025★ひとり観戦
電車に乗ると、他の両にもファンがいるのが見えた。
そして、燈和が乗る前から乗ってきていた人もいた。
――――みんな観戦なんだぁ…
こんなことは初めてだった。
でも、どこか安心する。
同じものに熱中している人が、周りにたくさんいる。
仲間がたくさんいるようで、ホッとした。
結構、長旅になった。
とは言っても、せいぜい30分ぐらい電車に乗っていただけ。
途中乗り継ぎもしたけど。
電車に揺られる感覚が残るなか、ようやく球場についた。
人がたくさん並んでいた。
その列の中に、燈和も溶け込んだ。
ユニフォームをバッグから取り出し、着た。
いかにも、これから応援します!!って感じだ。
席は、かなりいいところが取れた。
選手が練習をしているのも見た。
長谷川もいる。
外野席の前でランニングをしているとき、燈和に気づいたらしい。
目が合うと、にっこりと笑った。
「今、長谷川選手が笑ってくれたよね?」
「うちらに笑ったのかなぁ?」
そんな声が後ろから聞こえてくる。
やっぱり長谷川は人気なのだ。
いくつになっても。
試合開始。
応援がすごくて、地面が揺れているように感じる。
燈和も大きな声で応援した。
応援歌も歌ったし、フリまで覚えてやっている。
みんなに負けないくらい、ファンに溶け込んでいた。
長谷川の時は、とくに大きな声で応援した。
活躍してほしいってこともあるけど…
やっぱり『彼氏』だから。
『彼氏』という響きに、まだ完全には慣れてないけど。
長谷川は、猛打賞。
そして、守備でも活躍した。
他にホームランを打った選手と、今日の先発投手。
3人でヒーローインタビューだった。
最後の最後まで、燈和は球場にいた。
球場を後にする前に、長谷川にメールした。
『カッコよかったです!!
>今から球場を出ます。燈和』
送信すると、すぐ返事が返ってきた。
『明日休日だから、送って行くよ!
>ちょっと遅くなるけど…
>それでもいい?』
――――全然いいっ!!
長谷川に会う事が出来るだけでもうれしいのだから。
『いいです!
>どこで待ってればいいですか?』
『球場の駐車場があるんだけど…
>とりあえず、駐車場の出口で待ってて』
『分かりました★』
言われた通り、駐車場の出口へ向かった。
車が数台、前を通って行った。
あと残っている車は、数えられるだけ。
たくさん止めてあったのがウソみたいだった。




