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アンセストリー  作者:
3/3

第3話 「予想外の事態」

「お兄ちゃん……またね……バイバイ」


「おう。じゃあね!」


 極寒の地帯に足を踏み入れた車両は、この先にはいけない。


 極北というくらいの地帯だ。車の中で過ごせる気温などとうにこえている。


 だから、特殊な飛行機に乗りかえが必要になるわけだ。



 あの後俺は少し眠り、窓からの外の光に照らされて目が覚めた。


 しばらくして、避難車両の乗り換え地点に止まり。今こうしてるわけだ。


「ここで、お別れか…」


 少し関わっただけであっても、この子とは名残惜しいな……


「行くところは、かなり寒いところだから、気をつけなよ。あと頑張れ、パパとママも見てくれてるから」


「うん!お兄ちゃんもね〜」


「おう……。貴方もお気をつけください…」


「はい……」


 低めの声で、疎外感の抜けない声だ。


 親代わりであろうその男は、俺の言葉に、気だるげに背を向けて、飛行機の方へと向かっていった。


 まるで、住んでる世界が違うと言われているようだ


 男が背を向けて歩いているの対し、その少女は姿が見えなくなるまで、手を振ってくれていた。


 姿が見えなくなって、名残惜しさだけが、未だに消えてはくれない。


「…ふぅ……色々、疲れるな」


 少し大きくため息をつき、雪で覆われた景色をみる。


「にしても、多いな。」


 その雪景色の中で、大半を占めるのが、避難輸送者だ。


 この地点に避難してきた車両が一斉に止まっている。



「歪なもんだな。」



 大勢が飛行機へと向かっていく、足跡を響かせながら……愛するものを連れて……



 どんどん、意識が引き込まれていく、まるで、重力の渦が俺を掻き乱して行くように


 俺はどこにいるのだろうか。



 その瞬間


 地響きとともに、衝撃音が耳を貫く。



「胞子雲だと……」


 行き交う男が言った。


 胞子雲……


「なぜ……ここに……」


 うそだろ。


 そびえ立つ山の上に、

それ以上のデカさを誇る、胞子雲。


 何故だ……



 見上げる迫力さに息が詰まる。


 足の動かし方を一瞬忘れるほどだった。


 一斉に動き出す人々……叫び声や怒号が鳴り響く。




 その胞子は繊維化の病を引き起こす、吸った量に比例して内部から、養分を吸い尽くし、自らを増やし、人間の形を上書きした植物の完成だ。



 記憶が甦る、誰かがそう言っていたのを…

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