022★告白
もう分かった。
本当に好きでいてくれている。
燈和は、何よりもうれしかった。
次の日、テレビではその発言が意味深だと取り上げられていた。
『誰に対しての発言だったのか?』
『例のアナウンサーに対してのコメントだった!?』
散々だった。
真実を知っているのは、燈和と長谷川だけ。
マスコミがそう言うのは、このことを知らないだけだ。
というより、もしこのことを知ったならば…
きっともっとひどく取り上げられるだろう。
長谷川の相手が高校生。
歳の差が11歳。
…相当言われる。
――――…どうすればばれないんだろう?
いらない不安がどんどん大きくなっていた。
「燈和、どうだった?」
「うん、ちゃんと本当のことを言った」
「それで?」
「真田とは、本当に別れた。そして、長谷川選手におととい連絡したの」
「そしたら?」
「お願い、本当に実行してた」
「…ちょっと待って。それって、昨日のインタビューの時に言ってたこと?」
「うん。あれ、たぶん私に言ってたんだよ」
妃奈乃は言葉がでなくなっていた。
本当にすごい事が起こっているのは分かってる。
「燈和、これから大変だよ?」
「うん…」
「でも、応援するから。頑張ってね」
「ありがと」
♪~♪~
「携帯、鳴ってるけど…」
「ん?…あ、私のだ」
表示画面を見ると、長谷川だった。
それを知って、妃奈乃は教室へと戻って行った。
「もしもし?」
『もしもし、長谷川です。昨日、見た?』
「見ました!!すごかったです」
『ありがとう。…これで分かってくれた?』
「はい」
『本当に、好きだから』
「…」
『俺と、付き合って下さい』
「…はい」
『よかった~っ。ここで嫌とか言われたら、相当ショックだったかも』
長谷川は、笑いながら言った。
「本当に私でいいんですか?ただの高校生だし」
『俺が入団した年のキャンプ、来てたでしょ?』
「はい、行きました」
『あと、実はファンレター書いててくれたでしょ?』
「えっ!読んでくれたんですか?」
『もちろん。来た人の分、読むんだけどね。名前難しいってイメージが強かったから』
「名前…」
名前に感謝だ。
『ホームランボール、とったんでしょ?』
「まだ家にあります!!」
『なんかさぁ、純粋に野球好きそうだったし。優しかったし、理想の人って感じなんだよね』
理想の人…
その言葉が、何よりもうれしかった。
「私も、長谷川選手がすっごく理想なんです!!」
『ありがとう。そう言ってもらえると、すっごい嬉しい』
電話の向こうで、長谷川は少し照れていた。




