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金よりも白金

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

「うーん。金も作れるようになったけど、また大きな魔法陣になったよな。大きくて、魔力消費が重い。使い切ろうとすると魔力酔いが起こるし、それでも金が15gくらいしか出来ない。魔力酔いはマジでクラっと来たからなあ。魔力が多いって言っても、所詮はこの程度か」


 金を錬成する魔法陣の開発には成功した。……鉄の玉よりも小さくて、無くすと嫌なんだけど。そもそもである。魔力が毎日どの位回復しているのかは、良く解らない。満タンまで回復しているような気がするが、本当にそうなのかは断言できないんだよな。魔力を数値化出来ていないんだから。魔力が数値化出来るのであれば、した方が良いとは思う。それで、消費魔力とかも調べて、論文を書いてみたいとは思うんだよな。今回こそは、認めて貰うのだ。


 まあ、魔力の数値を固定化するのは難しいし、基本的には個人の感覚頼りだからな。これを数値化しろって方が難しいんじゃないのか? 出来る方法があるとして、魔力酔いをしないような方法を探さないといけない訳だ。そんな事は不可能なのではないかと思っている。何かしらの方法があったとしても、魔力酔いの事に関しては付きまとう様な気がしているんだよ。


「そもそも金が売れるのかどうかも解らないんだよな。商人に聞くにしても、まだ夏には早い。作物もすくすくと大きくなってきたが、まだ脇芽処理には早いだろうし。沢山実をつけたいのであれば、適度な脇芽処理は必要になる訳ではある。が、脇芽とはそもそも実のなる部分を作るために生えてくるのであって。実の数を少なくして美味しくするという発想はあっても、それを肥料を使う事でどうにか出来ないかという実験も含んでいるのだ。余りにも脇芽を処理しすぎるのも問題なんだよな」


 農業とは専門職だ。簡単に農業が出来ると思ってはいけない。誰でも出来るなら、そもそも商売としては成り立たないのだよ。難しいからこそ、農家という専門職があるんだからな。家庭菜園で皆が自給自足できるのであれば、農家なんぞ必要ない。だが、それでは手間がかかるし、そんな時間も土地も無いからこそ、農家という専門職が居るのだ。農家を舐めてはいけない。実験として考えてみると、毎日変数が違う中で、探りながらやらないといけないというのは、かなりの難易度なのだ。それで間違えれば、仕事として失敗するのだ。神経をかなり使うし、世界との読み合いに勝たなければならない。農家とは尊敬できる専門職だ。実験室で同じ変数で実験ができる科学者とは、立っているステージが違うのだよ。研究室の規模でやるのと、地球規模でやるのとでは、レベルが格段に違う。故に、私は農家をリスペクトしている。毎日条件が違う実験をやりつつ、同じ成果を求めているのだからな。尊敬に値すると思うぞ。


 そんな私はというと、金の魔法陣に苦戦しているありさまだ。かれこれ5日くらいは悩んでいる。鉄の魔法陣よりも、大きいのは仕方がない。それはどうあがいても大きくなってしまうのだ。だが、まだ効率が悪すぎる。幾らなんでも、これでは……。もっと良いものが出来上がるとは思うのだ。思っているだけで出来ないのだが。何がいけないのかが解らない。出来ることはやってきたはずなのだ。だが、何故に不完全だと思うのか。もっといいものがあると思えるのか。それが何故なのかが解らない。魔法陣に関係する知識がまだ足りないというのか。それはそうか。まだなんだかんだと1年しか魔法に触れていないのだ。まだまだ年月が足りない。経験値が足りない。……他の魔法も見てみたい所ではあるが、教会で聞いても、6種類の魔法以外は知らないと言われてしまったしな。


「まだ何か出来ると思うのだがな……。これでも十分に凄いとは思う。だが、何かが足りないと感覚的に解ってしまう。まだ何か、私の知らないことがあるはずだ。それが解れば、魔法陣はもっと簡素化出来ると思う。ここまで大型の魔法陣にならなくても済むと思うのだ。……だが、今の知識では、これ以上は不可能な気がする。上流階級の知識が求められるのだろうな。それがあれば、全く違うものが出来上がるとは思うのだが……」


 お手上げと言う事だな。これ以上の効率化は、今のままでは無理だ。無駄が多すぎるのも、仕方がない事なのだ。何とかして知りたいとは思うが、今はまだその時ではない。まだ何も出来ていないのだ。もっと出来る様な環境に入りたいとは思う。それが出来る環境には、どうやって入ればいい? 確定なのは、村を出なければならないと言う事だ。


「村を出るのはいい。出るのはそもそも確定している。兄弟がここまで多いのだ。家を継ぐにしても、限界があるだろうからな。良くて次男までが家に居られると言う事であり、三男以降は村を出て、町へと向かわなければならないだろう。その時が勝負になるのだろうな。そこで何かが起きるのを待つしかないのか? いや、何か方法はあるはずだ。村を出ることになるまでに、それらを見つけなければならない。しかし、村の外を知る方法がない。……やはり商人が何度も来る環境に整えなければ無理、か。外からの情報源である、商人を捕まえないと無理だと思うな。それにはやはり特産品が必要になる。鉄は商人を繋ぎとめるための楔になるのか?」


 鉄を餌に商人を釣る作戦だが、上手くいくのかどうかだな。鉄なんぞ、他の村でも作っているだろう。今まで作っていなかったこの村が異常なのだ。簡単な発想で鉄を作る魔法陣は作れる。故に、独占できているとは思わない方が良いだろうな。……金は別だ。金に関しては、魔力量が相当な量必要となる。銀なら……。いや、駄目だ。銀では商品価値が弱い。銅なら更にだな。白金は、そもそも作れるとは……。いや、白金でも良いのか? 金よりも白金の方が商品価値としては高い。創るにしても、白金だと金とそこまで変わるものではない。寧ろ白金の方が元素番号は1小さい。その分、生み出せる量も多いのではないか?


 試してみよう。白金の方が価値が高い以上、金よりも多く生み出せるのであれば、白金の方が得だ。……ならば、鉄よりも銅の方が得か? いや、利便性を考えれば、銅よりも鉄の方が良いだろう。中途半端な価値の銅では、捌くのに時間がかかるかもしれない。それならば、必需品である鉄の方が幾らか良いのは確かだろう。


 ……良し。金と白金を書き換えた。これで魔法陣が上手く作用してくれれば良いんだが。……いや、魔力の流れが悪い。何故だ? いや、ここか? 10族と11族の差があるのか。であれば、ここを変更し、こっちを削除すれば、これでどうだ? これなら……。うん。まだマシになったな。まだ魔力に無駄がある様に感じるが。これは今は解消できないだろう。この無駄な部分は、何かで代用できるのかもしれない。しかし、その何かが解らない。実に悩ましい。考えるだけ無駄だとは解っているが、無駄だと解るくらいには、魔法陣を熟知してきているのだ。これでは余りにも……。


 だがまあ、これで納得するしかない。金よりも白金の方が価値があるのだ。元素番号は白金の方が1低い。その分を考えれば、これで良かったのだろうとは思う。これで金の100分の1程度しか生み出せないとなっては、色々と考えないといけないのだろうが、そんな事は無いはずだ。これが今考えられるベストの筈だ。これ以上を望むのであれば、上流階級の教育が必要となってくるだろう。それを受ける機会があれば、受けてみたいとは思う。

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