塩の魔法陣完成
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「……どうだ?」
「違和感は殆どない。完成と言っても良いだろう」
「それで聞きたいんですが、ケルトさんの魔力って多い方ですか? これを平民が使った場合、どうなるのかって事が問題なんですが」
「そうだね。僕の魔力は平民の5倍くらいだ。それを考えると、平民でも十分に使えるとは思うよ。殆ど効率化出来てしまったしね。これなら何とかなりそうだとは思うよ」
「良かったです。それならこれを公開するかどうかなんですけど、お肉の流通を考えると、この指南書と一緒に村へと届けた方が良いと思うんですよね。多分ですが、肉って牛ですよね? 牛から取れる肉って、200㎏くらいなんですよね。普通に余らせていると思う訳ですよ。それを燻製にしてもらって、どんどんと肉を町へ卸してもらう方が良いと思うんです。そうすれば、町でも多少は肉が食べられますし。まあ、生肉は、代官様が食べる時じゃないと流通しないとは思うんですが、それでも燻製肉なら流通できると思うんですよね。……長期保存が出来る訳ですし」
「これを、普及させるのか?」
「そうですよ? そうじゃないと勿体ないじゃないですか。勿論ですが、一般人にまでは教えないですよ? そうしないと塩が入って来なくなるので。塩は買い続けないといけない訳です。こっちが塩を独自に入手できるようになってしまっては困る人が出てくるんですよね。なので、必要な場所には教えますが、それ以外の人には教えないって方が良いとは思います。塩は戦略物資ですし、何かあった時の為に取っておくのも必要だとは思いますが、流石に全部の輸入を止める訳にはいかないですから。塩の確保が出来たと思われてしまいます」
そうだ。塩を生成する魔法を作ったは良いが、これを全員が使い始めると、今度は領地全体が困ることになる。ここの何処かが塩の産地になってしまえば、今度は輸出しなければならなくなってしまうからだな。鉄ならまだいいのだ。使用頻度が高いし、そもそも供給が足りていないのだから。だが、塩は汎用性が高すぎる。戦略物資にもなり得る。まあ、それは鉄もなんだが、鉄の場合は民間で消費出来る量で何とかなるとは思うからだ。塩はどうにもならない可能性がある。ケルトさんで平民の5倍だとしても、120回を超える試行回数を軽々と終えたのだ。1人で1㎏程度は軽く作れるだろう。それをした場合は、簡単に塩で溢れることになる。
隠すべきところは隠さなければならないとは思う。だが、公開した方が良い場所には、公開しても良いと思うのだ。そうしないと内政が滞ることにもなり得る。都合が良い様に使わないと、勿体ないのだよ。魔法なんてそんなものだ。誰でも使える様にしておかないと、面倒なのだよ。本当であれば、全部の魔法を一般公開してしまえば、非常に楽が出来るとは思うんだが、それをすると、国の根幹から変わる可能性があるからな。出来れば、大々的に公表するのは待って欲しいが、必要な人には公開して欲しい。
「……なるほどな。これを公開するのか。内政が捗る方が良いのは確かだ」
「だけど、成果には出来ない訳ね。そうすると、王都の方で公開するかどうかの審議に入ってしまうし……」
「僕らとしてもそれは嬉しいが、領地が困るのは良しとしないからね」
「仕方がない、わね」
「あー、初めての成果だったんだがなあ」
「正直、1度作り方が解ってしまえば、後はどうにでも出来るんですよね。何でもは無理ですが、ある程度のものは作れますよ? 魔力との相談になりますけどね。私も内緒で作っている物がありますから。内職には丁度いいんですよ」
「鉄が作れるんだもんな。……教会では作れることは教えてくれるのに、魔法陣は教えてくれないからな。まあ、理由は解らないでもないんだが」
「鉄の場合はですね。色々とあるんですけど、普通の文言だと無駄に魔力を使うので、少量しか出来ないんですよ。それでも効率化をしたくて、そんな文言になった訳なんですが」
「これに関しては理解が出来ないからな。8族ってなんだ? って話だしな」
「まあ、これに関しては解らないと思いますよ? それなら普通に鉄を出してもらった方がまだマシですね。効率は悪いですけど」
周期表の概念を説明しても無駄だろう。そもそも私も主要な金属は覚えているが、全てを覚えている訳ではない。ランタノイドやアクチノイドなんぞ、全てを覚えている訳がないだろう。金銀銅については、11族で簡単に覚えられるし、白金は金の1つ前だ。だから10族であると覚えている。基本的にはその様に覚えている場所もあれば、覚えていない場所もあると言う事だ。なんでも出来る超人ではないのだよ。科学者ではあるが、周期表などは暗記するものではない。外部記憶ツールで十分なのだよ。
「それよりも、ここまで魔法陣の作り方が解ったのであれば、ある程度は独自で研究出来ますよね? それの報告会ってどうします? 情報は共有しますよね?」
「そうだね……。各々研究したいこともあるだろうから、これまで通り、10日に1度集まろうか。そうすれば、色々と話し合う事も出てくるだろう。1人で研究しても良いが、行き詰まるだろうし、2人が同じ研究をしても余り意味がない。出来る限り別の事をやった方が効率は良いだろうね。でも、まずは、この辞書を書き写す所からかな。この変な紙はどうやって作るんだい?」
「あ、それならこのページからこのページまでで作れますよ」
「羊皮紙だと分厚いからね。嵩張らない様にしたい。この紙の作り方は公開しないのかい?」
「それは公開しませんね。保存には向かないんですよ。落書き用ですね。なので、保存用の辞書も作ってあります。そっちは羊皮紙で、ですね。まあ、書物に関しては、嵩張るので、全部植物紙に書きましたけど。これも置いていきましょうか? 首都の書物を全部写してきたんですけど」
「ああ、それならこっちにも保管してあるよ。大体、皆考えることは同じなのさ」
「追い出されるって解っているからな。自分用は全部書き写してある」
「そう言う事ね。大体の人は追い出される事前提で動いているのよ」
「ああ……。なるほど」
「まあ、新しい本もあるかもしれないから、ここに置いておく方が良いよ。こっちの書物も貸し出しは自由だから。好きに持っていってくれれば良い。だけど、解読が終わった書物については、こっちに移そうか。そうしないと混乱しそうだ」
「俺らが写したのもあるだろうし、出てきたらその都度移せば良いだろうな」
「そうだな。比較的新しい本でも無いだろう。何冊かはあるはずだ」
なるほどなあ。皆が大体同じような行動をしているのか。そりゃそうか。首都で気に入られるよりもこっちでってよりは、普通にやっていたら追い出されたって感じなんだろう。貴族ゆえによく知っていると。そう言う事なんだろうな。面倒な事だとは思うけど、そういう社会なんだから仕方がないよな。貴族って面倒でいけない。貴族でなくて良かったと思う反面、こういう教育を受けられる環境に居られる貴族が少しだけ羨ましいな。まあ、適性が無ければ、技師になんて成れないんだろうが。適性が無ければ辛いだけだからな。研究職というのは、常に結果が出る訳ではない。いや、結果は出るのだ。ただ、望まない結果が出るだけで。望んでいるように結果が出るなんてことはあり得ない。失敗を繰り返し、何度も何度も試行錯誤して、漸く辿り着いたと思ったら、新たな課題が見つかるのだ。それに耐えられなければ、研究者などはやっていられないのだよ。




