食糧庫の増設案
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「今回はどう? 良い感じになったと思うんだけど」
「ああ。文句も付けねえくらいにはしっかりと耕せているな。これを魔法でか。……何処まで出来るんだ?」
「とりあえず狭くやっているから、この辺一帯は出来ると思うけど?」
「そうか。……父さんも使えるか?」
「勿論だと思う。皆が使える様にならないといけない魔法でしょ? そんな変な魔法じゃないし」
「……良し! そう言う事にしておくか! とりあえず魔法陣を教えてくれ。まずは父さんがやってみよう。これが良ければ、皆に教えてやらないといけないからな」
「魔法陣はこれだよ。これを引き延ばして、範囲を決めるんだよ。そうしたらそこが耕されるから」
「……なるほどな。四角い魔法陣だなと思ったんだが、そう言う事か。……この辺で良いか。じゃあこれを大きく引き延ばして、むん!」
およそ1aくらいの畑が耕された。うんうん。この位の広さなら父さんの魔力量でも出来るのか。まあ、そこまで難しい魔法でもない訳だし、出来て貰わないと困るんだけどな。これで畑が一気に広くなる。広くなると言う事は、一気に麦畑が広くなると言う事でもある。……まあ、今年はちょっと麦を減らして、野菜を多めに作らないといけないだろうけど。種麦に使ったら、食べられないからな。寒村にそんな余裕はない訳で。勿論だけど、それは解っている。解っているけど、麦を増やせる機会があるなら、増やしていかないといけないとは思うんだよ。
「……本当に畑が広がりやがった。これは楽だな。楽すぎる」
「何度も改良を重ねたからね。父さんの要望も結構入れ込めたと思うんだよ。これで畑を耕せば、一気に畑が広げられると思うんだ。父さんの魔力はまだ足りてる?」
「ん? おう。もう3回くらいは出来ると思うぞ。これは皆にも教えてやらないと駄目だな。俺たちだけが独占して良いものじゃない」
「そりゃそうでしょ。皆の畑も広くなってもらわないと困るんだし。麦は共有財産なんでしょ? 野菜である程度の差をつけるんだから、麦は大量に用意しないといけないんだよ。麦は税でも取られるんでしょ? だったら沢山作った方が有利になるしね」
「……そこんとも解ってたか。俺は皆に教えてくる。お前は母さんたちに教えてやれ。畑を広げられるだけ広げるぞ!」
「勿論だよ!」
寒村脱出がまずもっての目標なんだから。出来ることは積極的にやらないといけない。折角魔法という技術があるんだから、使わないと損である。ガンガンと使っていく方が良いんだよ。魔力はタダなんだし。タダなんだから、使わないと勿体ないんだよ。それに、教会で教えて貰った感じだと、魔力は回復するらしいし。回復量は、個人差があるらしいんだけど、しっかり食べて、しっかりと寝れば、普通の魔力量の人なら回復するらしい。俺はちょっと解らないって言われてしまったが、逆に言えば、ある程度は回復するんだから、それを基準に魔法を使えば良いのである。
「そんな訳だから、これでどんどん畑を広げるんだよ」
「本当にそんな事が出来るのね。楽でいいけど、魔力が足りるかしら?」
「さあ? でも、限界まで使う必要は無いんじゃないかな。一気に耕せるって解ったんだし。1日で全部耕さないといけない訳じゃあ無いんでしょ? それなら明日もやれば良いんだよ」
「それもそうね。それじゃあ教えてくれるかしら?」
母さん、長男、次男にも魔法を教える。そして、どんどんと畑を耕してもらって、1日で20aくらいの畑が作れた。……これは凄い事なのでは? 4人で1日20a耕そうと思ったら、大変だぞ? 機械も何も無しで、鍬だけで耕そうと思ったら、結構な重労働なんだ。腕も腰も傷めるだろうし、毎日なんて続けられないだろうからな。でも、魔法なら毎日でも耕すことが可能だ。……俺も参加したら酷いことになるんだろうけど、それはしない。俺の魔力量が多いらしいことは、一応両親には言ってあるからだ。魔力を大量に使う事でのごり押しは、止めた方が良いとは思う。この村の為にならないしな。ある程度の再現性は必要になって来るとは思うんだよ。
そして、夜。爺さん婆さんとも一緒に食事を食べる。……食事の量が一気に減った。すなわち、麦をそれだけ植える方向に話を持っていったと言う事なんだろう。暫くはひもじい生活が始まるのか。まあ、それで寒村が脱出できるのであれば、なんとでもするという固い決意が見えた。これで良いと思うんだよ。寒村からの脱出には、多少の痛みが伴わないといけない。見ていると良い。今年の収穫は一気に忙しくなるぞ。作業が半端じゃなく増えるだろうからな。……食糧庫の増築をしなくても良いんだろうか?
「ねえ、父さん。食料庫って増築しないでも大丈夫なの?」
「……あー、しないと駄目だろうな。そうじゃないと麦が入らん。そうか、そうなってくると、もう1つ作らないといけないのか。でもまあ、それは種蒔きが終わってからだな。収穫までには食糧庫を作らないといけないだろう」
「そうよね。……それに野菜を沢山作らないといけないけど、人手はそっちに取られるのよね。食料が足りるかしら?」
「何とかなるだろう。今年だけの辛抱だ。来年からは、腹いっぱい食べられるようになる。少しばかり、我慢の時だ。ここさえ耐えれば、麦の量は一気に増える」
そうなんだよなあ。食糧庫を増設すると言う事は、人手を取られると言う事である。その人手は、野菜を作るための人手でもあるんだ。それが難しいとなると、本格的に肥料を作らないといけないだろうな。……最適な配合なんて解らない。必要な要素は解っているが、それが多すぎても少なすぎても駄目なんだ。肥料は与えすぎると作物が実らなくなる。ひたすらに成長だけに栄養が使われて、実に栄養が足りないなんて事も起こり得るのだ。……そうなると、凝った物は厳禁だな。窒素、リン酸、カリウムの3種類で配合してみよう。それならば失敗は少ないはずだ。
肥料に関しても研究をしよう。最適な配合を試すには、実験農場が必要になる。実験場所も確保しないといけないし、肥料の配合も考えないといけないだろうな。……紙があれば良いんだろうけど、そんなものは無いし。高級品だからな。そんな簡単に入手できるようなものじゃない。となると、木札当たりが妥当な所になるとは思うんだが。
「ねえ、父さん。木札って貰えるかな?」
「ん? んー。まあ、大丈夫じゃねえか? 建材を作るのに、端材は沢山出来るだろうし」
「ちょっと幾つか欲しいんだけど、大丈夫? 野菜を育てる時には欲しいんだけど」
「種蒔きが終わってからになるが、良いか?」
「うん。それで大丈夫だよ」
「なら問題ないと思うぞ。まあ、何とかなるだろ。……食べるんじゃないだろうな?」
「いや、流石に食べないよ……」
肥料の配合を記した看板が欲しいだけだ。流石に木を食べることはしないぞ? そこまで食料が足りなくなってくるなら、まあ、解らないでもないんだけど。でも、流石にな? それなら野草を食べた方がまだマシだ。食べられる野草もあるとは思うからな。近くに森もあるし、茸なんかも生えていると思う。……毒の判断が出来ないから、絶対に茸は止めた方が良いとは思うけどな。茸を食べないといけない事態にはしたくない。
安全だと解っている茸なら良いが、素人がそんな事を判断できるわけがない。ある程度の実験は必要になってくる。それも魔法で解決できるとは思うが、まずもって毒の成分の特定から必要になってくると思うんだよな。それで対応する魔法も変わってくると思うから、流石に間に合わないだろう。