忍10
シェルさん再び登場ですが様子が違う
ブラディーコング討伐から一週間後
今日もショーズの呼び出された猫べえが執務室を訪ねる
「マスターお呼びだそうですが」
中に入った猫べえは姿勢を正して震えているシェルに驚く
「おいどうかしたのかそんなに震えて」
呑気に尋ねると
「仕方ないだろいくら私でも尊き方の手紙を届ける
なんていう任務を受けたことなんてないの」
そう言って懐から封印された手紙を取り出して
厳かに読み上げる
冒険者猫べえ殿
今回は妻の故郷に現れた凶悪なモンスターの討伐
この報告を受けて妻の不安は晴れました
病気がちの奥が力を取り戻しあなたに会って直接お礼が言いたいと願い出るほどに
ありがとう夫でありながら妻の不安をぬぐう事ができず
私は無力感にさいなまれる日々をすごしていた
君は私たちに力を呼び戻してくれた
故に私は君に心からの感謝をささげる
もう一度言わせてもらおう
ありがとう
国王ライガレル
ここまでを読み上げてシェルは手紙を畳むと
一礼して猫べえに手渡しほっとした表情を浮かべる
「ははお若いが出来たお人だな国王はなあシェル」
目を細めて笑顔を浮かべるショーズ
脱力しているシェルも頷いて
「うん仕えがいのある主だと思う私も
内容の知らなかった手紙の中身を読み上げていてつくづく
そう感じたおじいちゃんが愛想をつかした王族とは月とスッポンだよ」
話によれば以前ショーズが仕えていた王族は私欲に兵を動かす
人物でシェルが騎士になるのを反対したのだが
先代が亡くなり次代の国王を選ぶ際には明らかに年若い王を不安に思ったのだが
期待されていなかった王は驚くべき才を発揮して
不正に明け暮れていた領主たちを引退させ民の安定に努めて隠匿生活を送っていた
ショーズをギルドマスターに任命し犯罪の抑止を行う
これによりこの国に派兵を企んでいた隣国を思いとどまらせるに至るのだった
「まったくあのバカがとんでもない王を残してくれた
もし隣国に攻められたらこの国は終わっていた
あの状況で手を引かせるなんて
普通じゃ無理だなにしたのか解らんが
それをなした国王は傑物に違いない」
ショーズは周りに話していた
王都王族のプライベート区域
体を起こしベットに座る美しい王妃
その王妃に微笑む若き国王ライガレル
「起きていて大丈夫なのかい顔色は良いけど」
「ええ私うれしくてそれに夢で見たの女神様が教えて下さったんです
この世界に希望を遣わしたってふふ」
「希望?」
「ええそれがおかしいんだけどその時見えたのが猫なの」
「猫なのかい」
「ええそれも変わった装束を着けた猫なのよ」
そう言ってまた笑う王妃
「変わった装束それに猫まさか彼は・・・・」
国王は自分が手紙を送った相手を思い描く
そして笑い声をあげるのだった
変わった装束の猫
誰でしょう?