第3話 「予想外の事態」
「お兄ちゃん……またね……バイバイ」
「おう。じゃあね!」
極寒の地帯に足を踏み入れた車両は、この先にはいけない。
極北というくらいの地帯だ。車の中で過ごせる気温などとうにこえている。
だから、特殊な飛行機に乗りかえが必要になるわけだ。
あの後俺は少し眠り、窓からの外の光に照らされて目が覚めた。
しばらくして、避難車両の乗り換え地点に止まり。今こうしてるわけだ。
「ここで、お別れか…」
少し関わっただけであっても、この子とは名残惜しいな……
「行くところは、かなり寒いところだから、気をつけなよ。あと頑張れ、パパとママも見てくれてるから」
「うん!お兄ちゃんもね〜」
「おう……。貴方もお気をつけください…」
「はい……」
低めの声で、疎外感の抜けない声だ。
親代わりであろうその男は、俺の言葉に、気だるげに背を向けて、飛行機の方へと向かっていった。
まるで、住んでる世界が違うと言われているようだ
男が背を向けて歩いているの対し、その少女は姿が見えなくなるまで、手を振ってくれていた。
姿が見えなくなって、名残惜しさだけが、未だに消えてはくれない。
「…ふぅ……色々、疲れるな」
少し大きくため息をつき、雪で覆われた景色をみる。
「にしても、多いな。」
その雪景色の中で、大半を占めるのが、避難輸送者だ。
この地点に避難してきた車両が一斉に止まっている。
「歪なもんだな。」
大勢が飛行機へと向かっていく、足跡を響かせながら……愛するものを連れて……
どんどん、意識が引き込まれていく、まるで、重力の渦が俺を掻き乱して行くように
俺はどこにいるのだろうか。
*
その瞬間
地響きとともに、衝撃音が耳を貫く。
「胞子雲だと……」
行き交う男が言った。
胞子雲……
「なぜ……ここに……」
うそだろ。
そびえ立つ山の上に、
それ以上のデカさを誇る、胞子雲。
何故だ……
見上げる迫力さに息が詰まる。
足の動かし方を一瞬忘れるほどだった。
一斉に動き出す人々……叫び声や怒号が鳴り響く。
その胞子は繊維化の病を引き起こす、吸った量に比例して内部から、養分を吸い尽くし、自らを増やし、人間の形を上書きした植物の完成だ。
記憶が甦る、誰かがそう言っていたのを…




