一章 造神⑫
「おい、もしかして、さっきそれで……」
その問いに、そいつは大きく頷き、きっぱりと答えた。
「察しの通り、あなたを撃ちました」
彼は全くの無表情で口を開く。
「その場所は、もしかして……」
「察しの通り、あなたの額です」
「…………」
額を指先で撫でる。確かにボッコリと凹んでいる箇所があり、凹みに指先を入れようとすると、電気が走るような痛みが走った。
「俺さぁ、今……喋ってる……よな?」
「はい、喋っています。それはもう元気いっぱいに」
「元気いっぱいか……」
彼は軽く息を吐き、眼を瞑る。口が左右に引っ張られ、笑みの形が出来上がる。
「そうかそうか――」
そうかそうか、と何度も呟く。だんだん顔が俯いてくる。
「……ゆ――」
「夢ではありませんから」
言葉を先に取られてしまい、彼はそのまま黙り込む。
束の間の静寂。そして彼は一息吐く。笑みの形のまま口元が動く。
「なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
「…………」
その反応に、男は顔をしかめ、両手で耳を塞いだ。
「うるさいですよ」
「うるさい――じゃねえよっ!」
立ち上がり、そいつの襟首を掴みあげ、叫ぶ。
「何だよ、これっ! 何で俺は生きてるんだよ!?」
その様子に、そいつは呆れたように、ため息を吐いた。
「人の話を聞いていなかったのですか? あなたはもう人間ではありません。神様なのですよ。か、み、さ、ま。分かります?」
「か……み……?」
だが、そんな言葉で納得出来るわけも無く、ますますきつく締め上げる。