三章 導神⑨
ウーノに案内され、着いたのはホテルの一室だった。
「家って言っていたからマンションか何かと思っていたけど――ホテルだったとはね」
ウーノは微笑を浮かべ、ドアを閉める。
「三年ぐらいここに住んでるんですよ。だから私には家みたいに感じてしまうんです」
「そう、か……」
今のウーノの言葉に、何か引っかかるものがあり、振り返る。ウーノは微笑を浮かべたままイザーナのシャツのボタンに手を伸ばす。
「ほら、早く脱がないと風邪引いちゃいますよ?」
ボタンを一つ一つ外しつつ、イザーナを押して奥へと追いやっていく。
「ウーノ……?」
彼女の名前を呼ぶが、何も返ってこず、されるがままあとずさり、背後のベッドに腰掛ける形になった。そしてボタンが全て外され、前がはだけた状態となった。
「たくましい体……」
ウーノは胸、腹部へと指を這わせ、イザーナの前に膝をついて、座った。
「……なぁ、ウーノ。電話を貸してくれないか?」
自分の体を這う手を掴む。
「どこに掛けるの?」
ウーノは掴んできた手を逆に掴み返し、自分の胸へと持っていく。
「俺、の――」
掌に伝わる感触に頭が麻痺し、最後まで言葉が出てこなかった。
「イザーナ……」
彼女の顔が近付き、再び口付け。
「愛しているわ……」
心臓が激しく音を立てた。
「…………」
イザーナはもう何も答えず、彼女の服を捲り上げる。唇を首に這わせ、手を回し、ブラを外す。露になった白い胸を両手で優しく揉み上げ、ベッドのほうに押し倒す。右手で胸を弄りつつ、スカートの中に左手を入れていく。
「あ、イ、イザーナ……」
ウーノの声に、さらに欲望を掻き立てられ、体を重ねようとした時――
――イザーナ……。
「……!」
突然、昔の光景が脳裏に浮かんだ。イザーナは思わず手の動きを止める。