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4 食べ物は何を食べるの?

 随分と睡眠をとっていなかったのか葉っぱで出来た寝床を完成させると直ぐに眠りについてしまった誰が寝たのかというとそれはもちろん女の子だ彼女は特に疑問を持たずに居てくれて楽で助かった(他の人が疑問になったことは知りたがるみたいだけどそれはノーカンよね)問題があるとすればいまだに眠っていない二人の警戒心剥き出しの気配くらいだろうか……五感があるのだから疲れも眠気も感じるはずなのに、いつのまにか叫んでいた奴も復活しているし立ち直るの早いわよ、わめいて煩い鈍感な奴って痛みにも鈍感なのかしら……特に眠たげに半分眼を閉じている奴眠いのなら寝てよ?眉間に皺がよって見方によれば怒ってるように見えるわよ。


『おい……おいっ!!聞こえてんだろ、こっちはテメーに聞きてぇことがあんだよ、クソガキと一緒に煙にまこうたってそうはいかないぞ』


 目がつりあがっている目付きの悪い刀もキャンキャンと煩いなぁ、犬にしちゃうかまだそっちの方が可愛いげがある気もする。思い付いたらなんたらって言葉があったわよね丁度エネルギーは相手に貯蔵されているからそれを借りればちょちょいのちょいだしそれでいこう。


『っ、何だよ何を企んでっ……』


「……っぅウォウッ、ウォウウォ?ウッォウォウッ!?」

※く、黙ってんぁ?なんじゃこりゃっ


 操作が成功して真っ黒い犬になったがおかしいなもう少し小型のを予想していたんだけれど、まぁ良いか、さてとどうしようかな貴方はまだ話は出来るのかな?それとも貴方もワンちゃん語……って斬りかかって来ないでよ傷つくる気無いから意味無いんだけどさぁ。


 真っ黒犬のデカイ姿に少し呆れていると死角から鋭利な刀が入り込んできたが体内の侵入を許していないので相手がアタシの急所に寸土目で止めているような形になっている……実際は違うわよ?しっかりとアタシの肌に当たっている、それにしても器用なのね腕を刃に変えるなんて人体兵器のようね。


『……やはり通じないか』


『あたしに構うだけ無駄よ?なにもするつもり無いもの』


 刃をしまって(腕に戻して)なんともいえない表情をしている、アタシはため息混じりに言葉を伝えると半分閉じている瞳がかすかに揺らいだ動揺ってどういうことなのだろうか?もしかしなくともアタシが貴方達に危害を加えるとでも?だとしたら心外だわ、まぁ確かに手をあげたり(いじ)ったりしたけれども不可抗力もあるのよ突っかかってきた奴も悪いのだし等と考えてると知らぬ名前が出てきた。


『弛緩と言う名に聞き覚えはないか』


『人にしては宛字みたいで変な名前ね知らないわよ』


『弛緩は人ではない』


『そう……なの?でも知らないわよそんな緩んだような名前』


『そうか……では何しに降りてきた?人ではない何かだろう』


『アタシが人って呼ばれる存在ならここの人って存在は超人ね……それで何しに降りてきたかって言われても知らないわよ、気が付いたらここに居たんだもの』


 どうしてここにいるのかはアタシが聞きたいわよちょっと苛つきながら答えると特に言葉は返されずBGMに成りかけている犬にした刀の方に視線を向けた……この二刀はセットで造られた刀らしく運命共同体みたいな複雑な構造になっている呪いが刀に憑いていた。この世界は魂を刀に閉じ込めるのが当たり前の世界なのだろうか?いやでもそんなこと出来る人は少ないと思っても良いわよね先程の会話は覚えてるわよ……今更ながらだけど彼も大型の黒犬になっているけど音にせず思っている事を直接相手に届ける力を使っている。

これって世界共通語で言語を変えなくても伝わるから便利よね。

 犬の姿になってなくても使ってたけれど片割れ(煩い奴)は使えないのかしら刀形体の時は使っていたみたいだけれど刀形体の特典として無意識でも使える機能がついてるのかしら?

 眺めていると何処かからかお腹の虫が鳴る声が聞こえた……アタシじゃないわよ?何処かからっていったでしょ、二刀(現在ワンちゃん)に視線で訪ねると両方とも現在寝ている女の子の方へ視線を向けた、確かに音は女の子からだった、そうよね肉体があるんだものお腹が空いたのねこの世界のエネルギーは何なのかしら、チラリと訪ねるように視線を向けるも眠たそうにしていた奴は既に完全に寝ていて(寝たふりじゃ無いわよね?)煩い奴はベーっと舌を出し勝ち誇っている……勝ち誇ってどうするのかしら?小さな女の子がエネルギー切れて事切れたらどうするつもりなのかしらね、仕方なく犬の姿から元の姿(ヒトガタ)に戻した。

 あれ?でも今は刀なのだから元の姿とも言えないのかしら?いえいえ、魂は人のモノだからヒトガタが元の形と言っても間違いは……


『何だよ元に戻したから教えろって言うのかよ?』


『貴方って刀それとも人間?』


『……は?』


『そもそも魂なのよね、元の姿は幽霊とでも呼べばいいのかしら?』


『俺の元の姿とか既に人生終えて終わっちゃってる奴のどうでもいいことで一気に話題をずらすなよ』


 あら?一気にテンションが下がったのか肩を落としてボソリと突っ込みを入れられたわ、自分の事なのにどうでも良い事って意外と自己評価低い事、元の姿というものは重要な事なのにね、長いこと五感を失って大事なものまで失ってしまったのかしら?


『悩んでなくて良いから、ガキの飯を用意するんじゃねぇのか?』


 首をコキリと鳴らし向こうから話題を戻してきた、女の子の事はそれなりには気にしているって事で良いわよね?アタシを困らせたいが為に言った売り言葉に買い言葉という奴かしらね……痺れを切らしたのかエネルギー補給の流れを説明しているけど困ったわね途中で申し訳ないのだけれど口を挟ませてもらうわよ


『食材の確保は貴方達でやって頂戴、料理ならアタシでも出来るからそこは任せてくれても良いわよ』


『あ?んだよ、狩りがめんどいとかか?それとも血が嫌だってーのかよ?』


『面倒とか嫌とか嫌悪とかじゃ無いわよっ、単純に命を刈り取ることは禁忌なの』


『はぁ?禁忌って、別に命を(もてあそ)ぶためじゃなく命を繋ぐための狩りだぞ、んな甘いこと言ってると餓死するだろうが』


『別に貴方達に当てはめて言ってる訳じゃ無いわよ、アタシにとって禁忌なの分かったらとっとと調達する、武器ならそこの寝てる刀が有るでしょう』


 アタシが殺るつもりは無いと意思を伝える。


 まぁ意識すればヒトガタをとったまま対の刀を刀として扱えるでしょう、元から対になるように造られて更に呪いで補整されているもの自分の身体を弄るよりは難易度は低いはずだからね適当にアドバイスしながらそこらに転がっている石ころを拾い火花を造り火を造る等の作業をしていると上手く言ったのか『うおおっ』と驚く声が聴こえる独り言よね?

 暫くすると近くにあった魂が消えていたので上手く刈れたのだろう、魂が消えたということは一応ここら辺の地帯は正常ということが分かったわね。


『……ぜぇっ、おいこれでいいのかよ』


 ドサリと目の前に置かれた物体を見てとりあえず血を抜きながら食べれないところを取り除く(牙や毛皮とか)そして肉をさばきながら思ってしまったことを口にしてしまった。


『ここの人間って燃費悪いの?それとも貴方の頭が悪いのかしら?』


『んだよ文句あるって言うのかよ、刈ってこいって言ったのはオメーだろ』


『サイズをみたの?……これを食べる女の子と体積よりも明らかに大きいじゃない全部食べようとすればはち切れるんじゃない?貴方達が食べると言うのなら止めはしないけれど刀が錆びるわよ……』


 全くしっかりしてるようで抜けてるのね。


 後は火を通すだけっと、どうしよう鍋がなかったわね、串焼きで良いかしら?味付けはこの葉っぱでと、そういえば調味料同じでいいのかしら?やっぱり現地調達の方がこの世界にとっては優しいわよね、確かさっき落ち葉拾っていたときに見付けたものがあったからそれを材料に……。


『ちっせーのは逃げてくんだよ、それに俺だって躊躇すんぜ……大体コイツ見付けるのにどのくらいかかって追いかけるのに更にどれだけ走ったか…………っておい!聞いといて人の話、聞いてんのかよっ』


『ええ、言われないでもそうするわよ、乾燥させて保存が効くように調理すれば良いものね、でも次からは考えて欲しいわよ』


 上手い具合に焼けた、後は女の子がお目覚めの時にでも火であぶって温めてあげれば完成……もう少しまともな香辛料があれば、後で交渉でもしてこようかしらね、でも子供だからって甘やかしても影響に悪いかも、いずれ自分で自給自足出来るように教えれば良いよねうんうん、まぁ一番良いのは人間の住む場所を見付ける事だけどこの辺木々一帯の森だからな~。


 火の燃えるパチパチという音と文句を言う声をBGMに夜が明けていった。

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