刈り取りの魔法と就職先
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夏野菜が収穫し終えたと言う事は、色々と撤去しなければならないと言う事である。無論、枯れるまで放置という手段も取れなくはない。だが、秋野菜を植えたいのだ。撤去しなければ、新しい畑を作らないといけないと言う事になる。それはそれでも良いんだが、こうなってくるのであれば、魔法で刈り取り、燃やして灰にした方が良いとは思う。その方が色々と良い事がありそうだ。
「という訳で、新しく魔法を開発した。これで刈り取りが早くなる。麦の収穫でも使えると思うが、まずは試運転をしてからだな。夏の今の時機に試せるのは大きいとは思う」
「相変わらずだな。まあ、良いけどよ。ちゃんと皆には教えておくから、心配すんな。刈り取りまでには慣れるだろうからな。無茶な魔法じゃあ無いんだろう?」
「簡単な魔法に仕上げたつもりだ。ただし、人に向けて使わないでくれ。かなり危険な魔法だ。大怪我をしたくなければ、農作物にだけ使ってくれ」
「……解った。その様に伝えておくぞ。まあ、何とかなるだろ」
何とかなると良いんだがな。攻撃魔法に近いものがあるんだよ。空気の刃を作るんだからな。魔力はそこまで必要ないが、なんだかんだと危険な物になってしまっている。危険な魔法を教えても良いのかって話はあるんだが、仕方がないとは思う。大怪我をしない様に気を付けて欲しい。
そうして魔法を共有していく。魔法は便利に使えれば良いのだ。魔法は道具と同じ。使う人が使えば、凶器にもなると言う事なのだよ。むやみやたらに使っても良い魔法なんて無いのだ。その辺は教会で教えられる魔法でもそうだからな。火を付ける魔法なんて下手をすれば火事になる。お湯だって大やけどを負う可能性もあるのだ。気を付けるのは当たり前なのだよ。
さて、これで秋野菜を育てられるな。夏植えで秋に収穫できるものを植えていく。まあ、それを見繕ってくれるのは母さんなんだが。父さんも忙しいからな。倉庫の建築は終わったが、色々と調整する事があるらしい。畑仕事には参加できないと言う事になっている。……まあ、夏野菜のお陰で、麦が少なくとも何とかなっているがな。野菜を食べる事で飢えを凌ぐのだ。何とかはなる。そのくらいは考えられるのだよ。
しかし、本当に寒村とは難しいな。何をしようにも足りないものが多すぎる。もっと色々と知っていてもおかしくない事も、知らないんだし、そもそも耕せる農地が少ないのが問題なんだ。ここはローレンディア伯爵領。つまりは伯爵家の領地である。その領地で生活するのに、貧困層が居るのが問題だとは思わないのだろうか。……一応推薦してもらおうとしているんだが、伯爵家が無能な可能性が高い。何故なら、有能な貴族家であれば、寒村なんぞ作らないからだな。
普通に考えれば、何処かで牛や馬を育てて、他の村々に受け渡して全部の村で、農耕馬や農耕牛として利用する事を考えるだろうとは思う訳だ。そのくらいの事はしても良いとは思う。そうしないと農村が発展しない。ある程度の食料生産が出来ないと、全く意味がない。税を支払うだけでもギリギリの場所を作る必要が無いんだよ。どう考えても育ってもらう方が良いのだ。それを解っていないのかね? だから、貴族家としては、無能の部類に当たるのではないかと思うのだ。そこに私がいっても、何の役にも立たない可能性は十分にあり得る。というか、下手に優秀な人材が行けば、干される可能性もあるとは思う。私は特別に優秀という訳ではない。ただ、魔力が多いだけの平民だ。それで優遇されると思う方がおかしい。
勿論、そんな事を考えてばかりいる訳ではない。普通に使ってもらえることも考えているが、可能性としては低いと考えている。なんだかんだと理由をつけて、放置される可能性があるとは思っているのだ。その時の為に、色々と考えておかなければならないことは多くあるとは思うが、そこまでしても、出世が望めないのであれば、出世なんぞしなくても結構。理解者に会えるだけでも良いとは思う。誰もが無能という訳ではないだろうからな。ある程度は理解が出来るものもいるとは思う。
「しかし、なんだな。魔法の事を勉強するには、伯爵家への推薦が必要になってくる。だが、伯爵家が有能だとは限らない。勉強できる環境にあるのかどうかも解らないからな。どうあがいても駄目だと言う事にならなければいいが。伯爵家で駄目なら、国に行くしかない訳だ。国も駄目なら、どうにかして、実家に帰って来た方が良いだろうな。そんな事にならない方が良いんだが、今の所良く解らないからな。無能の可能性が高いというのが私の見方だが、さて、どうなるのか」
必死になって勉強したは良いが、農民や町人に還元されないのでは意味がない。こう言う事は還元するから意味があるのだよ。そもそも田舎が死んでしまえば、都心部だって痛手を被るのだよ。そのことを解っていないらしいな。そう言う事を解らなければ、統治者になんぞなるものではない。理解できないのであれば、無能の烙印を押さざるを得ないのだよ。それでどうすればいいのかは、まだ解らない。とりあえずは上を目指して動くしかないのだ。
畑も植え終わり、肥料も水も与えて暫くしたころ。季節外れだが、カントさんがやって来たらしい。余程行商的に美味しくなったんだろうな。鉄なんて幾らあっても困らないだろうし。魔法で他の土地でもやっているのだと思っていたが、そんな訳ではないらしいからな。何とか利益になる様にと言う事で、必死になって行商をしてくれているのだろう。有難いことだ。ここに商人が頻繁にやってくるというだけでも、かなりの差だからな。色々と情報を手に入れるにはもってこいなんだよ。
「カントさん。お久しぶりです」
「ああ、フレイル君だね。……例の話、上手くいったよ」
「本当ですか? それなら何時になりますかね?」
「次の行商の時には連れていけると思うよ。次は収穫が終わってからになるとは思うけど、その時には一緒に連れて行って、領主様の所まで案内できると思う。でも、出来るのはそこまでだよ。そこからは、自分で何とかしてもらわないといけない。話が出来る様にするのはする。ある程度の所まではいけると思うんだ。……先に大商人に挨拶も必要だけどね。そっちの方が重要かな。どうにも白金の定期購入をしたいって話みたいだしね」
「まあ、それを餌にしたので当然の事ではあるんですが。しかし、確実に入れるようになる訳ではないと言う事ですか?」
「そう言う事だね。こっちでもねじ込むようにお願いしたけど、大商人が何処まで動いてくれるかは未知数だし。でも、上にねじ込むことは難しいから、まずは下っ端からになるとは思うけどね。それで結果が出れば、って話になるんじゃないかな。まあ、そこまで難しく考えなくても大丈夫だよ。最悪は、大商人の所で雇ってもらえるようにも交渉しておいたから」
「なるほど。と言う事は移動は確定なんですね。それを両親にも伝えた方が良いですよね?」
「そうだね。両親には伝えた方が良いとは思う。なんだかんだと向こうでお世話になるんだから、この村には余り帰ってこれなくなるだろうしね」
そうか。まあ、旅立ちは早い方が良いからな。決まったのであれば嬉しいが、両親とはこれでお別れか。寂しくなるな。今世の両親も良い人ではあった。分かれることが辛くないと言えば嘘になる。それだけの事をしてくれたわけだ。……最後は麦の収穫をしてからになるのかな。恐らくだが。




