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狂おしいほど好きなこの世界  作者: ルケア


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外に出よう

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 漸く写本が終わった。本の数は132冊。誰かが借りていた場合は知らないが、私が写本した数はそれだけだ。それを見比べて、ある程度の文字を落とし込んでいかなければならない。まずは、汎用的な用語を読めるようにしていく。書物を見比べながら、同じ表意文字が使われている文章を書き出していく。それだけでも、かなりの差があれば、一気に文章が読めるようになっていくのだ。


 例えば、

『このように、酸素と結合した”場合”、成分は毒素を含むようになる。』

『実験の結果、Aの”場合”とBの”場合”の差をCと表すと、次のようになる。』

『木材を使用したものと、鉄を使用したものとを比べた”場合”、このようになる。』

と、文章があった時、場合という文字が共通していることになる。ひらがなだけで判断をするのは難しいかもしれないが、専門用語には名詞を当てはめると考えると、割とどうにか見えてくるものなのだよ。今回は”場合”を選んだが、別になんでも良いのである。それがどの書物にも頻繁に出てくるのであれば、この意味を考えていけば、ある程度は正解に導かれて行く。


「故に、この表意文字は、この漢字が当てはまるとは思う。やはり漢字を知っているというのはアドバンテージになるな。これだけでも5つの文字が判明している。汎用的な文字が読めるようになってくれば、一気に専門用語の特定が可能になるかもしれない。それでも難しい文字はあるだろうが、魔法に落とし込んでみれば、結果で何かが見えてくるはずだ。机上で出来ることは全てやっておく必要がある」


 この方法でどんどんと辞書を作っていくのだ。間違っている可能性はある。それは当然の事だ。間違っても良いから、文字を当てはめていく。そうする事で、見えてくるものがあるのだよ。間違いだと解れば、後で修正すればいい。修正した結果、間違いが波及するかもしれないが、それも結果だ。全てを受け入れ、修正していく。その作業には根気が必要だ。未解読文字を読もうとすれば、その位の事はやってのけなければならない。全ての文字が違うのであれば、また考えなければならないのだが、こうやって当てはめられると言う事は、そう言う事である。漢字に当てはめるだけでもかなりの差が出てくるわけだ。違和感があれば、修正する。微調整も必要になってくるだろうとは思う。


 そんなこんなで、食事と解読をひたすらに続けていた。毎日の作業としては、それに白金作りもあるのだが、それは別に大したことはない。魔力を使って出すだけだからな。それを繰り返していれば、あっという間に時間が経過する。


「フレイルさん。技師のお給金が届きましたよ。確認してください」


「イトルさん、ありがとうございます。それだけの時間が経ったと言う事なんですね」


「ええ、そうです。皆さんも部屋に引きこもっていますが、フレイルさんの成果はどうでしょうか?」


「そうですね……。まあ、順調ではあるとは思いますけど、まだまだですね。資料についてはあれだけと言う事ですし、これ以上は望めないので、何とか今あるものでって考えると、非常に難しいですね。伯爵家でもあれだけの資料を集めるのには、相当な苦労をしたんじゃないですか?」


「いえいえ。苦労はしておりませんよ? 大体が王都からの写本ですからね。定期的に売られるのですよ。研究資金を回収したいという目的がありますので、王都から買ってくれと言われるのです。それを買い取って、こちらでも研究をしていると言う事になりますね」


「……ああ、なるほど。王都も資金不足な訳ですか。となると、被りも出てくるのではないですか? 適当に写本をしていれば、そうなりますよね?」


「その辺は王都で管理をしているらしいですが。まあ、ダブりがある可能性は十分にあり得ます。あの本は、資料として売られてきますが、誰も読めませんからな」


「まあ、そうなりますよね。何とかして読もうとはしているんですが、まだまだですね。他の人たちがどの程度の文字を読めるようになっているのかは知りませんけど」


「そもそも読もうとしても、読めないでしょう? 未知の言語で書かれているのですから」


「まあ、そうなんですけどね。そこを何とかして読むのが技師の仕事だと思っているので」


「……志があるのは良いですが、そんな事をしていると飛ばされますよ?」


「そうでしょうね。でも良いんです。私の目的は飛ばされる事ですから」


「……というと、始めからリベリエルに行くつもりだと?」


「そうですよ。そっちの方が自由に研究が出来そうですからね。研究が自由に出来ないと意味がないですから。何のために技師をやっているのかって、魔法の研究がしたいからですしね。自由に出来る方が良いんですよ。色々と試したいことも出てくるでしょうし」


「そうですか。では、ある程度の所で合流出来そうですね」


「え? どうしてですか?」


「飛ばされることが決定しましたので。まあ、後6か月の猶予はありますが、ほぼ間違いないでしょう。場所はリベリエルですね。つまりは、また同じ所で仕事をすると言う事です」


「ああ、それはそれは。でも、良いんですか? 使用人の長では無かったのですか?」


「そうですが、3年に1度は変わるものなんですよ。この伯爵家では」


「……そんなに頻繁に変えて、一体何になるんでしょうね?」


「さあ? 解らない事の方が多いですよ? ですが、フレイルさんも来るのであれば、少々は楽しめそうですね。何か準備して欲しい物があれば、言っておいてもらえると、用意しておきますが?」


「あー、そうですね……。広い実験場を確保しておいて欲しいですね。魔法を大規模に使っても良い様な場所を確保しておいて欲しいです」


「承知しました。準備をしておきましょう」


「あと、それと、今日は出かけたいんですが良いですか?」


「どうぞ。ご自由になさってください。そうですね、いい加減服装を何とかした方が良いとは思いますよ? 古着屋にでも行った方が良いですね。流石に寒村の服装では目立ちますので」


「ああ、そうか。気にしてなかったからな。ついでだし、買って来るか。お給金も入ったことですし。多少は散財しないといけないですよね」


「そうですね。籠ってばかりでは、お金が貯まる一方ですし、使えば良いとは思いますよ? 最低でも10着ほどは用意しておくべきですね。使用人としては、衣服の洗濯もしないといけないとは思っていたのですよ」


「昔から着たままでしたからね。もう慣れたというか、そうか。そうですよね。ちょっと多めに買ってきます。指摘ありがとうございます」


「いえいえ。これも仕事ですから」


 とりあえず、古着屋に行って来るか。いや、その前に、ロジエラ商会に白金を置きに行かないといけないな。それもお金になるんだけど、ロジエラ商会に預かって貰っているんだよな。王都に行くことがあれば、引き出して行くように言われているんだよ。こっちにいる分には、そこまでの金は必要ないだろうとは言われているんだよな。どれくらい預かって貰っているのかが解らないんだけどな。金額は聞いてもどうせ忘れる。増えるんだろうし、覚えていても仕方がない。


 さてと、そうなると、寄る所が多いな。外で食事でもしてみるか? こっちに来てから、食堂でしか食事をしてないし。下町の味なんかも気になると言えば気になるからな。食道楽ではないが、美味しいものはあるんじゃないかとは思う訳で。何か良いものが見つかれば良いなとは思う。何か美味しい物が見つかれば良いな。

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― 新着の感想 ―
野菜は地元が一番かもですが、肉や卵は食べたいですよね 新鮮な魚とかもあるかもしれません 魚の冷凍が無理でも乾燥や発酵くらいならあるかもです 魔法文明がどれだけ根付いているのかは気になります
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