二章 死神26
ゆっくりと目を開ける。
天井でぐるぐるとファンが回っている。どうやら自分の部屋らしい。
「起きた?」
「ん」
声のするほうに顔を向ける。
そこにはアテラがいた。こちらに背を向け、何かを一生懸命やっている。
「何やってんだ?」
「ゲーム」
相変わらずの単語だけの返答。どうやら部屋にあった一昔前のゲームをやっているようだ。
「ラスボス」
「ん?」
体を前に乗り出し、テレビ画面を見てみる。画面では十人程の勇者が一人の魔王を囲んで遠慮無しに攻撃していた。正義って卑怯だな。
「クリア」
あっという間に魔王を倒し、エンディングが流れる。
「次」
ソフトを取り出し、別のソフトを入れる。
「あれ、そんなソフトあったか?」
「買った」
「…………」
呆れと共にため息が漏れる。
「一緒にやる?」
こちらを振り向き、そう尋ねてきた。
「二人用じゃないだろ」
「一緒に謎解き」
「一人でやれ」
「楽しいよ」
「…………」
しつこく誘ってくるアテラに、しばらく迷った後、
「それじゃあこいつをやろう。これなら二人で出来る」
そう言いながら、棚から格闘ゲームのソフトを取り出す。なんだかんだ言ってゲームは好きなのだ。
「……それ嫌い」
「まずはやってみろ。文句はそれから言え」
ソフトをゲーム機にセットし、ゲーム開始。テレビ画面でキャラクター同士が戦いを始める。