頭の中の女神
「ここは、、、どこ?」
さっきまでいた祖父の墓のお墓の前にいた場所とは、、、というより世界そのものが違う。
地面はアスファルトとではなく石畳だし、建物はコンクリートなどは違う煉瓦造りだ。それはまるで中世ヨーロッパ?的な感じの作りである。
そんな建物の姿を見ていたら、、、
「おい!邪魔だ!どけどけ!」
急に男の人の怒声がして、横から馬車が近づいてきていた。
でもその馬車を引いていたのは馬ではなく、、、大きなトカゲであった。恐竜といった方が正しいのかもしれない。
そんなトカゲが荷車を引いていた。
「あ、すみません、、、」
私はうしろに後退り道を開けた。
自分がいた場所が道路に出ていたのに気づかないくらいこの光景が衝撃すぎた。
そういえば、さっきから道行く人たち目が私を横目に見ているのに気づく。
私の服装は一般的な制服で、周りの服装とは明らかに違ったのだ。
それに、、、
「あ、月雲」
私の腰には刀があった。そして月雲とは我が家の家宝の刀のことである。
でも、なぜ今その家宝の刀が腰に据えられてるのかはわからない。
「な、なんで」
そんな疑問を抱いていると頭の中で声がした。
「こんちには、中村哀さん」
「え?」
私は思わず声に出てしまった。
頭の声は続けて
「今、あなたの頭の中に喋りかけています。声に出さなくても頭の中で喋りかけてくれたら会話できるからそうしてね」
なんのことかわからなかったが、とりあえず道で立ってたら目立つので脇道に入り、頭の中の謎の声に答えた。
「あなたは誰?」
すると謎の声は
「私はこの世界の女神です。元の世界であなたが途方に暮れていたところを見て、こちらに転移させました。そして、今この世界であなたが持っている力をこの世界で振るってほしいのです。」
「私の力?」
女神と自称する声が私の力を?
私にそんな力は、、、
「いえ、あります。あなたの腕とその刀と共に。」
「刀と共に、、、」
たしかに神影流は実践向きな流派であり、特に暗殺等に長けている。
じいさまの教えでこの流派は他言無用とまでされていた。だからこの神影流は無用の長物だと思っていた。
「あなたのいた世界では迷うかもしれませんが、この世界では大変重宝されます。あなたのその力で弱き者を救ってください。」
「弱き者?」
「そうです。この世界では強い者が富、名声をものにします。もちろんそれは悪いことではありません。しかし、時にその力を弱き者に向けて虐げるのは別の話です。なのであなたにはその弱き者を助け、必要とあらば、、、」
「必要とあらば?」
「断罪してほしいのです。」
「つまり、殺せってこと?」
「最悪の場合そうしていただきたいです。更生できるのであれば生かしておいても良いのですが、その可能性は低いでしょう。」
「人を殺したことがないのでできるかわかりません。」
「いえ、あなたはできます。」
「なんで?」
「普通の人はそんなこと言われたらできないとすぐ答えるでしょう。しかしあなたはできるかどうかわからないと言いました。それはやってみないとわからないといってると同じで、できないとは言いませんでした。」
たしかにそう答えたが、本当にできるかはわからない。
本当に殺したことがないのだから。
しかし、、、じいさまとの稽古はいつも人を殺傷する方法、剣術を叩き込まれた。護身術くらいの気持ちでしていたが、後々思えばそれは自分を守るというより相手を無力化もしくは、、、
「そう、人を殺めるための剣術だったのです。今、答えを出さなくてもいいです。しかし、許可なくこの世界に連れてきたこともありますし、私がサポートします。」
「サポート?」
「正確には私の眷属があなたをサポートします。今後はその者に色々聞いてください。では」
「え?ちょっ、、、」
「っていうことで!今後は私に聞いてくださいまし!!」
「わっ!」
いきなり視界の上から、正確には頭の上から丸くて羽がが生えてる生き物が降ってきた。