記憶と自分
夕方まで部屋に籠っていた。
真守先生はお手伝いさんが来てるから、「働かなくていい」と言った。
でも、暇になりそう。
する事がないな。
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真守先生が貸してくれた医学書を読んでいたら夕方になっていた。
(コンコン)
「真守先生。出かけて来ていいでしょうか?」
『あぁ、いいが。』
「では。」
あの土手で君を待つ。
会えればいいな。
『美雪?』
声をかけられた。
振り向くと海斗が居た。
「海斗さん?」
『そうだが。美雪でいいよな?』
「美雪です。また、会えましたね。」
会えて良かった。
ただ、美雪は突然の頭痛に意識が絶えてしまった。
「っ!?あ…」
意識が消えかけている。
『美雪!?』
声が出ないよ。
意識が消えてしまった。
(意識が消えてしまったか。君はトリップに成功したんだよ。前世の君の体に現世の君の魂が入った。詳しくはいつか教えてあげるさ。記憶が今の内に戻ればあり難いな。美雪は海山海斗を好きになるはずさ。前世でも、現世でも。暗い意識の中で考えてご覧?)
前世、現世…?
魂、トリップ。
海山海斗?
この単語の全ては…?
気づいたら此処に居て?
最初に変な記憶が思い浮かんだ。
全てが重なり会うと。
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トリップしてしまったんだ!
今の自分は…魂の欠片!
「嫌ぁああああああああああ!」
全ての記憶が蘇った。
平成時代から大正時代にトリップしたんだ。
でも、この時代の人に成りきらないと。
(おめでとう。記憶が蘇ったね。)
また、明日