プロローグ
プロローグです。主人公の説明などをしたいので、三人称で書きました。多分、次回からは一人称に戻ると思います。適当ですみませんm(_ _)m
いつの日だっただろうか。
この世界にアーツが生まれたのは……
そして、この世の中を一気に変えてしまったのは……
アーツ、それは人々の中に宿る不思議な力。
個人個人によって、まったく同じ能力になることは無い。
その能力は人々を助けることに使われたり、逆に人々を苦しめるために使われたり……
能力が覚醒するのは、人によってバラバラであり、生まれた瞬間から覚醒する者、生きているうちに覚醒しない者など、何が影響しているかなどわかっていない。
能力が覚醒すると、凶悪な力ゆえに普段通りの生活が出来なくなったり、兵器として連れ去られたりする事がよくある。
そして、素晴らしい力の持ち主が、世の中で様々な優遇を受ける。
努力や根性では辿りつけないほど、アーツというものは世界で重要視されている。
そんな世界。
徒広い森の中を、一人の少年が歩いていた。
背丈はやや低く、優しそうな顔をしているせいか、大人からは可愛がられ、同級生からはいじられているような少年だ。
名前はアルテミシア。
なぜ、彼がこんな森の中を歩いているかといえば、道に迷ったのだ。
彼が通っている学園で、薬草を摘みに行く事になっていた。
しかし、彼は薬草のある場所に辿りつく前に、観察用のルーペを落としてしまったのだ。 それを探しているうちに、森の深くまで入り込んでしまったのである。
「参ったなぁ……人でもいれば道とか聞けるんだけどな……」
そういう風に考えるものの、見渡す限り木ばかり、そんな希望など叶わないだろう。
食料など持っているわけも無く、歩いているだけで空腹や疲労が大きくなっていく。
しかし、ここで倒れてしまったら、本当に死んでしまうだろう。だからアルテミシアは歩き続ける。
周りに生えている草や葉を食べれば、少しは空腹を紛らわせるかもしれないと、アルテミシアは近くにあった葉を千切り、口へと運んだ。
「不味い……」 そう顔をしかめながらも、空腹には勝てず次々と葉を千切っては口へと運ぶ。
少しは空腹が回復したアルテミシアは、また歩き出す。夜になってしまえば、凶暴な獣が起きだしてしまう。
時間はわからないが、空が青色から赤色に変わり始めているのを見ると、夕方なのではないかと思う。
このままではアルテミシアは本当に死んでしまうかもしれない。
しかし、運がよかったというのだろうか。アルテミシアの目に家らしきもが見えたのだ。
アルテミシアは喜んで走り出した。疲労など忘れて。
家のように見えたものは本当に家だった。その家の周りには木があまり生えてなく、家の周辺は赤色に染まっていた。
「家だ! 助かった!」
アルテミシアはその家のドアをトントンとたたいた。
中から人が動く気配がした。どうやら、人が住んでいるようだ。
そして次に聞こえたのはダンッという人が転んだような音がして中から「いたた~」という声がした。
しかし、それから何のアクションも無かったので、どうしたのかなと思ったアルテミシアはドアを開けた。
「あの~」
ドアを開いた先には、少女が足を抱えながら座っていた。どうやら、先ほど転んだ時に足を打ってしまったようだ。
「だ、大丈夫ですか?」
アルテミシアは少女に近寄り、触れようとした。
その時少女は、怯えたような表情になり、慌てて起き上がって大丈夫ですと笑った。
アルテミシアは少女に怖がらせてしまったかなと思い謝ろうと口を開けた。
「驚かせ……て……ごめ……」
しかし、アルテミシアは最後まで言えないまま、倒れ込んだ。
(あれ? 体が動かないや。そういえばまぶたが重い)
そしてアルテミシアはそのまま意識を失った。