様なんですよ。で、常に両脇に雌の【食パンドラゴン】を抱えて挟まれているんです。狩るのが比較的楽で、味も良好。【食パンドラゴン】の肉と一緒に料理すると旨味が増すんですよねえ。

 この【サンドイッチドラゴン】の見た目を元にサンドイッチって料理も作られたんですが、これを発明したのは炭焼き職人か何かだった気がします。よく覚えてませんけど。

「ゲッカちゃんドラゴン好きだよねー」

 アビーはこの事態にまるで動じません。何と言う胆力でしょう。都会の子って感じです。

「すごいなー、この学園、本物の伯爵の人もいるんだねえ!」

「公侯伯子男は一通り揃ってるよー。二個上に皇太子殿下もいるし」

「でも伯爵以外はあんまりドラゴン発見しないしねえ」

「んんー? その辺はよく知らないけど」

 私は呆けたように固まっていたサンドイッチ伯爵家の人にサインを貰って、アビーと連れ立ち、揚々と教室に向かいました。

 うーん、今日はなかなか良い日になりそうです。

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