帰り道
ギターアンサンブル。似たようなものでギター合奏とかギターオーケストラとも呼ばれたりします。
まあ、簡単に言えば、ギターの合奏です。
筆者が高校でギターアンサンブルに出会い、この世界を他の人にも知っていただけたらなぁと思いつつ、私の半エッセイ的なフィクションでお送りしたいと思います。
あー、現役やOB.OGに見つかったらすぐバレそうだな(笑)
気恥ずかしいので見つからないことを祈りつつ、ひっそり書いていよっと。
「ねぇねぇ、そのジュースおいしそう。僕にも分けてってば。」
背中からせがむ声がする。
「嫌よ。分けてあげない。ーでも、そんなにおいしくもないわよ?このジュース。」
そう言って茜は缶ジュースを飲み干し、近くの自販機のゴミ箱に空き缶を突っ込んだ。
真夏の昼の太陽の暑さが、日が落ちても居座っていた。
背中からケースの中で揺れるギターの音が聞こえる。
茜の心にも、まだ昼間の熱狂が残っている。
夏休みの終わりに開かれるコンクールに向けて厳しい練習が続いていた。
8月3日。明日から3日間盆休みである。
夏休みに入ってから休みなしで練習を続けていた。
ここにきてようやく休みの日が...。
それでも茜には不安と焦りと、興奮と期待を抱いていた。
次の練習は...そんなことばかり考えていた。
「ねぇ?大丈夫?そんなに黙っちゃって。気分でも悪いのかい?」
「いんや。大丈夫。大丈夫だよ。」
傍からは、一人で会話をしているおかしな女子高生にしか見えないだろうが、幸い近くに通行人は茜以外にいない。
「ここんとこ練習続きだったけど、君もよく練習がんばっているじゃないか。」
「そうかなぁ。私はまだまだダメだよ。全然上手くならないしみんなの足引っ張ってしかいないし。それに同期のみんなはきっと私より練習している。私なんかクズだ。」
「そんなことで悩んでいたのか。とにかく今は焦りすぎるな。粘れ粘れ。進み続けることが重要なんだ。挫折して立ち止まったらそこで終わりだ。
それに上達していないことなんて無いぞ。まだギターを始めて3ヶ月ぐらいなのにコンクールの舞台に乗ること自体無茶だ。けれど無茶のない人生なんてつまんないぜ。僕も君も若いんだから無茶を楽しもうじゃないか。」
うん、と頷いて俯いていた顔を上げた。
茜を励ましているギターは、茜が毎日練習を共にしている大事な相棒だ。
彼にはスナフキンと名付けた。
普段学校では大抵静かにしているが、こうして他人のいない二人きりになると茜に向かって話しかけてくる。
茜がギターと巡り会ったのは、高校のギター部のおかげだ。
先輩たちの演奏に心を奪われ、ギター部に入ったのは今から3ヶ月半ほど前の4月中旬であった。
先輩と同期に囲まれて練習に明け暮れる日々。
同期の誰もが慣れない楽器を一生懸命鳴らそうともがいていた。
茜も例外ではなく、その一人であった。
熱気のこもった空気の向こうに坂が見えて、往来の車のヘッドライトが空気中の水蒸気に乱反射したかのように輝いていた。
家はもうすぐだ。茜は足を早めた。
一年生かー懐かしいなぁ。
あの頃の自分、励ましたい!
そしたらその先もうちょっと頑張れたのかな、なんて今言っても仕方ないですね。
今の私は2年生も終わろうとして、引退まであと1週間となりました。
ええ。ギターとお別れです。
でもこれからは作品の中でもう一度自分を振り返りつつ、登場人物達の青春を描けたらなと。
この作品を更新することがこれから受験生となる私のささやかな楽しみとなりますように(笑)