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狂おしいほど好きなこの世界  作者: ルケア


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3度目の人生

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 中央の研究室に来て50年。遂に完成したぞ。これが私の研究の成果だ。全てはこのために魔力と魔法を研究してきたのだ。遂に、遂に完成したぞ。


 電気も無く、魔力を動力とし、次元の壁を超える装置が遂に、完成したのだ。前世の私も成し遂げられなかった偉業を、今世で形にしたのだ。それまでには、多大な苦労があったことは置いておく。全てはこの日のために準備をしてきたことなのだ。漸くこれで報われる。次元の壁を、三次元へと到達する装置が今ここにある。


 魔力とは何か、魔法とは何かを突き詰めて早10年。そこからが長かった。次元の壁を超えるには、それ相応のエネルギーが必要になる。電力がないこの世界では、魔力に頼るしかなかったのだ。仮定に仮定を積み重ね、実験を繰り返し、遂に成し遂げたのだ。……まあ、再使用には半月もかかる代物になってしまったが。それだけの魔力を必要とするのだよ。充填期間は短くは出来なかった。流石に水酸化ルビジウムの魔力回復にも限界があったからな。それらも細々とした作業を繰り返し特定した。私の努力の結晶なのだ。


 簡単に言おう。魔力とは、素粒子よりも小さい物質であり、それらは結びつく形によって、各素粒子を形成するものであった。故に、魔力とは万能物質であり、物質であれば、なんにでも成れるという性質を持っていた。加速度の量で素粒子に変化が起こり、魔力の回転方向でも素粒子に変化が起きた。それらを解析するのに、20年以上の時間を費やしてしまった。だが、結果はすべて理解した。魔力という万能物質は、素粒子と同じように、この空間に満ち溢れており、宇宙の中心から絶えず発生し続けているものなのだ。それを含むことが出来るのは、ルビジウムのみである。これは仮想原子も作って実験を繰り返したが、同じ1族でも駄目だと言う事が解った。ルビジウムのみが魔力を蓄えることが出来る。そういう性質を持っていることが解ったのだ。まあ、そこからが長かった訳なんだがな。充填期間の解明も時間がかかったし、そもそも体に埋め込むことが出来るのかどうかも解らない始末。まあ、何とか体に埋め込むことは成功したのだが。肝臓に練り合わせることによって、通常の魔力量の1万倍は保有する事が出来るようになった。


 当然の様に、マウスで実験を行い、囚人で実験を行い、限界点を見極め、安全に施術が出来る方法を編み出し、そういった人体実験を何度も何度も繰り返した。その結果、約1万倍が安全範囲だろうと言う事が解った。私の魔力の1万倍だ。通常の人では100万倍に膨れ上がるようではあったが。勿論だが、副作用はある。施術の後の半月は、激痛に襲われ、眠ることすら出来ない状態になり、それらが収まっても、一定以上に太ると、痛みが再発すると言う事が解っている。まあ、激痛に関しては、フェンタニルを投与する事によって、乗り越える訳なのだが、……これを作った結果、薬物中毒になる人間が続出した。2人に1人が薬物中毒になり、フェンタニルを投与していないと廃人の様になる様になってしまった。まあ、麻薬である以上は仕方がない事ではあったのだが、原因ははっきりとしている。単純に頻度が多すぎたのだ。そもそもフェンタニルを作った時に、この薬は飲み過ぎると死ぬと言う事は伝えていたのだ。だからと言って、激痛を我慢するのは耐えられず、それで連続使用をした結果、薬物中毒を引き起こすと言う事になったのだ。そもそも安全安心な麻薬などは存在しない。痛みを止めるには、そのくらいの劇薬が必要なのだが、必要以上に使い過ぎると、中毒を起こす。私が施術した患者に関しては、激痛が走ることはあっただろうが、薬物中毒にした患者はいない。単純に投与が下手なだけなのだ。


 そして、魔法だな。結局は魔法は大きく分けると4種類しか無かった。物質の4体である状態を作り出すしか無いものであった。未知の状態は作れない。ただ、未知の物質は、条件さえ整えば作れてしまう。例えば、11族の9周期の物質などは作れる。安定した状態で作ろうと思えば、ある程度の苦労は必要だが、やろうと思えば出来てしまう。未知の物質の創造はそこまで難しいものではない。ただ、安定した物質を作るには、それ相応の苦労があると言う事ではあるのだよ。まあ、それに関してはそこまで詳しくは調査しなかったのだが。流石に時間が足りなかった。もしかしたら、今の装置も改修できるくらいには、有用な物質があったのかもしれない。それがあれば、もっと魔力が必要なかったのかもしれない。だが、年齢には勝てない。何をするにしても時間が問題になってくる。時間の問題を解決したければ、次元の壁を超えるしかないのだ。次元の壁を超えて、永遠の命を手に入れることは可能だろうと思っている。そう、これは、それを可能にする装置なのだ。人間という物質の身体を捨てて、情報として生きる存在に昇華するための装置がこれなのだ。


 虚数域を出入りしながら、過去、現在、未来を超越し、ただの情報として生きる道、それこそが私の集大成。魔力とは何か、魔法とは何かを突き詰めていき、魂の世界にまで手を伸ばした。それが出来ると信じて、ここまで実験を重ねてきたのだ。それも今日で、結果が出る。今日で人間の私とはおさらばだ。私は、高次元の存在に手をかける。物質の世界から、情報の世界へと駆け上がる。そう、全てはこの装置の結果でだ。


「さて、私も60間近。そろそろこの世界の人間の寿命という所だ。私は私のまま、情報として生きるのだ。さあ、装置を起動する! これで私は不滅の存在になるのだ!」


 装置を起動する。そして、瞬間的な加速と共に、意識を失った。





 誰かの声が聞こえる。……意識ははっきりとはしない。何がどうなった? ここは何処だ? 情報として生きるのはいいが、視覚が無いのは頂けない。情報を整理したい。何がどう起こった? 私の装置は完璧だったはずだ。何度も何度も実験をし、完璧に作り上げたはずだ。だが、現実はどうだ? これでは成功か失敗かも解らない。周りを見る事すら出来ない。確かに情報として生きる存在は、周囲を知覚できないのかもしれない。だが、それはあんまりだろう。私がまだ二次元にとらわれているのだ。もっと周囲を知覚する様に動けばいい。高次元の存在は、単純な視覚だけではないはずだ。何かしらの条件が整えば、もっと周りを知覚できるはずだ。意識を集中させろ。周囲を知覚せよ。見えないものを捉えるのだ。


 おお。漸くと明かりを観測できた。何とも曖昧な光景だ。これが三次元の光景か? いや、そんなはずはない。このような曖昧な世界が三次元な訳がない。まだまだ意識の集中が足りないだけだ。真剣に見よ。世界は、もっと明るく照らされているはずだ。声は相変わらず聞こえている。何と言っているのかは解らないが、音を知覚する事は出来ている。さあ、もっとはっきりと見える様になれ。


 そして数時間後、実験は失敗したことが解ってしまった。あそこまで準備をしても、まだ次元の壁を超えることは出来なかった。だが、まだ希望はある。今度は上手くできるだろう。前回も前々回も、魂を移すことは出来たのだ。アプローチの方法は間違っていないと言う事になる。故に、次は頑張ろう。もっと世界を知り尽くす必要がある。まずはそうだな。現状の確認からする必要があるあろう。これで3度目なのだから。次の人生で、次元の壁を超えてやる。何が何でも成功させてやる。3度目の正直という奴だ。

短いですが、やりたいことは1話でやり切ったので、これで終わりです。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

また別の作品でお会いしましょう。

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