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1 怠惰なる魔女じゃなくて破壊者よ

ご観覧ありがとうございます。

できる限り週に一度は更新を目標としていきます。

2話目からは個人目線で始める予定です。

 なんの色も宿さない暗闇の部屋、誰にも干渉されず干渉せずにいられる場所、そこが私の世界の全てだった。

 極まれに人手不足でお手伝いをするために私の世界の外に出る事もあるけど大抵は良い結果にならずにいつもお姉ちゃんやお兄ちゃんが側に居てフォローをしてくれていた。

 私以外忙しいきょうだい達だけど私達の一番上のエン姉ちゃんは実家に居ると暇をつくって会いに来てくれた、そのたびに他のきょうだい達のお話をしてくれて皆忙しいだけで避けている訳じゃないんだよと言ってくれる。わざわざ言わなくても分かってるから大丈夫なのに、別に私は物事を理解できない子供じゃない、それなりの常識というものは学んだはずだ……そのはずなのだ。


 破壊者というネームプレートがかけられているひとつの部屋


 光の通さない暗闇があるだけの空間そこに異変が起きた、それは部屋の主にさえ気付かれない小さな異変だった。




―――――――――――――――――――――――――――――



 瞳が焼けるような(まばゆ)い光と(のど)が焼けつくような熱風そして耳をつんざく様な轟音が辺りを支配した。当然周囲に居た人達は消し炭になったが離れた人達は大なり小なりの被害を受けて命助かったものも居た。爆発の中心と思える場所には真っ黒な塊が転がっていた、静まり返り落ち着いた人達は爆発元と思える黒い塊に近づくと黒い塊がもぞもぞと動き周囲は更に警戒した。


『……ん……(まぶ)し……』


 黒い塊は身に付けていたと思われるマントであり中身は人間?だった、その者は小さく呟き余程眩しかったのか額に手をかざし眼をパチパチと開けたり閉じたりしていた。その者は白い素肌に目立つ黒髪白い髪留め、左下にまとめた団子に束ねた髪そして碧と朱が混ざった瞳の色を持ち更にはマント以外露出の高い奇妙で明らかに妖しい風貌(ふうぼう)だった。爆発の原因はこの者かと何の根拠もない確信に人間達は支配され武器を構えて今もまだぼんやりと意識の覚醒をしていない者を捕らえた。


『なに……ちょっなんなっムッ……』


 状況が読めず理解しようと声を出すも相手は怯えているのかいきなり服を(刃物で斬られ)脱がされ声をだそうものならと猿ぐつわ?らしきモノをさせられどうやって造ったのか分からない鎖の拘束具をつけられ腕と脚が使えないように鎖で縛られた。鎖は肌に直に当たり冷たく、肉に食い込んで動くたびにチャリと金属が擦れる音と共に軽い痛みがはしったのか不機嫌そうな顔で捕らえた人達を眉を潜めて眺めていた。拘束を終えたのか周囲の代表と思える人間がやって来て奇妙な真似は決してするなと忠告してから猿ぐつわを外すように指示を出して直ぐに質問をしてきた。


「娘、先程は何をした何が目的だ」


『何って何の事よ、目的だってこっちの方が聞きたいくらいよ』


「キサマッ口の聞き方を考えろ!!」


 眉を潜めたまま苛立ったように言葉を吐き捨てるも後ろにいる人にガツンと後頭部を殴られたのだが殴られたことを気にするそぶりなく質問をしてきた人間を睨んでいた……睨まれたほうも余り気にしたそぶりは無く何度か質問するも知らないとしか答えなかった。


『だーかーらーっ、知らないってなにもしてない、悪さだってしてないでしょうが(アホなの……文明が進んでない世界なのかしら)』


 文句を吐きブツブツと何か呟いているとまた質問された。


「お前は何者だ」


『……えっと、何者と言われても、私は私と言うしかないわよ』


 急に自分の事を聞かれたのが意外だったのか驚いた表情で答えるもなんと言えばよいか分からないという感じでらちが明かなかったからか質問を変えた。


「お前の名だなんと呼ばれていた」


『ああ、呼ばれかたね怠惰って呼ばれてたわ……けどね私は怠惰じゃないわ破壊者よ』


「ほう……自ら破壊者と名乗るのか」


『ええ、私を求めた人間は皆滅んだものピッタリの名称でしょ』


 何が可笑しいのか拘束されているにもかかわらず口元を緩め笑う、質問をしてきた人間は戯れ言ととったのか本気にとらえたのかよく分からない、ただ無表情で立ち上がり腰にかけてある武器を鞘から外し迷い無く破壊者と名乗った娘の胴体と頭を切り離した、特に娘は泣きわめくでもなくただ驚いた様な瞳で最後まで切り捨てた相手を見ていた様な気がしたが気にせずに後ろにいた者に言う。


「人と変わらぬ所詮戯れ言よ……いつまでも呆けておらんで娘を埋めないか、さっさと行くぞ、待ってくれぬ事は沢山ある」


「…………っハ、はっ!!」


 我にかえりお辞儀をしてから恐る恐る生首と胴体を見てから藁でできた布で包み他のものと協力しその辺に穴を掘って埋めた。

 既に血は巡っていないはずなのに妙に温かく感じて不気味な感覚が沸き上がり身を震わせ怨んでくれるなよと、呟くと仲間内が吹き出しからかいながら自分等の進行する持ち場へと移動した。

 その場には爆発跡と灰になった死骸と山に盛り上がった土だけが残っていた。





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