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無題  作者: A氏
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無題

僕には、どうやらそういう友達なんて作るセンスがないんだと思う。 




胸が苦しくて、悲しくて、でも、そういう経験は自分にとって有益なものになると信じてた。


でも、何も変わっていない。 




昔よりすこしだけ明るく振舞うことができるようになったこと以外。




だとしても、空虚な付き合いになることは当然で、何かを得ることも満足にできなくて、そんなくだらない、つまらないアホみたいな自分に明るい未来なんてないと思ってた。 


だって、自分は・・・自分だから。      


周りの人から馬鹿にされる。いじめられる。疎まれる。そして人が嫌いになる。そして孤立する。   


何度も、頑張れば変わることができるんじゃないかと期待した。

そして簡単にその希望は踏み潰される。   


いつしか、自分を諦めるようになった。 

自分はこんな人間なんだと一定の距離を持った上で付き合うようになった。 

空虚な付き合い方ではある。でも、それが自分の身を守る唯一の手段だった。 


そのうちネットという匿名の世界に興味を持った。ここでは何を言っても、法に触れない範囲内であれば咎められることはあれ、リアルの自分が傷つけられることはない。


なんて素晴らしいものなんだと思った。そしてはまっていった。 


匿名だからこそ、目に見えない相手だからこそ言えることがあった。楽しめたことがあった。 



おそらくそれは、リアルが充実してる人からすれば「キモい」ものだとは思うけど・・・


そんな毎日だった。 必死にリアルの空っぽさを、ネットでごまかして生き続けていた。 

リアルでは表面上の付き合いだけで、あらゆることから耳を塞ぎ、目をつむっていくようになった。

本音なんて"普通"に言う奴の気がしれなかった。


だからどんどんリアルの人間を信じられなくなって、嫌いになっていった。 


そうして僕は、どんどんひねくれていった。


「何考えてるかわかんない奴」友達が自分のことをそう言ってるのを聞いたことがあった。 昔の自分ならば悲しんだと思う。けど、ぼくはもう悲しまなくなった。


「だってそれが人だから」 すごくシンプルに納得していた。 


過去のトラウマを埋め合わせるのには少しだけ不十分だけど、ネットによる感覚麻痺状態だからその気持ちに気づいてはいなかった。


ズキっと胸に突き刺さるような苦しいトラウマもネットのおかげで少しはマシになれていたんだ。


月日は過ぎて、俺は焦るようになった。このまま変われないことを焦るようになった。

大学に行って人間関係もルーズになったからこそそう思えたのかもしれない。客観的に自分を見直せたのかもしれない。  

大学生にもなって、バイトもしない、自動車免許も取らない、サークルに行くわけでもない、ただ毎日の必修単位をとり、そつなく友人関係をこなし、休日は何もしない。 


空っぽ大学生だ。 


これじゃいけないと思い始めた。 


でも、新しいことを始めようとすると過去のトラウマが心に突き刺さる。細長く鋭い刃先で心臓を一突きされたような気分になる。そして足が動かなくなる。


でも・・・・思い出したくはない・・・けど、思い出さなきゃきっと前へは進めない。 


だから自分のトラウマを乗り越えるために俺は頑張ってみようと思った。 

おそらく社会人になったら変わることなんてできないだろうという根拠無き推測・懸念があった。


だからいろんなことに挑戦した。 


今、当時の日記を読み返してみて、俺は、この貴重な一年を記録しようと思った。

誰のためでもなく、自分のために。 自分の人生を振り返るために。そしてさらに飛躍するために。




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