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裏野ドリームランド  作者: 大西洋子
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アクアツアー

 私が裏野ドリームランドで体験した奇妙な出来事を話しましょう。


 私、小さい頃からジェットコースター系が苦手で、遊園地で遊ぶとなると、どうしても乗れる物が限られてしまって。


 その上、その頃はまだ小学生で、身長制限で乗れる物が限られてしまって。そんななかでアクアツアーは、心置きなく楽しめる場所でした。


 アクアツアーは、大人が三人ほど乗れる舟で、海底のあちこちをめぐりながら、時折現れるサメを銃で撃退するというアトラクションで、私はサメを退治するよりも、次々と変わる場面を楽しむのが大好きでした。


 今でもよく覚えています。水晶の林、色とりどりの魚の輪、イルカと並走、深海、そして海の底に沈んだ難破船……


 ええ、アクアツアーの内容を、空で語ることができるくらい、何度もアクアツアーのアトラクションに乗ったわ。


 奇妙な出来事は、どうした?って、それを今から語ろうとしていたことところよ。前置きが長くなったけど。


 そう、アクアツアーマニアと言ってもおかしくない私が、そのアクアツアーで奇妙な出来事に遭遇したのは、小学生の卒業旅行の時でした。


 背が伸びて、今まで乗れなかったアトラクションをまわり、後一つでおしまいにしようと選んだのが、アクアツアーでした。


 友達と一緒に舟に乗り、記憶通りに場面が変わっていくのを、おしゃべりしながら進んで行ったの。


 何時もとは違う演出だな。と、気がついたのはアトラクションのラスト近くで、深海へと潜り、海の底に沈む難破船が現れる辺りからでした。


 この難破船がギリシャ神殿のような場面に変わっていて、天井に向かって壊れ傾いた柱がいくつも並んでいたの。


 波間の揺らぎの淡い光に誘われて、無数の魚たちが乱舞していたの。


 あまりにも美しい光景に、私は友達と一緒に歓声をあげたわ。


 そんな光景に、大きな影がこっちに迫ってきたの。まるで首長竜みたいな大きな白い影。


 私は思わず銃をその影に向け、ボタンを押したわ。影は赤い光を撒き散らし、奥の方へと去っていったわ。


 帰り道、一緒に行った仲間とその話になったのだけど、その影を見た人と見なかった人と半々だった。


 で、私がアクアツアーの最後って、前は難破船だったよね。と、言ったら、みんな声を揃えてそれは違うというの。


 じゃあ、私が今までアクアツアーで見たものは一体なんだったのかしら。



 で、ほんの数ヶ月前、話の弾みで閉園になった裏野ドリームランドへ肝試しに忍び入ろうという話になったの。過去の記憶を確かめたいのも合って、その話に乗ったの。


 懐中電灯を灯し、遊園地に忍び込んで、園内のあちこちを歩いて、最後にアクアツアーのアトラクション前にきたの。


 私達数人が団子状態になって、アトラクション内を歩いたわ。セットのほとんどが壊れていて、歩きづらかったのもあって、程なく外に出ようという話になって今来た道順を引きかえそうとしたの。


 その時だったの。あの首長竜に似た白い影が、私達の後ろから追いかけていることに気がついたのは……


 もう、パニックね。私達は一斉に出口目指して走ったわ。走って、走って、最後の場面へと転がるように走り込んだわ。


 そこは朽ちた屋根の隙間から月明かりが差込み、壊れた神殿が佇んでいていたの。


 まるでその場面が私達を待ち受けているようだったわ。そんな神殿を背に、あの白い影が滑るかのようにやって来たの。


 男子が出口付近を塞ぐように固まって置かれた舟を押し出口を開けようと奮闘して、女子のほとんどがやってくる白い影に悲鳴をあげたわ。


 私は無意識に舟に飛び乗り、銃をその影に向けボタンを押したの。ええ、おかしいでしょ?


 でもね、その銃から赤い光が飛び、白い影に弾け、白い影が大きくうねり、私が乗った舟を叩くと、奥の方へと去っていったの。


 それとほぼ同時に、男子が出口の固く閉まった扉を開け放ったの。


 私達は先を争うかのように神殿の柱を横目に、駆け抜けたわ。


 私はひっくり返った舟から這うように抜け出し、みんなの後を追って走り出したわ。


 もうすぐ出口というところで、私はなんとなく後ろを振り返ったの。さっきまで私が乗っていた舟、私がアクアツアーのアトラクションの最後に見た難破船に瓜二つだったわ。


 その後はどうしたかって?


 実はよく覚えていないの。気が付いたら、みんな個々の住まいに近い駅に降り立っていたからね。



 私が裏野ドリームランド跡で遭遇した奇妙な出来事は、これでおしまい。


 ……ところで誰か、裏野ドリームランド跡のアクアツアーの白い影何だったのか、私と確認しに行かない?


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