2 話が出来る現地人?発見
盛り上がった土は更に盛り上がりその光景を見ている人が居れば大地が娘を拒んだように吐き出したと表現されても可笑しくない光景だった。頭を失った身体と離れた場所に落ちている藁に包まれた頭、身体だけが起き上がり腕を軽く回し手のひらが光り輝き光が収まると手のひらの上には頭だけになった身体の頭と思えるものがのっていた。戸惑うことなくその頭を身体にくっつけるように首の部分にのせて光輝き光が収まる頃には既に元の身体に頭が収まって何事もなかったかのようにたたずんでいた。
『……………………ふぅ』
一体何が起きたのか思考を巡らしてみるもののなにも分からず仕舞いで服を探すも見つからずあるとすれば首と身体を包んでいたと思える藁ひとつ、つまりこの藁を服の代わりにして歩き回れと?……確かに全裸で歩くよりはまだましだと思うが等と下らないことと葛藤し結局は藁を服としてまとい状況把握のために歩く事にした。
大体いきなり爆発地点の中心に居たからって直ぐに攻撃されるなんてどんな時代だ、このような世界があるのか、まずどうすれば戻れるのだろうか、破壊して……いやいやまた怒られるのは嫌だ……力を使わずに穏便に。
いつの間にか森の中に入っていたらしい草木の揺れる音に思考を中断させられ(そもそも考え事らしい考えはでなかったのだが)音の原因を探る為に周囲を見るもそれらしい者は見つけられずに歩く事にした、風の悪戯だったのだろうかと気を緩めた時にそれは現れた、向こうはこちらに注意を向けていなかったのか走ることを止めず凄い速さで突っ込んで来て正面衝突が起きた。
『まっまっでイっ』
「……っ?!」
良い音を響かせて辺りの主に鳥系が近くから離れていった気配を残しながら……余程痛かったのだろう突撃してきた者は頭を抱えて涙目だ。こちらもぶつかった衝撃は酷かったのかお腹を抱えて少しうずくまってしまった。
『なに立ち止まってんだ止まってる暇があるなら足を動かせ』
声無く痛みを納めようとしている相手と私。そんな二人は声を出す余裕は無いはずなのだが相手……良く見ると小さな女の子だ。黒かと思いきや良く見ると紫ががった暗い青の紺色という色で適当に切ったのか不揃いな長さの髪だった長さは肩にはつかず男に混ざれるようにしているのだろうか?女の子は相変わらず頭を抱えていてしかし文句を言うような表情でひとつの剣を睨んでいた。良く見るとその剣は剣を媒介として中には人の魂というものが入っていたのだがまずは目の前にいる女の子を優先することにした。
『大丈夫?』
お腹の痛みが和らいで来たので声をかけると女の子は慌てて声を出して大丈夫ごめんなさいと無事な事と謝罪をしてきた。こちらにも非はあるので謝罪を言うとまた先程の声と言うか悪態が聞こえた。
『だから注意をおろそかにするなって言っただろうが、やっと様になってきたと思えばこれだ油断は禁物だと言ってただろうがよ』
「さっきと言ってることちがう……」
『バッカ、場の状況を見て切り替えるんだよ、友好的な奴が襲いかかってきたらガキはそのまま殺されるのかよ』
「それじゃあ死んじゃうよ死ぬのはやだよ!」
唇を尖らせてむくれている、どうやら頭はもう大丈夫そうで悪態をつく声と文句を言いあっているがこの世界では武器に魂を宿す事が普通なのだろうか等と悩んでいると会話は終わったらしく視線を感じ眼を向けてみると声をかけられた。女の子は人がいる集落を探しているらしいが人里を離れていたのだろうか何処へ行けば分からずに森の中で生活をしていたらしい。
『人が住んでいる場所ねぇ……ごめんなさいこちらの事は詳しく無いから分からないのよ』
「そうなんだ……じゃあ一緒に探す?」
『はっ?まてまて厄介に成りそうなもんをわざわざ引き入れようとすんな』
悪態をつく声が止めようとするも女の子は深紅の瞳を宝石のように輝かせて一緒に行こうと誘ってきた断る理由は無く、現地人と一緒に行動した方が知識は得られるだろうと判断しお願いして同行することになった。
「そう言えば森の中で何をしていたの?」
『ん?……探索って言えば良いのかしらね、右も左も分からないから適当に歩いていたのよ』
「右も左も分からない?えっ?右って言うのはね」
女の子は言葉をそのまま受け取った様子で右と左について説明しようとして突っ込まれた。
『バーカッ左右くらい知らねーのはガキだけだおおかたこの場所に迷い込んだ奴隷かなんかじゃねーのか』
『む、格好については否定しないけれど奴隷ってなによ、誰かに売られてつかえる魔女なんか聞いたこともないわよ!』
「どれい?」
女の子は頭を少し左に傾け頭上にクエスチョンマークを浮かべるような仕草をするが慌てて首をふって知らなくて良いことだよと宥めた。
『大体なんで死んだ魂が剣に宿っているのよさっさと成仏しなさいよね』
『ハッなんでテメーにんなこと指図されなきゃなんねぇんだよ!知ったことか』
『なっ……なっまいきぃ』
手に光を集め女の子の抱えている剣に飛ばす女の子は吃驚して硬直するも光に包まれ少しして光が収まると二人の青年が女の子の両端に現れていた一人は目付きを吊り上げてこちら(私)を睨み付けていてもう一人は眼を半分閉じていて寝ながら立っているようだった。
多分悪態をついていたのは睨み付けている方だと思い近づいてひっぱたいてやると尻餅をついて眼をまん丸にしていた、どうやら意趣返しが出来たようで舌をベーっと出して笑ってやった……まぁ恨みは持ってないんだけどね。
『私をあんまりなめないことね』
「は?土?……なんなんだよてめぇ」
呆けたように呟くも女の子が声をかけて遮られた。
「お姉さん凄い、どうやったの?あっという間に負かしちゃったね」
『負かしたって、別に勝負なんてしてないわよ?私がやったら弱い者イジメになっちゃうもの』
「おいこらガキっいつオレが負けたんだよ……つーかまてよ少しは疑えよ」
「……止めろ敵わない……」
黙って寝ていたと思った青年が口を開き起き上がり再び突っかかろうとした青年を止めた、止められたことに悔しかったのか顔を歪めて負け惜しみのように言葉を吐いた。
「別に戦う訳じゃねーよ、何かが起きてからじゃおせーだろうがよ」
『何かがって何が起きると思っているのかしら?そこのところ聞きたいわね』
「あ?……っ」
振り向いて見ると既に目の前にいて顔は笑っているが目が笑っていなかった……声なき声が森の中で響いたとか響いてないとか。