刈り取りと出立準備
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「そうか。フレイルはもう出て行くのか。……早過ぎるというのは、親の見方なんだろうな」
「そうね。まだ、こんなに小さいのに。でも、もしかしたら領主様の所で働けるんでしょう? これって凄い事なのではないですか?」
「まあ、凄い事だとは思う。けど、それで終わりって訳じゃないし、寧ろまだ始まってないからさ。本当にどうなるのかは解らないんだよ。駄目なら大商人が雇ってくれるって話ではあるんだけど、それも何処まで本当なのかは解らないし。カントさんが話をつけてくれたんだから、本当だろうとは思うけどさ」
「まあなあ。カントさんが大丈夫だって言ってくれているんだし、大丈夫だろうとは思うが、心配なのは心配だ。それは俺にも良く解る。……ミルコもそういう時期が来るんだよな。寂しくはなる」
「そうねえ。でも、もしかしたら村に残れるかもしれないけどね。今の村は大きくなるって皆が思っているし。居場所はあるかもしれないわね」
ミルコ兄さんが残るかどうかは、正直解らない。人口が増えていけば、村が大きく発展するとは思うが、今度は町の発展が止まるからな。人口の流入がなければ、町の発展も遅れる。その分村が発展するから、総合的に見れば、村から発展させる方が良いとは思うが、それもどう考えるのかだよなあ。ミルコ兄さんがどういう選択をするのかが解らない。まあ、そもそも普通に俺が早過ぎただけなんだけどな。そこはまあ、仕方がないだろう。
色々と家族で話し合ったが、まあ、良く解っていないって方が多かったんだよな。解っているのは爺さん婆さんと父さん母さん。子供たちは知らないって感じだよな。まあ、仕方がないとは思うが。出て行くなんて経験は無いんだし。俺がこの家で初めての巣立ちものって所だからな。まあ、次にカントさんが来るまではここに居るんだけど。現実的に考えて、お金なんかも多少は持っていた方が良いんだろうが、まあ、そこは仕方がない。ある程度のお金は自分で作ることになるだろう。それこそ白金を売れば、ある程度のお金になるとは思う。それで生活していけば良いだろうさ。
そんな訳で、野菜を育てながら日々を過ごしていたら、あっという間に収穫の時期になった。さっさと収穫をしてしまいたい。そんな感じでどんどんと刈り取っていった。……怪我人が出ない様に、色々と考えて麦を刈っていく。なんだかんだと時間がかかるのが刈り取りらしいんだが、今年は農地が10倍以上に膨れ上がったというのに、1日で刈り取りが終わってしまった。まあ、ここからが面倒なんだけどな。麦を保存するにしても、藁から取らないといけない。それをするんだが……。まさかそれが手作業とは思わなかった。
「なあ、こんな便利な物があるなら、先に言ってくれよな。これがあれば、かなり楽になる。今までやっていた作業が10分の1程度にはなるんじゃないか? これがあれば、麦を沢山作っても問題ない。沢山作ってくれ。他の家にも持っていきたいからな」
「まあ、こんなもので良ければなんだけどね。自分たちで作る時は、木材で作った方が良いと思うよ。鉄で作るのは難しいと思うから。木材なら、同じようなものを作れるでしょ?」
「お? ああ、そうだな。木材で同じような物は作れるだろう。釘が欲しいが、それはこっちで何とかすればいいだけの話だからな。お金で買うさ」
という訳で、お手軽に脱穀するには千歯こきを作るのが一番だ。鉄で作ったが、木材でも良いんだよ。というか、木材で作れないと困るんだ。幾ら鉄と言っても、錆びるからな。悪くなってくるんだから、自分たちで作れないと意味がない。出来ることは魔法を使わずにってね。まあ、脱穀を魔法でやるには難しいとは思ったんだよな。どうやってって発想が思い付かなかったんだよ。出来ない事はないとは思うんだが。
でもまあ、これで良かったんだろうとは思う。何でもかんでも魔法でやってしまうと、出来なくなった時が怖いからな。出来る様にしておくことが良いと思う。世界の法則が壊れるなんて事は無いとは思うが、魔法が使えなくなることもあるかもしれない。……流石にそんな事は無いとは思うけどな。そんな事があったら、世界がな。色々と変わるだろうし。
収穫を終えて、暫くしたら、漸くカントさんがやってきた。麦を買い付けに来たらしい。まあ、今までは殆ど買えなかったんだろうが、今回からは違うぞ。大規模に変わったからな。結構な量になるんじゃないかとは思うんだよ。1回で買いきれないほどにはあると思うぞ。……まあ、そもそもそんなにも麦畑が増えるなんて思ってもみなかったんだろうけどな。
「カントさん、こんにちは」
「ああ、フレイル君。ちょっと待ってくれるかい? 出発は明日になるからね。今日で商売が終わるから、明日、朝一に来て欲しい。そうしたら連れていくからね」
「解りました。朝一で良いんですね。それで、私の待遇ってどうなるのかとか、解ることはありませんかね? 一応は解っているつもりではいますけど、最低限のラインを教えて欲しいんですよ。もし、最低ラインになった場合は、何処になるのかってのを」
「最低限の場所は、大商人の所の雇われになるのかな。お給料もしっかりと発生するし、問題ないとは思うよ? 少なくとも苦労はしない筈さ。将来に渡って色々とやらないといけないことは多いと思うけど、大商人がフレイル君を切るなんてことは無いだろうしね。白金の供給だけでも全然話が変わってくると思うし。待遇は良いと思うよ。詳しい事は自分で交渉して欲しい所だけどね」
「なるほど。最低でも大商人の所で働けるって事なんですね」
まあ、そうだとは思っていた。これでカントさんの所で働けって言われても、働いたとは思うけど、ある程度の成り上がりをしていかないといけない立場だと思っている。伯爵家に飼われるだけってのは避けたいんだよな。そんなところで終わるつもりは毛頭ない訳だ。出来れば、踏み台程度に思いたいんだけどな。上にいかないと、予算が付かない。予算が無いと、研究にも支障をきたすからな。出来れば、潤沢な予算をたっぷりと使って、色々と出来ればなとは思う。
「それよりも、家族との別れは済ませたかい? そっちの方が余程大切だよ? もう会えない可能性もあるんだからね」
「それは勿論ですよ。家族との別れは済ませました。昨日、良い感じに話が出来たとは思います。まあ、今日も会う訳なんですけどね? 最後の確認をしておけば良いかなとは思います」
家族と別れるのは寂しいが、仕方がない事だからな。いずれはやってくる事なんだから。悲しんでなんていられない。私は私で自立しないといけないのだ。その程度の事は解っている。
「ちゃんと別れが済んでいるなら良いよ。じゃあ、また明日ね。そこからは暫く行商に付き合ってもらって、そこからは大商人の所に行くから。そのつもりで準備をお願いできるかい?」
「解りました。って言っても、そんなに持ち物は無いんですけどね」
そもそも、農村の子供なんだから、持つ物なんて無い。多少のお金をってくらいなんだよ。まあ、断ったが。お金はこれからたっぷりと稼げる予定である。それなら他の兄弟姉妹に使ってくれれば良いと思うんだよ。私は私で何とかしてみせる。そのくらいは出来る筈だ。
まあ、とりあえずはそんなところだな。難しい事を考えても仕方がない。物事は意外と単純なものなのだから。難しく考えれば考える程にドツボに嵌まるのだよ。それだけは回避しないといけないとは思っている。




