リベリエルにて
OFUSE始めました。
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無事にリベリエルに追い出されることに成功した。ここからが本当の勝負になってくる。ここまでは良いんだよ。これからがやりたいことをやれる時間だ。まずは、移動をしなければならない。と言う事で、ロジエラ商会の馬車で揺られる事5日間。ローレンディア伯爵領の最辺境、リベリエルにやってきた。まずは、代官に挨拶をしなければならない。
「お久しぶりですね、イトルさん。無事に飛ばされてきました」
「普通は無事とは言わないのですがね。ですが、歓迎しましょう。こちらでも、技師の方々がいらっしゃいます。それは後ほど。まずは、代官であるダイアロン様の所へ行きましょう」
「解りました。お願いします」
さあ、どんな人なんだろうな。ロジエラ商会のレイディオさんからは、かなり優秀な人だとは伺っている。代々碌でもないローレンディア伯爵家本家とは違い、優秀な人材を排出しているらしい。こっちも一応はローレンディア伯爵家らしいんだけど、傍流と言う事で、そこまで重要視はされていないらしいんだよな。代官を任せておくだけで、他は何も干渉しないらしい。だから、私を送り込むのに丁度いいって感じらしかった。
「失礼します。新しい技師の方をお連れしました」
「入れ」
「失礼いたします」
「ほう、そいつが言っていた奴か。随分と若い、いや、まだ幼いと言った方が良いのか?」
「まあ、次の春で漸く8歳になるからな。まだまだ幼いとは思っている。だが、それなりには出来るとは思っている」
「ほう、結構な自信だ。さて、この土地の事については、聞いているか?」
「特段特別な場所だとは聞いておりませんが? ただ、寒村が多く、貧しい場所であると言う事と、大きい畜産場があるという事くらいですかね? 大きい畜産場は良いですよね。特に牛と羊を飼っているとか。生産物も良い感じで手に入るとは思いますし、そこまで卑下するものではないかと」
「……お前、畜産業について、偏見が無いのか?」
「偏見? ああ、平民でも更に扱いが悪い平民を作ってそれに畜産業をやらせるって奴ですか? 話になりませんね。そもそも畜産業が無ければ、色々と入手できないものがありますから。特に羊ですね。羊皮紙の確保をしなけれなならないのに、畜産業を馬鹿にしていても仕方がないでしょう? そりゃあ、扱いとしては、動物の奴隷にならないといけない訳ですが、そんな事を考えているのであれば、見直してやれば良いんです。そもそも畜産業とは、動物の奴隷になるくらいの覚悟が必要な職業ですよ? 簡単には出来ないのに、生きるのに必要な動物性タンパクの供給源になるんです。そんな重要な職業を冷遇するなんてあり得ませんね。そもそも、畜産業をしようと思えば、もの凄く広い土地が必要になってきますし、村の産業としては有りでしょうね。まあ、根本的にこの地域は土地が余っているらしいですから? 好き勝手出来る土地が多くあると言う事で、私は大歓迎ですが。あ、一応、これが首都からの文書です」
「……おい、ここまでの奴とは聞いてないぞ?」
「それは私も聞いておりませんので」
「まあ、面白い奴が来たって事で、受け付けるか。何々、ああ、いつもの内容な。解った解った。それで? ロジエラ商会が送り込んできたってのは珍しいな。何かあったのか?」
「それに関してはこっちを読んでもらえれば。そっちにはある程度の事を書いてあると思うので」
「ほう? ……なるほどな。元々は寒村の出身で、1年で寒村を裕福な村に変えたと。それで、新しい魔法を使えるとあるが、それなら首都で居られただろうに。新しい魔法ってなんだ?」
「農地を耕す魔法です。それを見せたら切れられて追い出されました」
「農地を耕す、だと? ……っは、そう言う事か。なるほどな。て事は、ロジエラ商会がなんで商会を大きくしたのかが漸く解ってきた。そうかそうか。ここから食料を売りたいわけだ。ここの領地を食糧庫にするつもりだな?」
「簡単に言えば、そうなることになる。まあ、ただの食糧庫にするつもりはない訳ですが。最低でも、今の規模の30倍にはしてみせましょう。とりあえず、来年の種麦が足りないので、種麦を大量にロジエラ商会から買ってもらって良いですかね? それを一気に増やした農地で栽培します。そして、各農村に農耕牛を買わせて、当初の30倍の農地にしていきます。それと同時に、畜産の規模も大きくしてしまいましょう。その辺にいる鶏を捕まえてくるんですよ。それで、卵を産ませて増やします。各農村で、牛と鶏を飼ってもらいます。そうすれば、食料問題は一気に解消しますからね。鶏は、基本的には人間の食べた残りを食べさせれば良いですし、飼うのは簡単ですよ。まあ、飼料はちょっと工夫しなければ、卵を産みにくいので、工夫しますがね。それも魔法で出してしまえば良いんですよ。その辺の実験はやらせてもらうつもりで居るんですよ。構想としてはそんな感じですか。10年後には、大穀倉地帯を作る予定です。魔法はそれだけのポテンシャルがあるとは思っている。出来ない事も多いが、ある程度の事は出来るのだよ。それが解っていなければ、損失でしかない」
「……話が大きくなりすぎだ。全く。ロジエラ商会もなんでこんな奴を発見できたんだ? お前は最終的に何がしたい?」
「魔法の研究をしたいですね。別に攻撃魔法だけをって訳ではないんだ。だってそうだろう? 魔力は平民にもあるんだから。平民が魔法を便利に使って何が悪い。何がいけない。農作業だって魔法を使えば便利になるんだ。それだけの話だ。わざわざ寒村で維持したいって訳でもないんだろう? そうでなければ、大規模な畜産業をやらせる訳がない。身分が低い平民を作りたいって訳でもないんだろう? 平民がしっかりと自分たちで食っていけるようにするには、畜産業をやらせるしか無かったんだろう? それを分散させると、どうしても小規模になり儲からない。だから、一か所で大規模にやっている。そうじゃないのか? だが、牛や羊はそうした方が良いが、鶏に関しては、ある程度の規模でも出来る。そこまで大きな動物では無いからな。まあ、小屋を作るには、少しばかり面倒かもしれないが、そのくらいはやってくれないと困る訳だが」
「面白いな。魔法の研究をしたいが、別に戦争がしたいわけではないと。そう言う事か。良いだろう。受け入れようではないか。では、まずは何をやらせる? 時間は有限だ。何処からやらせるんだ?」
「まずは、しっかりと農地を増やしてもらいましょうか。各村に内務官を派遣してもらえますか? 魔法の写しはこちらで作りますので、各村で色々とやって貰いたいことがあるんですよ」
色々とやれることはあるぞ。寒村なんて言っても、土地がないわけではない。有効活用できないだけなんだよ。だったら有効活用できるようにしてやればいい。土地は無限に余っている。それを使える様にするだけなんだ。私が出来るのはその手伝いだ。農作業自体はやって貰わないと困る。同時に、畜産業も更に大きくしてもらうとするか。それだけの食料は手に入る予定だからな。牛も羊も、今の10倍は飼ってもらわないといけないだろう。そのくらいは出来る筈だ。それで各農村に牛をつがいで配ると。そうする事で、小規模な畜産業をやる訳ではなく、農耕牛として使う。魔法だけで耕してもある程度までしか増えないんだ。そこからは人力で増やしてもらう必要があるんだが、牛を使えば、一気に増やせるだろう? そこまで考えての配置だ。まずは食料の安定供給。そこからだな。




