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王都からの試験

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

「さて、王都から5冊の書物がやって来た訳なんだが、うちたちの実力を計るために送られてきたらしい。何でも、既にこれらの書物は王都では解読済みらしいからな。これを何日で読み解けるのかというのが試練になる。その結果をもって、王都に行けるかどうかが変わって来るらしいからな」


「とはいっても、そこまで変わりは無いでしょうからね。僕たちだけでも1年あれば、十分に読み解けると思いますよ? それが早いのか遅いのかは解りませんけどね。王都の人たちであれば、もっと早く読み解けるのかもしれないですが、ここは1つ。力を合わせて解読する方が良いのでしょうね」


「もっともな話だがな。儂たちが読み解けるかどうかの試練なのだから、ある程度の猶予はあるとみても良いだろう。10日そこらで読んでみろという訳でもないはずだ。全力を尽くせば、必ず王都からも評価はされるだろう。これに全力をかけて、成り上がれるかどうかだな」


「わたしも成り上がりたいとは思っています。それでも、無理ならこの地で技師として生きていきたいですし、頑張りましょう。何かしらの影響力が働くかもしれないですから」


「だが、まあそれでも俺らの中だと、フレイルは間違いなく引き抜かれるだろうな。この歳でここまで出来るなら、将来性も買われて立身出世と行くだろう。問題は平民でも許されるかどうかって話だがなあ」


「私は別に王都に行きたいわけではないのですがね。自由に研究が出来れば、それで良いと思っているので。確かに王都に行けば、資料には困らないのでしょうが、資料がというよりも、研究の場所が問題になってくるので。行けたら行く方が良いんでしょうけど、必ずしも王都に行かなければならないって訳でもないんですよ」


 はっきり言って、王都に行きたいかと言われると、微妙なのだ。王都に行ったはいいが、自由に研究が出来なくなるという恐れもあるからな。私がやりたいことは、魔力とは何かという研究であり、必ずしも書物を読み解くことではない。真理に迫るような書物を探すことも理由の1つではあるのだが、それが無ければ、前に進めないという訳でもないのだよ。出来れば、王都でも自由に研究が出来る様な環境にあれば嬉しいとは思うけどな。自由に研究が出来る場所を提供してくれるのであれば、王都に行く事も吝かではない。そんな感じなんだよな。特段、名誉やそういう感じのものが欲しい訳でもないんだよ。欲しいのは環境。今よりも悪化するのであれば、研究場所はこのままでもいいとは思っているのだよ。


「まあ、思惑は人それぞれって感じだね。でも、やらないよりはやった方が良いだろうから、解読には全員参加だ。協力して1つずつ、問題点を潰していこうと思う。それで良いだろう?」


「ああ、問題ないな。出来るならやっておいた方が良いだろうし」


 そうだな。選択肢は多い方が良いだろう。その結果、リベリエルから技師が居なくなったとしてもだな。そもそも、農業魔法を広めてしまったのだから、ある程度は発展できると思うんだよ。それで、どうせまた領都から技師を左遷するだろうしな。その内技師も増えてくる。今の資料を残しておいてやれば、技師としての活動は十分に出来るとは思うのだよ。


 私としても、自由に魔法が研究できる環境になるのであれば、王都に行ってもいいと思う。それが許されるのであれば、だけどな。まあ、解読が全てだという所では無いとは思う。なんだかんだと、技師にも派閥がありそうだからな。研究内容で研究室が違うように、派閥で何をするのかが違う場合もあるだろう。そこに賭けるしかないとは思う。今のままでは研究が続けられないという訳ではないから、他の人たちよりは消極的な理由ではあるんだが。


 それはそれとして、書物の内容も気になるので、積極的に読み解いて行こうとは思っているんだがな。王都との意味の取り方で、どのような差が生まれてくるのかも気になる所だ。王都の解読が間違っているなんてこともあり得るからな。興味はあるのだよ。何処まで読み解けるのかというのも。資料も少ないし、私の研究に資するだけの資料であることを願っているが、何分、やっている内容が難し過ぎるからな。そんな資料が出てこなくても仕方がないとは思っているんだが。


 今は、仮定に仮定を積み重ねている段階だ。魔力とは何か。それの仮定をしてみたのだよ。とりあえずは、魔力とは、単体では意味をなさず、ある種の集合体によって、素粒子を組織するものと仮定した。素粒子の更に細かい部分であると仮定すれば、全ての事象を起こすことが出来ると考えたからだな。それが正しいのかどうかはまだ解らない。だが、間違っているとも言いにくいはずだ。魔法は物質を作り出すものだ。それらを構築するためには元素を知る必要がある。元素は素粒子の集合体であり、それらを作り出すのだから、素粒子を作るための何かが魔力であると仮定づけるには十分な根拠と言えるとは思う。まあ、それらを実証するのが難しい訳なのだがな。


 所詮は仮定を積み重ねたものだ。どこかしらで歪みがあるだろう。だが、真に迫っているとは思うのだ。完全に的外れだとも思わない。ある程度は合っているはずだ。それらをどうやって研究していけば、真理に辿り着くのか。その研究資料と、場所が欲しい。今以上の環境があるのであれば、獲得してもいいとは思う。だから、解読にもちゃんと協力する。私は私がやりたいことをやるのだ。その実験の過程で生み出されたものを、しっかりと市民に還元する事も忘れない。技師として生きている以上は、市民への還元は不可欠だろう。それが出来ないのであれば、技師などという肩書を下ろした方がいいとは思う。技術を追求する者であるから技師なのだ。還元しないのであれば、単純に研究者を名乗った方が良いだろうからな。


 とはいえ、何をやるのかは決まっている。とっととこの書物を複製し、読み解くことをしなければならない。その結果、どうなるのかは解らないからな。不可能な事をやれと言われている訳ではない。既に可能であるという実績は王都にはあるのだから。それが間違っている可能性は大いにあり得るが、私たちが間違えると言う事も大いにあり得る。真に迫るには、何事も時間と検証が必要になってくるからな。何を意味しているのか、その内容に誤りが無いのか。検証する事は山ほどあるとは思う。だが、読み解けないと言う事はないはずだ。それを可能にするだけの知識は、既に持ち合わせているのだから。


 結果の事を考えても仕方がない。今は全力で検証をするだけだな。その結果、よりよい研究環境を得られるかもしれないのだから。既に試験は始まっている。まずは汎用文字が何処まで通用するのかを試さなければならない。その後に専門的な文言を、魔法を交えて検証していく。それで、読み解ければこちらの成果になるのだから。勿論だが、成果は皆で共有する。私の魔法の研究も、暫くは止めた方が良いだろうな。今はこちらに全力を注ぐ方が良いだろう。魔法とは、魔力とは何かという研究は、少々時間がかかり過ぎるからな。真理に届くには、まだまだ時間も足りなければ、実験データも足りない。足り無いものだらけなのだよ。だから、今はそうだな。よりよい環境を得られるかもしれないと言う事に、注力してしまう方が良いだろう。その結果、研究が早まることもあるだろうしな。今しか出来ない事をやろう。これで王都で自由に研究が出来れば良いのだが。

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