002★スタメン
前もって買っていた練習試合のチケット。
当日、今まで見た事がない様なほどの人が、球場につめかけていた。
試合開始2時間前に来たのに、行列の最後の方に並んだ。
並んだ後も、まだたくさん後ろに人が来た。
それだけみんなこの試合が見たかったんだろうなぁ…
なんたって、長谷川の公式戦デビューなのだから。
女性ファンが、ユニフォームを着てたりタオルを持っていたり。
それはもう、たくさん背番号22がいた。
燈和は、グッズを何一つ持っていない。
だから、普通のロンTにパーカーを羽織って、ジーンズという格好だった。
どう見ても、女の子らしさというものがない。
まぁ、これが燈和なのだから仕方がない。
球場に入ることが出来たのは、並び始めて40分過ぎたころだった。
チケットを見せて、急いで1塁側の外野席に行った。
前の方を出来るだけとりたかったけど、結局前から6列目だった。
後ろから数えると、5列目。
半分よりも後ろだった。
――――もうちょっと早く来ればよかったかなぁ…
少しだけ後悔しつつ、試合開始を待った。
開始時刻10分前くらいに、バッテリーが発表された。
両チームとも、エースを出してきた。
相手が右なら、こっちは左。
対抗心むき出しのように見えた。
選手の練習が行われている間、燈和はメールをしていた。
同じ野球好きの親友、高橋妃奈乃。
チケットをとろうとしたけど、ちょうど陸上の大会とかぶって来られなかったらしい。
妃奈乃に、球場の様子や選手の練習風景など送ってあげていた。
それを送るたびに、妃奈乃からはこう返事が来た。
『私も長谷川選手見たかったなーっ』
妃奈乃も、長谷川を注目していた。
プレーの面でもだけど、やっぱり顔。
いつも、すべては顔だ!!っと言っている。
燈和は、それを聞いて苦笑していた。
バッテリーが、投球練習を終えた。
外野でキャッチボールしていた選手も、みんなベンチに下がった。
いよいよスタメン発表だ。
ドキドキ、ハラハラ…
長谷川の名前は、8番目に呼ばれた。