石鹸の作り方を見つけてしまう
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春が来て、8歳になった。誕生日を覚えなくても良いのは助かる。正確に日付を覚えているなんて事は無いからな。カレンダーなどは無い。ただ、1年は360日であることは解っているらしい。うるう年やうるう秒などは知らん。そんな事を言われても、正確に時を計る道具は無いのだから。そもそもこっちの宇宙の事も解らんのだ。基本的には地球と同じ法則で動いているはずだ。次元の壁を超えただけで、物理法則や化学式などは同じの筈である。同じ世界の中で動いているだろうからな。
あれからも書物を読み進めて、また1つ解読を終わらせた。内容は最近の若者についてとでも言えば良いのだろうか。愚痴集だった。まあ、そう言う事もあるだろうとは思っていた。全てが全て、指南書な訳がないとは思っていたのだが、読み解いてみた結果、何処かの誰かの愚痴であるとは思わないだろう。だが、愚痴は愚痴でも得られるものは多かった。昔の様子が書かれていたからな。
生活は今とさほど変わらないという感じであった。と言う事は、こちらの人間は殆ど進歩していないと言う事になる。まあ、地球側でも、天才が出てくるまでは動かなかったことを考えると、それも仕方のない事だとは思うが。適性のある人物はいるのだろう。しかも平民の中にだ。それを掬い上げるだけのシステムが無いのだ。私のように、異常な行動力が無ければならないことになる。私の場合は、既に成人した人間の魂が入っていたから良かったものの、普通であれば、才能は埋もれてしまうのだろう。……いや、そういった才能を引き上げるのは、教会なのかもしれない。全ては戦争を起こさずに、信仰を広めるため。戦争が起きると、どうしても信者が減ってしまう。それを避けているようにも見える。
魔法がある世界だ。もしかしたら、信仰も何かしらの恩恵があるのかもしれない。そういう世界的な何かがあるのかもしれない。……まさか、魔法は信仰の力だとでもいうのだろうか。そんなはずはない。それならば私は魔法を使えなくてもおかしくないからだ。既存の宗教なんぞ、信じる訳がない。私が信じるのは科学である。神など傍観者に過ぎない。見ているだけで、何もしないのである。干渉もして来ない。そんな下等な生物ごときに干渉などあり得ないからだな。
そして、春と言う事で本格的に寒村の大改革が始まったらしい。畑が今までの何十倍にも耕され、大量の種麦を蒔き、育てている最中であるらしい。そして、それが終わったら、食糧庫の増設だ。食糧庫は大量に作っておいた方が良い。今後は非常に沢山の麦が取れるようになるからな。多い所だと、本当に30倍程度の広さを耕したらしい。……魔力が多い村があると言う事でもある。まだ農耕牛を使っていないのに、その広さになるのは少しばかりおかしいからな。と言う事は、今後の鉄も結構な量が手に入るはずだ。鉄の大きさは、魔力量を測るには丁度いいからな。大体の目安が付くのだよ。
で、今はというと、結局はやることは一緒である。書物の解読だ。それを進めなければならないのだが、ある程度読めると、内容も解ってくる時≪とき≫がある。今回が正にそうだった。
「そして、今度はこれか……。多分だが、石鹸の作り方だな。極めて原始的な作り方だ。灰汁からアルカリ性水溶液を確保して、油と混ぜる。ナトリウムが必要になってくるが、そもそもだ。苛性ソーダで良いのだから、そこは問題にはならない。灰汁から作ると品質が疎らになりがちだ。それならいっその事、苛性ソーダで品質を安定させる方が良いだろう。であれば、後は油と香料になるのだが、油は出来れば植物性の方が良いだろう。動物性の油でも作れることは知っている。特に石鹸として用いるのであれば、鯨油や肝油を使う事になるだろうが、そもそも海の生物だ。その他の動物性の油では、石鹸を作りたいとは思わない。好みの問題はあるんだろうが、臭いが気になるだろうからな。まあ、そもそも動物性の油は臭いが独特なのだが。鯨油なんかはかなり臭いと聞いた事があるが、本当なのかは解らんが」
そもそもの話である。海が近くに無いのだから、考えるだけ無駄なのだ。鹸化するまで混ぜないといけないのだが、そこは魔法で何とかなるだろうとは思う。石鹸は固体なのだから、土属性魔法で良いはずだが、液体せっけんを作ろうと思えば、水属性魔法になる。その辺は好みの問題か。どちらの方がとは言い切れない。そして、問題の香料なのだが……。
「香料は無しでも石鹸は作れる。が、あった方が貴族向けだろう。となると、よくあるのが薔薇の香りだが、そもそも観葉植物があることも知らない。貴族が育てているはずだとは思う。だから、その観葉植物を見れば、何かと解るのかもしれない。まあ、花の名前は解らないし、そもそも興味も無かったからな。見た覚えがない。花さえ準備が出来れば、香料を取るための魔法陣は作れるとは思うが、……どうせ作る羽目になるのだ。魔法を3種類に分けて作るか」
苛性ソーダを作る魔法陣、鹸化させて固体にする魔法陣、香料を作り出す魔法陣。この3つがあれば、匂い付きの石鹸が出来上がるだろうとは思う。理科の実験以来か? 鹸化させるのに苦労した記憶があるな。まあ、大変ではあるが、そういうのは機械でどうにでもなるのだよ。今回は魔法でどうにかするのだが。
「となると、実験の為には、香料は良いとしても、油が必要になるな。……厨房で少しばかり貰って来るか。植物性油もあるだろう。無ければ、探さなければならない。非常に面倒だ。森に入れば、何かしらの油の取れるものがあるのだろうが、それを採取させて育てるまでが面倒だろう。1年で実がなるものであれば良いんだろうが、果樹になってくると、数年はかかる。そこまでは待てないだろうからな。……特に女性陣は」
メイダリアとエイデリアは待てないだろう。蜂蜜でもお預けを食らっている状態なのだ。石鹸で、良いものがあれば、使いたいとなるに決まっている。それならば、先に準備しておいた方が良いだろう。まあ、魔法で作れるようになれば、町で産業化出来るだろうからな。問題は魔力量になるのだが、これが多ければ、指南書通りに作ると言う事になる。非常に鹸化が面倒なんだが、そこは職人に我慢してもらうしかないだろうな。売れる商品が出来るのだから、仕方がないだろう。多少は不便だろうが、何とか頑張ってほしいとは思う。
厨房で獲得したのは、オリーブオイルのようなものだった。……こっちの世界にも、ちゃんと油を得るための植物があるようで安心した。無いとは思わなかったが、一抹の不安を覚えたのは事実だ。肉の保存食の作り方さえも無かったのだから、警戒してもおかしくはないだろう。……単純に油漬けでは駄目なのだろうか。詳しくは知らないが、それでもある程度は保存できた筈なのだが。油は酸化して使えなくなるが、肉は保存できた様な気がしないでもない。野菜だけか? 詳しい事は覚えていない。だが、どちらにしても、乾燥させなければならないのはそうだった気がするが。
さて、理科の実験以来の石鹸作りだ。まあ、魔法で作るのだが。成功すれば、産業の1つとして活用できるようになるとは思う。少しばかり油が高くなるかもしれないが、それは仕方がない。石鹸の方が高く売れるんだから、問題は少ないとは思う。まあ、一般家庭で消費するものの物価が上がり過ぎるのは良くないから、代官様が何とかしてくれるんだろうとは思うが。材料を漏らさなければ問題ないか?




