四日目 ぐーたら発明家
さて、と。それじゃあ今回は、この録音機のテストも兼ねてこの天才!秀才!大天才!な発明家たるこの僕、いずれ後世に名を残すこと間違いなしなこの僕、今のうちにサインをもらっておけばなにかと得することがあるに違いないこの僕が、本日の日誌を書いて………いや、言っていこうと思う。
…………いや、本当はこの仕事も断りたかったんだ。だいたい、なぜ僕が働かなくてはいけないのだ!僕はつい先日この我ながら便利な録音機を作り上げたばかりでとても疲れているし、僕の仕事なんてこれを作り上げたことで最低でも半年分くらいは免除してくれるというのが筋なのではないのか!まあ、僕もエンジニアの端くれ…………あ、もちろんいずれは頂点に立つ男でもあるのだが…………として、自分の機械の調子くらいはやはり自分でも時々見ておかなくてはな。こんな複雑なシステム、とてもじゃないが素人には任せられない…………つまり、ある程度以上の教養と知性を兼ね備えた僕のような人間が見ないといけない。
もっとも、それほどの人間はこの艦には僕一人しかいないのだがね。まあいい、その点についてはこの道を志したころから諦めている。つまり、僕のレベルが高すぎて他の人々にはついてこれないわけだ。
よし、それではこの不本意ながらも引き受けた仕事、サクッと終わらせようか。って、普段なら言えるんだけど、今日はあの鬼のような姐さんに見つかっちゃって。信じられるかい!?彼女、この僕のことを無理矢理働かせるんだよ!?まったく、僕はもう半年分の労働を終え、ゆっくりしているところなんだという意味のことはちゃんと言ったのに!信じられないよあの野蛮人!
――――――――――なるほど…………たまにはねぎらってやろうかとも思ったけど、お前そんな風に思ってたんだな。
――――――――――っっッ!!!!???あ、あれ、えと、その………。
――――――――――いや、いいんだ。確かにアタイも最近イライラしていたしな。あの駄目艦長、結局お茶請けは帰ってきそうにないし………!
――――――――――え、えーと、何の話かよくわかりませぬが、姐さん?それはつまり、おとがめなしということでよろしいのでございましょうか?
――――――――――ああ、ちょっと付いてきてもらうだけでいいぞ♪
――――――――――いやあのちょっと待………
――――――――――いいからいいから、遠慮なんてするな♪
――――――――――楽しそうな顔が物凄く怖いのですが…………?あ~れ~!!
――――――――――あー、ありゃ当分再起不能っぽいスね~。あんなんじゃ使い物にならなさそうッスから、もう録音も止めておくッス。