この世界
一人の男がいる。
その男は妻と思われる女とテーブルを挟んで仲良くなにかを話している。
男がコーヒーを口にしようとカップを持つ。
コーヒーカップは男の手から落ちる。
コーヒーは溢れ、コーヒーカップは割れる。
男はなにやら苦しんでいる。
妻は男にかけより叫んでいる。
やがて救急車が来て、男は運ばれる。
妻は男に声をかける。
救急車が病院へつくと男はすぐに手術室に運ばれた。
妻は手術の成功を祈って両手を握る。
男の手術は成功した。
病室へ運ばれる。
しかしそれから一週間しても目覚めない。
妻が世話をしに病室へ入ると男の目から涙が溢れている。
病室のドアが勢いよく空き、看護師や医者が入ってくる。
男はそのまま息を引き取った。
「ふぁぁぁぁうぁ」
目を開けるとシャンデリアが目についた。
あぁ、また変な夢か…
夢の中で夢を見るのは変だが、その夢まで変な夢を見る。
自分の将来の姿ではないかと思うほど、リアルな夢だった。
もうこちらの世界へきて四日ほどたつ。
正直、夢でも夢でなくてもどっちでもよくなっていた。
この世界が自分にとって心地よいものだった。
自分の思い通りになることが楽しかった。
この世界について大分わかってきた。
まず、日本には存在しなかった人に特性、ジンというものがあるということ。
赤い鎧のゴギンという人物はジンの中でも最上位のジンの持ち主で全ての生命に対して優位に立てるらしい。
ジンには上から順に最上位、上位、中位、下位、最下位と五つのグレードがあるらしく、最下位であっても優遇されるほど、ジンは珍しいものだという。
次に杖の効果について、少しややこしいということを知った。
杖は木、石、金属そして希に骨が素材とされるらしい。
宝石と組み合わせて一つの杖となるが、この宝石がかなり種類が多く、ややこしい。
ルビー、サファイア、エメラルド…日本でも聞いたことのある名前だが、日本では不思議な効果はなかった。と思う。
杖といくつかの宝石を組み合わせてより強力な力を得る、というのがこの世界の魔導師の基本らしい。
次に魔法については自分はイメージさえすればなんでもできるらしい。
魔法にもランクがあり、下から順に低位、中位、高位、上位と四つに分けられる。
ゴギンを倒した魔法、『トンカツ』は上位の魔法のようだ。
さらにその中でも第一から第十までわけられており、第一が最も弱いものになる。
つまり、一番ランクの低い魔法は、第一低位魔法で、最もランクの高い魔法は第十上位魔法となる。
上位魔法を使える者は大魔導師と呼ばれるらしい。
国同士の関係は難しいらしい。
なにかがあるわけではないが、隣国が攻めるという情報がどこからか流れてきて、衝突する、ということが続いているらしい。
水国とは特に衝突しているらしく、逆に那国とはあまり関わりがないらしい。
そしてホーセンという馬人と呼ばれる生き物の国が大きな力を持っており、定期的に人間の国にやって来ては、人間を殺し、肉をとっていくようだ。
最後に、一番大切なことだが。
トンカツはないようだ。
豚に似たコータはいるため、作ろうと思えば作ることはできる。
それをしないのは、母親のトンカツを求めているからだ。
この世界について頭の中を整理しているとあの疑問が浮かぶ。
この世界は夢なのか、現実なのか。
夢だとしたら長すぎる。
現実だとしたら現実離れしすぎている。
「ハァ…疲れるな…」
まだ朝も早いため目を閉じ眠りについた。
短くなってしまいました。
読んでいただきありがとうございます。