プロローグ
初投稿になりますので、生温かい気持ちで見ていただけると幸いです。
もしよろしければ、コメントなどいただけると助かります。
この世界は、相変わらず見せかけの平和が続いている。
自分達が正しく、誰よりも何よりも偉いと思っている者が、この世界を牛耳っている。そんなのは間違っているのに。
何で誰もその事に気付いてくれないのだろう…。
三世界を巻き込んだあの戦争からもう100年が経つ。私からしたら、やっと100年が経ったんだけど。
100年経ったはずなのに、何も変わっていない世界に嫌気がする。何の為にあの人が犠牲になり、戦争を終わらせてくれたかのか、わからなくなってしまっている。
それも仕方のない事なのかもしれない。なぜなら、戦争の始まりと終わりのきっかけを知る者は、ほとんどいないのだから。
こんな風に考える私は、平和を愛する心優しい人に映るかもしれないが、本当の私は全く違う。
私の願いは、愛しい人に会いたい、声が聞きたい。ただ、それだけなんだ。
「時がきた」
誰かの声が聞こえた気がして振り返ると、窓辺に見かけない黒い鳥がいた。
「我々の願いが叶う」
そう言うと、一瞬のうちに姿を消し、残ったのは手の平にある一枚の羽根だけ。
自分の胸の音が、徐々に大きくなっていく。鳥の言葉に、期待して胸が高鳴ってきているのだ。
願い続けた夢が、現実に起こるかもしれない。あの人に「ソフィ」と呼ばれる日が来る気がした。