三日目 姐さんの苦悩
全く、ウチの男どもときたら…………おっと、いかんいかん。これはあくまでも仕事の一環、べつに愚痴を言う場ではなかったな。
では仕切りなおして。本日の日誌担当はアタイだ。皆からはなんでも頼りがいがあるとかいう理由で『姐さん』呼ばわりされているのだが、こっちに言わせれば他の馬鹿どもが男すぎる…………違うな、他の男どもが馬鹿すぎるだけだ。特に艦長。仮にもトップの人間があの程度のうちわで扇げば飛ぶ程度のカリスマしか持ち合わせていない、というのはいかがなものだろうか。そもそも根本的な話として、アタイは正直この呼ばれ方には違和感を感じていなくもない。とはいえ、いくら言ったところでやめないのは目に見えているしな。…………それにしてもなぜあいつら、アタイの呼び名に対してならいくらでも頑固になれるのだろうか。その根性、もっと余所に回してくれると私の仕事も楽になるのだが。
ガチャーン!
ん?なんだ、ハルマの奴がまた何かやらかしたのか?……………一体どうしたんだハルマ!!
――――――――――すいません姐さん~!でも今回は自分じゃないッスよー!
――――――――――あー、艦長!!何やってくれちゃってんですか!それ僕の飾り皿ですよ!?高かったのに!
――――――――――う、す、すまん!だがな、そもそもこんな所に割れるものを置くやつが悪いのだ!
――――――――――何をどうすりゃ個室のトイレに皿飾って他人に割られるんですかっ!?どうせまたウォシュレットの水圧いじくろうとしてギャグ漫画でも起きないような魔改造やらかしたんでしょ!?何度も言うように、自分の部屋のトイレで試してくださいっ!
――――――――――バカモン!吾輩の部屋にはな、いかに艦長室といえどもトイレは一つしかないのであるぞ!
――――――――――僕、一般隊員!!なんで艦長室にすらないトイレ二つなんて贅沢設備が僕の部屋にあるんですか!
ふむ。正直死ぬほど馬鹿らしいから放っておきたいところだが、あの馬鹿艦長には一度くらいお灸をすえてやらんとな。ちょっと席を立たせてもらおうか。
~非常に暴力的な表現が録音されておりますので、この部分の再生は許可しかねます。しばらくお待ちください~
最後に、本日の仕事内容。…………飾り皿の破片の撤去。
艦長のみに与えた臨時職。…………腕立て50回、腹筋50回、座禅4時間。汗だくになっていて非常に見苦しかったが、目を離すとサボるのはわかりきっていたため嫌でも見ているしかなかった。精神的にはこちらのほうがキツかったのはちょっと納得がいかないが、もう済んだことだ。
結論。やっぱりここの野郎共は馬鹿のバーゲンセールだった。それと余談だが、どうもアタイのかりんとを食べたのはハルマではないらしい。さっきは忘れていたが、後で艦長をもう一度締め上げに行こうと思う。