第6話 裏組織
屋敷に通されたあかねは、来客用のいすにすわり、紅茶を楽しんでいた。
「あっあの……少々、お話があるんですけど……」
この屋敷の主であるミーナ自らが紅茶のポットを手に持って話しかける。
先ほどまでいた、メイドやら何やらがいないところを見ると、人払いをしたとみた方がよさそうだ。
「話ですか~?」
「はい。あの……」
「あかねでいいですよ~」
「わかりました」
ミーナは、コホンと咳払いをしてから、話し始めた。
「あかねさん。あなたは、トップ6と呼ばれている人たちについてご存知ですか?」
「トップ6?」
聞き覚えのない名にあかねは眉をひそめる。
ミーナの口調からしてあまりいい内容ではなさそうだ。
「ご存じないですか……さすがに向こうから来た人間にまで干渉はしていないということですか……」
「というと、どういうこと?」
突然、雰囲気が変わったあかねを見て、ミーナはたじろいでしまった。
今、ミーナの目の前にいるのは、のんびりとした口調で何を考えているかわからないあかねではなく、北上家当主としての重厚な雰囲気をまとったあかねだった。
「えっと……私も詳しくは知らないのですが、トップ6というのは、黒いうわさが絶えない組織で、その存在自体があいまいです。ですが、実体がないとは言い切れません」
「というと?」
「はい。フェラ帝国の動向を見る限り、彼らが侵略しようとしている国に何かしらの形で彼らが干渉し、相手を内部から崩壊させて、その隙をついてフェラ王国が侵略する……かつて、この地にあった王国も見事にしてやられたそうです」
あかねは、立ち上がって窓辺に立った。
ミーナは、それに関して特に気にすることもなく、こう続けた。
「トップ6という名の由来となっているのが、その組織の方針を決める最高幹部が6人だからです。その構成している人間は、すべて日本人だとも言われているんです」
「日本人?」
あかねにしては、かなり意外だった。
まさか、ここで日本人が出てくるとは……
「はい。古くより、時に日本とこちらがつながることがありました。その時、流されてきた人間が国家を興しました。それが現在のフェラ帝国です。そして、フェラ帝国成立時にいっしょに流された日本人6人が立ち上げた組織がそれだったそうです。そもそも、当初の目的は全く別だったようですが、代替わりして、多くの時間が経過するうちに組織の体質が変わってしまったとみて間違いないでしょう」
このことを語っているミーナの顔もあかねの顔もとても深刻なものだった。
日本人によるこの世界への干渉は、様々な影響が出ているようだ。
「ミーナ。トップ6について知っているのは、それだけですか?」
「はい」
「わかりました」
あかねは、扉の方に歩いて行ったのだが、ミーナが、あかねさん。と呼び止めた。
「トップ6についてお調べになるつもりですか?」
「えぇそうですよ~」
「そうですか……できれば、止めたいところですが、私としても気になるところがあります。ですが、私はここから動くわけにはいきません。ですので、ずうずうしいとは思いますが、できうる限りの支援をいたしますので、よろしくお願いします」
ミーナが木で作られた札をあかねに差し出す。
「これは?」
「あなたの身分を保証するものです。これを提示すれば、この王国内であれば、北上家の人間としての特権もある程度使えます。これをどう使っても私は文句を言いません」
あかねは、それを受け取り、屋敷を後にした。
まさか、こんなに早く使うことになるとは……
あそこで休まずにラーウスまで来ていれば、このようなことにかかわることなどなかったのだろう。
なぜ、ミーナがあんな話をしたのかは知らないが、これにも何かしらの理由があったのだろう。
「どうぞ。お入りください」
「はい~失礼しま~す」
そして、あかねはこの出来事をきっかけにフェラ帝国という国を影から操っているトップ6という組織について知っていくこととなる。
そう。あかねは、もう戻れないところまで踏み込もうとしているのだ。
これがのちにスティーリア姫と北上牡丹の戦いにまで影響を与えることになるのだった。
読んでいただきありがとうございました。
これで、「ひだまりの国 外伝 あかねと炎竜Ⅱ」は完結です。
本編にあたる「ひだまりの国」の方もよろしくお願いします。
読んで下さった方、ありがとうございました。