二章 死神25
「どういう力なんだ?」
アテラは顔を上げ、空を見る。
「日の光」
イザーナも、つられて空を見る。
「私の力は、日の光で――何でも焼くことが出来ること」
アテラは顔をイザーナに向ける。
「傷を焼くことも出来るし、人を焼き切ることも出来る。相手が日陰にいると出来ないけど、少しでも日に当たっていれば――そこから切断できる。好きなように、徹底的に」
淡々と語るアテラ。イザーナは先程にっこりと微笑んでいたアテラの顔を思い出していた。
「……えげつない――恐ろしい力だな」
イザーナが自虐的な笑みを浮かべると、アテラは小さく微笑んだ。
「それが――あなたの欲望」
イザーナは車に寄りかかり、息を吐く。血を失いすぎたせいか、突然強い眠気に襲われた。アテラの言葉がとても遠くに聞こえる。
「普段はおとなしくて内気なんだけど、時折背筋が凍るほどの残虐性を見せる。まるで……獣」
イザーナは体の欲求に従い目を閉じる。
「さすがに殺す気は無かったけど……仕方が無いよね。これが簡単で確実だし。あなたも酷いケガしちゃったし」
イザーナは顔を伏せ、完全に意識を失っていた。アテラはイザーナの顔を覗き込み、その頬にそっと手を触れる。
「気を失っちゃった……? お疲れ様。これからも頑張ってね」
そう言って、軽く頬に口付けをした。