一章 造神⑬
「何だよ、神って!? そんなこといきなり言われて、はい、そうですかって言えるか!」
「それもそうですが……」
そいつは再びため息。
「まだ思い出せないのですか? 話したではないですか」
「なっ? 話したって……いつ?」
その問いにそいつはキッパリと答える。
「昨夜です」
「昨夜……」
彼はここで、昨夜の記憶が全く思い出せなかったことを思い出した。
その不安から、さらに疑問が爆発する。
「おい、答えろ! 昨夜何があった!? 俺は一体誰なんだ!?」
ズキン、と頭が痛み出す。彼は思わず左手で頭を抑える。
そいつは襟首をつかんでいた手を払いのけ、毅然とした態度で口を開いた。
「記憶を封じ込めたことに関しては謝罪します。あなたはあの時錯乱していましたから、仕方がなかったのです。しかしすでに能力は解除しました。あとはあなた次第、と言ったところでしょう」
「封じ込めた……? 解除した……?」
頭の痛みが増し、彼は両手で抱えるように頭を抑える。
「ぐ……頭が……痛ぇ……」
頭痛がますます酷くなり、無意識に脚から力が抜け、その場に跪く。
「な、なぁ、大丈夫なのか? 兄貴……?」
先程まで黙って傍観していたスザーノだが、彼の様子にさすがに心配になったのか、そう口を出した。
「大丈夫。多少頭痛が酷いだけです」
「そう、なのか……?」
スザーノはそう小さく呟き、彼のほうに視線を向ける。
彼は額を地面にこすりつけ、必死に痛みに耐えている。そのたびに、銃創から漏れた血液が床を汚している。
「あぁ……がっ、くっ、ぐあ……ああ……」
頭痛の痛みが増しているのか、呼吸は乱れ、口からよだれを垂らし、苦しげな声を漏らしている。
スザーノはそんな彼の様子に眉をしかめ、一瞬目をそらした。すると――