記憶と思い
(ガラッ)
『美雪!?大丈夫か!?悲鳴あげて…?』
「え、えぇ。平気です。怖い夢を見てしまい。」
嘘は良くないけど記憶が戻った以上、仕方ないよ。
『そうか。海斗って子分かるか?そいつが、美雪を連れて来たんだ。』
「分かります。いつも、土手で喋って居る子です。」
『夕方の子だな。』
あれ?分かって居たのかな?
『不思議そうな顔してるな。夕方に出かけてるじゃん。』
「はい。」
分かって居たのか。
早く、現世に戻りたい。
『仕事があるからまたな。』
部屋を出て行った真守先生。
(海斗に会いたいか?好きなんだろう?心は正直だから。)
「会いたい。でも、思いが伝わらなかったら…」
(前世は嘘を付くかな?)
「そうか、前世で結ばれて居た…」
(さぁ?)
「行くよ!あの人の元へ…」
(ガラッ)
無言で家を飛び出した。
「っ…ハァハァ…お願い!あの、場所に居て!」
どれだけ走ったのだろうか?
あの、土手には居ない気がしたから何処までも走った。
「会いたいっ…!」
力尽きて倒れた。
現世とは違うからかな?
お願い!会いたいよ!
薄れて行く意識の中で声がした。
『美雪!?』
海斗…
さて、人生はどう変わるのかな?