表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
様々なドラゴン~万龍の世界で龍を食う~  作者: 住之江京


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/36

12皿目【マックドラゴン】

 【マックドラゴン】で隣の席の女子高生が、

「この前、拾った求人誌読んでんだけどさ、社員退職のため急募って記事があったわけよ」

「まず拾うなし。で?」

「募集職種がさ、事務、総務、経理、営業、工員、Webデザイナー、幹部候補」

「やめすぎでしょ」

「当方社長」

「ボーカルかよ」

 なんて会話をしている。女子高生も暇なんだな、と意識の外に他人事を流し、目の前のストローに集中する。

 俺とゲッカは【マックドラゴン】で、新発売の《さくらんぼシェイクブレス》を飲んでいた。

「なんか損した気分になりますねー、これ」

 飯を食っている時は大概上機嫌なゲッカだが、この《さくらんぼシェイクブレス》はお気に召さなかったらしい。

「口に合わないか?」

「いえいえ……嫌いな味ではないんですが、好きでもないですし、何というか、こう、お金を出した割りには原価率がといいますか」

 【マックドラゴン】はドラゴンの中でも比較的危険度が低く、一般人でもブレスの残滓や糞、剥がれた鱗程度なら手に入れることができる。これを商品として販売しているのが、マクドラと呼ばれる営利組織だ。普段ドラゴンハンターの助手として命懸けでドラゴンを狩っているゲッカが、たかだか(・・・・)拾い物に金を出すのが気に食わないというのは、まあわからんでもないが。

「飯屋ってのはな、場に金を払うもんだ」

 休む場、話す場、高級店ならそこに入ること自体が価値を持つ。俺はそう言って、隣の席の女子高生に視線を向ける。ゲッカも釣られてそちらを向いた。【マックドラゴン】で隣の席の女子高生らは俺達の視線に気付くこともなく、

「拾った求人誌に、コンビニの募集があったんだけどさ」

「熟読しすぎ。で?」

「週五勤でも週六勤でも自由に選べます!」

「自由度低すぎでしょ」

「オープンワールドにしろっての」

「いや店には居ろし」

 等とだらだら言い合っている。

 その様子を目にしたゲッカは、何事か一人で頷くと、こちらの耳元に口を寄せ、

「こいつら相当人生無駄にしてますねえ」

 と囁いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ