畑を耕す
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教会での勉強も、これでお終いとなった。文字を覚え、計算を覚え、魔法を覚えた。それで勉強は終了だ。これからは、農民の1人として、農作業の手伝いをしなければならない。……まあ、それ以外にもやることはあるとは思うんだけどな。魔法の開発をしなければならないとは思っている。
というのも、魔法を教えて貰ったのは良いが、教えて貰った魔法とは、光を灯す魔法、火を付ける魔法、水を出す魔法、お湯を出す魔法、空気を出す魔法、土を出す魔法の6つだけなのだ。基礎となる魔法はそれだけで、後は自分で開発しなければならない。……普通はこれだけで生活が出来るので、魔法の開発なんてする必要が無いんだが、それでは面白くも何ともない。オリジナルの魔法を作って、色々と生活の役に立てるようにすれば良いのである。
「とはいっても、何を開発すれば良いのかだよな。農作業をするための魔法か。……肥料の開発なんてどうだろうか。肥料と言っても、作物ごとに色々と違う訳なんだが、基本的には窒素、リン酸、カリウムの3種類があれば良いとされる。それでもまだカルシウムや硫黄なんかが必要になってくる場合もあるんだが、その辺の配合には気を遣えば良いとは思う。多すぎても少なすぎても駄目だと言う事だからな。その辺は調整するとして、これからの時機だと麦か。麦は税としても取られるからな。出来るだけ多くを作付けした方が良いだろう。……だが、そうなってくると、労働力が足りない訳だ。畑を広げようにも、労働力が必要だ。耕し、肥料を投入する事で、実りを多くするわけなんだが、まずは耕さなければならない」
税収は麦で徴収される。そして、麦は重さで税収が決まっている。大量に収穫できれば、麦は余ってくると言う事でもある。他の野菜を育てるよりも、麦を育てないといけないのは、種麦が必要だからだな。食べる分よりも、まずは税収の分を作らないといけない。そして、それで次の年の為の麦も必要となる。それ以外を食べても良いのだが、ここは寒村。限界まで食べる量を減らしているのだ。種麦を増やすことから始めないといけない。それをするには、野菜の作付けを多くしないといけない。麦を植えることは可能だ。農地になっていない土地が多くあるからな。麦畑にしてしまえばいいだけの話だ。まあ、それをするにも労働力が必要な訳なんだが、魔法でどうにかすれば問題は無いだろう。
「となると、まずは畑を耕す魔法の開発をしなければならないか。試験的に農場を作るにしても、耕さなければ意味がない。両親が長男と次男と一生懸命に耕しているが、それでは遅い。一気に耕すための魔法を開発する必要があるだろう。耕すとはどういう行為だ? 掘って空間を作れればいいだけの話。ならば、風魔法で空気を送り込めばいいだけの話だろうな。まあ、それなりに空気を送り込まなければ、難しいだろうが」
耕していない畑の真ん中で、魔法陣を考えていく。ある程度の広さを一気にとなると、工夫が必要になってくる。出来れば、四角い方が良いのだ。円形なら簡単なんだろうが、それでは色々と面倒なことになりかねない。
「となると、ここは変数の方が良いのか。ここの文字はこれでいいとして、ここに関しては、広さの概念を考えないといけない訳だな。距離で耕す方法で良いんだろうか。しかし、正確に距離を測るにはどうすれば……。いや、そもそも完全に四角であることに拘る必要は無いのか。どうせ刈り取りも機械でやる訳ではない。であれば、ある程度は感覚頼りで出来る様にしておいた方が使い勝手は良いのかもしれない。使うのは農民だからな。厳密な数値を使っての魔法だと使いにくいだろう。であれば、ここはこうして、これでこう……」
色々と考えることはある。まずは使いやすい事。そして、魔力量が多くなくても使える事。ある程度は感覚で使えることが重要視される。目視で距離を測れるようにした方が良いだろうな。それを魔法陣に反映させる方が良いだろう。厳密な方法よりも、大雑把なやり方の方が好まれる気がする。
まずはそう、寒村からの脱却をしないといけない。寒村では駄目なのだ。普通の農村レベルにしなければならない。そのためには、魔法を使う事を良しとしなければならない。鍬で耕すのにも限界がある。ならば一気に周辺を耕せる方が良いんだよ。それだけでも効率は格段に良くなる。1農家当たり、大きな麦畑を用意出来れば、納税量よりも多くの麦を残すことが出来る。それのためには、まずは畑を広くしないといけない。肥料はその次だ。まずは耕して、使える畑を増やさないと。そうしなければ、お先が真っ暗になる可能性があるからな。
「……良し。これである程度は調整できた。であれば、実験だ。まずは小規模に使ってみよう」
新しい魔法陣が出来た。これを畑の真ん中で使えば、そこから周囲をある程度四角く耕せるようになるはずだ。魔力の量もそこまでではないだろう。……良し、まずは実験だ。
「作ったのも初めてだし、使うのも始めてだ。何が起きるのかは解らないが、まずは実験だよな。こう言う事で良いはずだ。これで問題なく耕せるはずだ。それ!」
土が多少隆起し、ある程度の耕した土が出来上がった。……これで良いんだろうか? 向こうと比べても、まだまだ良く解らない。とりあえず、詳しい人に聞いてみるしかないな。それなら適任が直ぐ側に居るんだし。
「父さん。ちょっといい?」
「おう! 何か用か?」
「あっちを魔法で耕したんだけど、それで良いのかちょっと見て欲しいんだ」
「……魔法で耕した? どうやって?」
「魔法陣を作ったんだよ。でも、良く解らないからさ。これでいいのかどうかを見て欲しいんだよ」
「まあ、解った。何処を耕したんだ?」
「こっちだよ」
そうして連れてきた。これで解るはずだ。何が良くて、何が駄目なのか。農家の目線で教えて欲しい。これで大丈夫なら、このまま魔法を使って耕せば良いんだが……。
「……駄目だな。浅すぎる。だが、これを魔法でか?」
「そうだよ? 教会である程度教えて貰ったからね。でも、浅いのか。ならちょっと色々と変えないといけないね。何処まで深く耕せば良いの?」
「それは向こうの畑で確認してくれ。今の倍くらいは耕している。それと、もう少し、土が細かくなってくれると言う事がないな。……出来るのか?」
「やってみない事には解らないけど、出来ると思うよ? まあ、どれだけ魔力を使うのかが解らないけど」
「そうか……。頑張れよ。それが出来たら、畑が広くなるからな」
「だよね。だからもうちょっと頑張ってみるよ」
ふむ。浅いのか。もう少し深くまで、空気を入れ込まないといけないな。それに、もう少し細かく土を出来れば良いと。そういう調整は出来ると思うな。ここを弄って、こうして、ここである程度の事をやってしまって。ここは変数で良いと思う。だったら、これでどうだろうか。
「改良終了。さて、実験だ。この辺で良いかな? それじゃあ、それ!」
さっきよりも隆起が大きい。そして、土も多少は細かくなっているはずだ。これなら合格なんじゃないか? 多分だけど。これが合格なら、一気に畑を増やすことが出来る。麦を植える面積を増やすことが出来る。労働力を別に回すことが出来る。……まあ、収穫後が忙しくはなるんだろうけど、それは良い事なんじゃないかな。忙しくて結構。裕福な暮らしが出来るのであれば、多少忙しくても良いとは思う。流石に富豪になるにはまだまだだけど、多少ならね?