第四章①
夢。
夢でならば。
私は彼女と何度も会っている。
夢の中でなら。
私は彼女の親友だ。
その限りなく現実的。
しかし遠くは限りなく幻想的で輪郭の曖昧な世界でならば。
私は彼女の隣を歩いてもいいの。
許されるの。
誰も何も言わないの。
世界は、私と彼女だけのもの。
彼女は形のいい肩で私の頭を受け止めてくれる。
その時間。
二人で歩く時間。
イタリア製のロッキンチェアに揺られているような。
霧が這う底の深い湖でゆらゆらと泳いでいるような。
メリーゴーランドのように煌めく回転の時間は。
現実ではなくって、夢の世界。
それってセンチメンタル・ピストル・ブギの世界なの。
目を瞑れば私はその世界にいつでも行くことが出来る。
目を瞑って、ちょっと待ってあげるだけで私は。
いつでも彼女の隣に跳ぶ。
そう、
跳ぶんだわ。
その手続きはとっても簡単で。
ええ。
分かっていた。
とっても虚しいことだってそれは。
分かっていた。
分かっていたんだ。
だって。
私が彼女と並んで歩く未来なんて。
不可能だと思っていたから。
でも。
でも。
でも。
でもね。
これって何!?
夢!?
夢じゃなかったら、何なの!?
私は彼女と週末に。
錦景地下街を歩いていたの!
信じられる?
過去の私って、こんな未来をどう思う?
凄い!
凄いでしょ!
凄い偶然なんだって!
何度言っても言い足りないほど、凄いことなんだって!
過去からのいろんなことが重なって。
どれも欠けてはいけないパーツが組み合わさって。
産まれた世界。
それが今!
その中でも一番大事なパーツのあなたって、本当に最高!
私には。
私があなたのことを気にならなかったら。
ええ、
きっと、
それ以外の方法なんて用意されていなかったんだわ!
あなたってきっと天使ね。
それか最高に、ファンシィで、キディで、エレガントな、可愛い兎ね。
可愛いバニーちゃん。
だから。
だから分かって。
私の気持ちを分かって聞き分けて。
干渉しないで。
あなたが蒔いた種なんだから。
あなたが途方もなく、遥かに離れてしまっていた糸を引き寄せて偶然にしてしまったんだから。
例え未来への選択が一瞬のふらっとした気の酔いだったのだとしても。
取り消してなかったことにしようだなんて。
それって少し。
いいえ、かなり。
残酷よね?
あなたにとっては簡単なお土産だったとしても。
それを返せだなんて。
私はもう、
チョコレートは食べちゃったんだから吐き出せない。
もう返せない。
返さない。
もうこの繋がってしまった糸は切れない。
切れない糸。
この糸には触れないで。
そのピンと張った糸の鋭さは。
あなたの指を血の色に染めてしまうから。
赤く、
黒く、
どろどろして鈍く光って。
とっても嫌な色は見たくないの。
夢でも見たくない色ね。
見たくないんだけれど。
でもたまに見るの。
夢で血を。
なぜかしら?
夢占いの結果を私はまだ知らない。
知りたくもないってことよ。
分かるよね。




