表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

1話

こんにちは

異世界で兄妹は如何なる夢をみるか?


 


 季節は夏・お盆の時期だ。セミたちはけたたましく大合唱し、太陽は容赦なく大地を照らしつけ、神社の階段を登るガタイのいい大男をへばらせる。2人分の荷物を持っているのも原因の一つだろう。大男、つまり俺こと、清瀬優輝(きよせゆうき)。身長2mの年齢は22歳だ。なんでこんな自己紹介してるんだって?この暑さだ、頭が熱にやられておかしくなっても不思議ではない、つまりそういうことだ。

 

 と、その隣で鼻歌交じりに軽くひょいひょい登っていく女の子がいる。身長は170cm、体系はスレンダーで、セミロングストレートの黒髪、白いTシャツにデニムのショートパンツ、俺の視線に気づいたのかこっちを見て笑う姿は可愛らしい。「早く行こうよ」と急かす姿は、凛とした姿の中に幼さをのぞかせる。


 傍から見たら独身男性憧れの存在、彼女に見えるだろう。まぁ、実際は彼女ではなく俺の実妹の清瀬衣里(きよせえり)17歳だ。最近の悩みは、実年齢よりすこし年上に見られがちな事らしい。因みに、ここだけの情報だが彼氏は居ない。聞いた話によると「お付き合いしたいが、お兄さんが怖すぎて無理」だそうだ。HAHAHA!!シスコンだって?うるさい、衣里が可愛くて何が悪い?俺の宝だぞ。


 なぜそんな二人がこの炎天下の中神社の階段を登ってるかって?この先のパワースポットがなんかすごいらしくて、両親の墓参りのついでに隣町まで来たって訳だ。神社巡りが趣味の衣里もハッピー、愛車でドライブが趣味の俺もハッピー。まさにWin-Winの関係ってね。それにしても今日は


「あちぃ……」


 ついつい口に出てしまう。これだから衣里から独り言が多いとか言われるんだろうな。


「何を当たり前の事を言っているのだよ、お兄ちゃん。なんたって夏だもん」


 この暑さの中、ケロっとしている衣里が「ヤレヤレ」と言いたげな仕草で馬鹿にしてきやがった。全くいつも俺のこと馬鹿にしやがって。かわいい奴め。


「畜生太陽め、体面積が人よりも多い俺をピンポイントで攻撃しやがって」


 とりあえず太陽に八つ当たりしておく。


「太陽がお兄ちゃんにピンポイント攻撃したら、一瞬で蒸発して消えるけどね。そんなバカなこと言ってないで早く行こうよ」


 親指で目的地をクイクイと指しながら、笑顔で早く階段を上るよう促す。


「イエス、マイシスター。速やかに行動を開始します」


 マイシスターからの命令は絶対です。


「それと、上についたら冷たいジュースが欲しいな」


 曲がりくねった階段の先にある自販機を指さしながら、マイシスターからさらなるオーダーが届いた。


「それくらい買ってやるよ」


 元々買ってやる予定だったし


「やったぜ」


 笑顔で親指を立ててうれしさを表しているのだろう。ジュース一つでここまで喜ぶとはチョロイ。それにしても


「全くかわいい奴め」


 そう言いながら頭をわしゃわしゃとなでる。恥ずかしいのか、照れくさいのか、髪が乱れるからか、衣里の笑顔が少しぎこちない。


「んがー、撫でるなー。そんなことより早く行こうよ」


「そうだな。喉渇いたし、早く上に行って冷えたジュース飲もう」


 仲良く横に並び、上にある自販機、ではなく神社に向かって雑談しながら階段を上っていく兄妹。この先の先に災難が待ち受けるとはつゆ知らず。



----------------------------------------------------------------------------



 「因みに衣里は知ってるか?」


 「何を?」


 「親指を立てて”いいね!”ってやるこのジャスチャーの名前。」


 「なにそれ!それに名前あったの?!」


 「あるある。サムズアップと言うらしい。」


 「知らなかった……!」


 「所説あるがもともとはローマのコロッセウムで使われてたサインだ。」


 「流石お兄ちゃん無駄なことだけ詳しい。」


 「一言多いぞ。」


 「「ははは!」」



 ……そんなくだらない会話をしながら階段を上っていく。


ゆるりと書いていきます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ