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あんさんぶるっ  作者: 風谷かほる
第一楽章
4/5

基礎練習

 私達ギター部の毎日の練習はパート練習から始まる。


 「はい、始めるよー。」

パートリーダーの柚希先輩が声をかけ、メトロノームの針に手をかける。


針が先輩の手から離れると、吸い寄せられるように針の先は反対側に弧を描いて動き出す。


カチッ、カチッ、カチッ、カチッ...


針はおもりで振り子となり、右端へ左端へと往復し、端に着く度に軽い音を立てる。


 「じゃあ遠藤からー」

パートの九人が一斉に“遠藤”を始める。

全員がメトロノームの音に合わせて一音ずつ音を出し始める。


 基礎が大切なのは音楽でもギターでも同じことで、パート練習は基礎練習から入る。

 基礎練習にはいくつかメニューがあるがバスパートの基礎練メニューには全てに名前がついている。

それも歴代の先輩方やライバル校の名前が...


 顔も知らぬ、おそらく上手かったのであろう先輩方やまだ見ぬライバル達がどんなものであるかと想像を膨らましながら一年生は毎日練習に励む。

 自分もとびきり上手くなったら(基礎練習に)名を残せるのだろうか、と余計なことまで頭に浮かぶ。


 「はい、早弾きー!テンポ176からねー。」

げっ、早弾きだ。基礎練習のラスボス。

ドレミファソラシドレミファ...と音階を上がったり下がったりを高速でこなすのだ。

1セット終わるごとに柚希先輩はメトロノームのテンポを上げていき、メトロノームの最速テンポ208までこれを続ける。

どんどんテンポが上がるということはスピードが速くなるということだ。


 弦を押さえる左手の指が指板の上を走る。

 私は途中から追い付けなくなる。


 早弾きは簡単にはできるようにならない。

 だからこそ一年生は必死になって競うように練習する。

 早弾きの練習にもたしか先輩の名前が付いていたような気がするけれど、早弾きと言ったほうがイメージに合うせいか、早弾きで定着していしまってしる。

 誰もが憧れる早弾きの天才が基礎練習の名前に残らないとはなんとも皮肉なものだと思った。


 先輩の指が風を切って走っているようだ。

かすかに感じた風は、窓から入ってきた風だというのに。

指板とは、ギターの柄の表側、弦の張ってあるほうに貼ってある平らな板のことです。

指板にはフレットと呼ばれる金属の横棒が弦と垂直になるように何本も埋め込まれています。

クラシックギターの弦は基本6本。

弦を押さえると弾いたときに振動する弦が短くなり、高い音になります。

フレットは押さえるとき、押さえられた弦の支点になる役目があります。

弦を移動したり押さえる位置を変えることでいろいろな高さの音を出せるのです。

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