表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IZANAGI  作者: 佐久謙一
75/108

二章 死神29

「先に教えとけよ」

 置いた手に力を込め、ゆっくりとそう言った。

「分かっていますよ。私は導き手なのですから、サポートはしっかりとやるつもりですよ?」

 ツズファは、クックック、と不気味な声を漏らす。

「……兄貴顔怖いよ」

「アテラ、そういうことは本人の前で言わないように。私だって傷つきますよ」

「お前のせいで俺は文字通り傷ついたんだけどなぁ……」

「気のせいでしょう」

「…………」

 イザーナは呆れたように息を吐き、玄関のほうへ足を運ぶ。

「おや、どちらへ?」

 ドアノブに手を掛け、肩越しに返す。

「どこでもいいだろ。ちょっと行きたいところがあるんだ」

 そう言う彼にツズファは言葉を投げかける。

「夕方までには帰ってきてくださいね」

「使命か?」

「夕飯です」

「知るか」

 適当に返し、廊下に出る。

「イザーナ殿」

 名前を呼ばれ、振り返る。

「何だ?」

 ツズファは玄関近くの電話を指差して、言った。

「何かありましたらお電話を。すぐに駆けつけましょう」

「何かって何だよ」

「教えられません」

「…………」

「聞き返さなくなりましたね」

「やかましい」

 鼻を鳴らし、そう吐き捨てる。

「おみやげよろしくね」

 アテラの声を無視し、ドアを閉める。

 壁の『煙草を吸う人間は有害物質と変わりません』と書かれたポスターに顔をしかめつつ、階段を下りていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ