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IZANAGI  作者: 佐久謙一
36/108

一章 造神32

「…………」

 一瞬動きを止め、イザーナは男の持つ銃をじっと見つめた。

 ――なんで、こいつの命を助けないといけないんだ。

 先程の思いが再び頭の中に浮かぶ。それと同時に体が動き出し、銃を持つ男の手首を掴む。男の驚愕した顔と同時に、自分の体をひねり、相手の腕ごと持ってきて、銃のフレームを掴み一気にひねり上げる。

「がっ! き、貴様っ!」

 手を離すと、肥満体の男は濁った目をこちらに向け、後退りした。今、銃はイザーナの手の内にあった。

「……こいつは殺すな。命を助けてやるんだから言うことを聞け」

そう言って、奪った銃を遠くに投げる。これで大丈夫だな、と息を吐く。と、同時――

 銃声。

「!!」

 イザーナは額に衝撃を受け、勢いのまま、後方――細身の男の上に倒れこんだ。

「馬鹿が。銃は二丁持っているんだよ」

 そう言って、肥満体の男はげらげらと笑った。

「この私に偉そうなことをほざきおって。蛆虫が」

 イザーナは男の言葉を聞きながら、額から流れる血を感じていた。

 ――マジで死なねぇな……。

 改めて、自分が不死身だということを確認する。変な感覚だが、痛みを除けば、それほど悪い感じはしない。そして、体はそのまま、視線だけを動かし、肥満体の男を確認する。

 ――さて、こいつをどうしてやろうか。死なない程度に痛めつけるか……?

「さて、そっちの死に損ないも」

 イザーナの目が動いていることには全く気付かずに、イザーナのうしろに倒れている細身の男に銃口を向ける。

 ――痛めつけるにしても、タイミングが大事だが……。

 いつでも体を起こせるように、自分の腕と男の銃に意識を集中させる。その時――

「――――」

 何かが、聞こえた。

「ん、何だ?」

 肥満体の男にも聞こえたらしく、キョロキョロと辺りを見回す。

 聞こえてくるのは――音だ。

 それは、ゆっくりと流れ、自然の音にうまく溶け込み、曲となっていた。初めて聞く曲だが、どこか懐かしい感じもする。

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