忍6
突然の緊急事態状況開始です
町に残っていた全冒険者が呼び集められる
「何だ物々しいが」
「正門も封鎖されてたぞ」
状況が判らず口々に議論する冒険者たち
そこへギルドマスターショーズが現れる
マスターの纏う気配に口を閉ざす面々
「緊急事態だ今この町は魔獣の大群に襲われている現状正門を閉ざして
対応しているが次の定期便があさってに到着するこれで状況は判ってもらえただろう
このままでは定期便の乗客は魔獣たちのご馳走になってしまう
ましてやそれに女性が乗っていれば諸君には言わなくても判るな
我々は冒険者だわずかな自由と引き換えに命を投げ出す当然助けを待つ自由もある
さて諸君はどちらを選ぶんだ?」
ショーズの問いにワイレンが真っ先に答える
「切り込むのが冒険者だよなマスター」
そう言って息を吐く敵の実数がわからない以上
切り込んで叩き潰すしかない選択しは現状それしかなかった
「ならわしが先に出よう」
その声に冒険者たちの視線が集まる
「わしには木々の上を飛び渡る術があるあいつらをかき回すのに丁度いいだろ」
そう言って笑みを浮かべる猫べえ
「ちょっと抜け駆けはずるいわよ猫べえエルフにだって似た技はあるのよ」
そう言って弓を担いだエルフたちが名乗りを上げる
「ほうなら協力しようわしがやつらの鼻をつぶす其処をその弓でてのはどうかな?」
猫べえの提案に顔を見合わせ笑みを浮かべるエルフたち
「乗ったはあいつらにはいい嫌がらせになるわ」
手を出しお互い握手する
「かく乱メンバーは決まったなせいぜい魔獣に地団駄踏ませてやれ」
ショーズの言葉に突撃部隊もワイレンを中心に固まる
「さあお前ら俺たち冒険者って名の大馬鹿者達の花道だ派手に暴れてやれ」
ショーズの号令で冒険者達は出陣する突撃部隊は目抜き通りを進み町の住人に安心感を与え
かく乱部隊は屋根の上を飛び渡っていち早く正門にいたる
「ちょっと待ってあんたこのペースで息を乱してないってどういう鍛え方してるのよ」
一緒に魔獣をかく乱するエルフたちは額に汗にじませ息を若干ではあるが乱していた
にこりと笑った猫べえは門の上から下を覘いて頭をかく
「何よそんなにすごいの私にも見せて」
そう言って猫べえの脇から下を覘くが思わず声を上げそうになって口を押さえる
其処には開かれた道を埋め尽くさんばかりに魔獣がひしめき合っていた
「何よあれ普通じゃないわよまるで何かに操られているみたいじゃない」
声を潜めたエルフアーチャーの少女マルバは我慢できずに言い放つ
だが一同その言葉に何か引っかかりを感じた
「マルバお前の勘正しいかも知れんぞ」
マルバの兄フェラウは笑みを浮かべ妹の頭を撫でる
「ちょっと兄さん恥ずかしいじゃないやめてよ」
顔を染めるマルバの頭をみんなで撫でた後
「それじゃそいつを探すとするかそれじゃ伝令お願いマルバさん」
初対面に近い猫べえにまで頭を撫でられたのとそれが思いのほか気持ちよくて
うっとりと陶酔した表情のマルバに突撃隊へ伝令に行って貰い
猫べえを含めたかく乱部隊は門の上から跳ねると道の脇の木に飛び乗ると
猫べえが懐から取り出したいくつもの玉を投げつけると魔獣から悲鳴が上がる
「今です」
猫べえの合図でエルフの弓が矢を雨のごとく降り注がせる
そして彼らは殲滅を目指すのではなく門から引き離しながら木々を渡っていく
「何をやつらに振舞ったんだ?」
フェラウの問いに猫べえはにやりと笑みを浮かべ
「特製のくしゃみ玉本来は対人無力化用なんだけどいやはやいい気味だね」
そう言ってフェラウを噴出させる
「ははそれは確かにいい気味だエルフにも似たのがあるがここまで強力じゃない」
そう言って笑いあっていると戻ったマルバが合流する
「何二人とも楽しそうね」
そう言って二人を見回すマルバ
突撃班はどうかいな?