二章 死神⑧
助けを求めるように、ツズファに視線を送ると、それに答えるように、ツズファは不気味な笑みを浮かべた。顔はいけ好かないが、こちらの意思は伝わったようなので、よしとする。
「どうも初めまして。私はイザーナのいとこでありまして、名前は先程も述べましたが、ツズファと申します。そして――」
隣のアテラを指差し、
「コイツは私の妹のアテラと申します。ほら、アテラ、ご挨拶」
ツズファは兄貴ぶってアテラを促す。
「……アテラ……です」
人見知りが激しいのだろう。聞き取りづらい、ぼそぼそ声でアテラは答えた。
「そう、初めまして。ツズファさんとアテラちゃん」
「アテラさん……」
ウーノの言葉に、アテラが抗議の声を上げる。
「アテラちゃんのほうがかわいいわよ?」
「アテラさん」
「つまらないことに拘るのは、やめなさい、アテラ」
いつまで続くかと思ったが、ツズファがさっさと場を収めてしまった。さらにこちらに視線を向けてくる。
どうせ、ボケっと見て、私にこの場を収める役を押し付けるな、とか何とか言ってくるに違いない。
ここでイザーナも口を開き、アテラと何かを話しているウーノに、こう言った。
「ウーノ、仕事は?」
「え? あぁ、いけない! 店長に怒られる!」
ウーノはそれだけ言うと、こちらに一礼し、店の奥に入っていった。
イザーナは、どうだ、と言わんばかりに、ツズファを見る。その視線に気付いたツズファは、
「何アホ面こちらに向けているのですか」
「…………」
イザーナは苛立たしく息を吐いた。